ジャニー喜多川による性加害問題のソースを表示

'''ジャニー喜多川の性的虐待疑惑'''（ジャニーきたがわのせいてきぎゃくたいぎわく）は、[[2023年]]（[[令和]]5年）に表面化した[[児童性的虐待]]問題。

[[日本]]の大手[[芸能事務所]]・[[ジャニーズ事務所]]（後の[[SMILE-UP.]]）の創設者である'''[[ジャニー喜多川]]'''が行っていた児童性的虐待で、社長という立場と芸能界における絶大な[[権力]]を利用して（[[グルーミング (性犯罪)|グルーミング]]）、同事務所に所属するタレントを中心とした多数の[[男児]]や[[未成年]]の男子への性的虐待を常習的に繰り返していた問題である。

長年にわたって暴露や裁判などが行われてきたものの、改善がなされず被害者を出し続けていたが2019年、創業者の喜多川が87歳で死去した。その後、2023年に[[イギリス]]の[[BBC]]が「ジャニー喜多川の性加害」をテーマにした長編ドキュメンタリーを公開したことから世界的な話題となり、ジャニーズ事務所は対応に迫られることになった。

当記事では[[被害者]]による[[証言]]、関連する報道、[[民事裁判]]、[[政治]]、[[司法]]などについても扱う。

== メディアの呼称 ==
新聞やテレビなどの各社や記者・評論家などによって呼称は多種多様であり、'''ジャニー喜多川氏の性加害問題'''<ref>{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏の性加害問題|date= |url=https://www.asahi.com/topics/word/johnnyssexualabuse.html|website=朝日新聞 |accessdate=2023-06-05}}</ref>、'''ジャニーズ性加害問題'''<ref name="高橋">{{Cite web |title=ジャニーズ性加害問題、週刊文春編集長が指摘する「メディアと事務所の利益共同体」 |author=高橋ユキ |url=https://www.bengo4.com/c_18/n_15895/ |website=弁護士ドットコムニュース |access-date=2023-04-16}}</ref>、'''ジャニーズ性被害問題'''<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ性被害問題、元Jr.が国会で署名提出　「法改正で子ども守って」【動画あり】|url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/254816|website=東京新聞 |date=2023-6-5|accessdate=2023-06-05}}</ref><ref>{{Cite web |title=ジャニーズ性被害問題　公明が支援体制強化を提言|author= |url=https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000301820.html|website=テレ朝news |date=2023-6-2|accessdate=2023-06-05}}</ref><ref>{{Cite web |title=ジャニーズ性被害問題で立民が児童虐待防止法改正案まとめる|url=https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/99509.html|website=NHK政治マガジン |date=2023-5-25|accessdate=2023-06-05}}</ref>、'''ジャニーズ性問題'''<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ性問題受け、立民・安住氏「児童虐待防止法改正を目指す」|url=https://www.sankei.com/article/20230517-WSC5FGMMDJITVOHGTWCBHVJWD4/|website=産経新聞 |date=2023-5-17 |accessdate=2023-06-05}}</ref>、'''ジャニーズ性暴力疑惑'''<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ性暴力疑惑とメディア　元文春記者に聞く、23年間の絶望|url=https://www.asahi.com/articles/ASR5Q35T1R5QUPQJ002.html|website=朝日新聞 |date=2023-5-22 |accessdate=2023-06-05}}</ref>、'''ジャニーズ性加害スキャンダル'''<ref>{{Cite web |title=「ジュリー社長謝罪」ジャニーズ性加害スキャンダルはどう決着するのか|url=https://www.asagei.com/excerpt/260350|website=アサ芸プラス|date=2023-5-15 |accessdate=2023-06-05}}</ref>、'''ジャニーズ事務所の性虐待スキャンダル'''<ref>{{Cite web |title=「BBCドキュメンタリーは、ジャニー喜多川氏の「スキャンダル」報道でなにを浮き彫りにしたか 「J-POPの捕食者 〜秘められたスキャンダル」を見る #1|author=水島宏明|url=https://www.asagei.com/excerpt/260350|website=文春オンライン|date=2023-4-7 |accessdate=2023-06-05}}</ref>などといった呼ばれ方をしている。

[[LGBT]]などの性的少数者に対する社会的理解が確立された2011年以前には、ホモセクハラ疑惑<ref name=heisei2003>『平成の芸能裁判大全』8-17ページ</ref>、ホモ性虐待疑惑<ref name=ri2011>李策「ジャニーズの"ドン"ジャニー喜多川"ホモセクハラ"裁判の顛末」、『平成日本タブー大全』（宝島文庫、2011年）収録</ref>といった記述も見られる。

== 概要 ==
ジャニーズ事務所では、創設初期から社長であった喜多川が同事務所に所属する未成年の男子達に対して[[猥褻]]な行為を行っているという噂があり、1960年代に行われた[[民事裁判]]では猥褻行為に言及され、被害を訴えられた、或いは被害を受けかけたという証言もあった<ref name="金子石田">{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏に向けられた具体的な性加害疑惑 = 約60年にわたる証言の歴史|author=金子侑輝、石田健|date= 2023-4-14|url=https://www.theheadline.jp/articles/815|website=The HEADLINE |accessdate=2022-04-30}}</ref>。

特別チームの[[ヒアリング]]によると、1970年代には、喜多川の所属タレントへの[[性的虐待]]は、芸能界では事実として広く知られていた{{sfn|特別チーム|2023|pp=43-44}}。しかし、<!--当時の同性愛に対する捉え方などから-->日本で広く問題になることはなく、一部の雑誌や[[出版]]物でのみ報じられていた。

1980年代後半以降では、雑誌『[[噂の眞相]]』における特集や元[[フォーリーブス]]のメンバー・[[北公次]]の告発本『光GENJIへ』シリーズ（[[1988年]]～89年、全3冊<ref name=":06">{{Cite web |title=「ジャニー氏に性被害受けた」元ジャニーズJr.の告発動画が波紋呼ぶ ジャニーズ事務所からは回答なし |url=https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2211/18/news147.html |website=ねとらぼ |date=2022-11-18 |access-date=2023-03-08 }}</ref>）、[[平本淳也]]の『ジャニーズのすべて』シリーズ（1998年、全3冊）など元所属タレントによる[[告訴・告発|告発本]]が複数出版されたが、[[社会問題|社会的な問題]]として真剣にとらえられることはなかった。

1999年に『[[週刊文春]]』が喜多川の性的虐待行為に関するキャンペーンを実施し、数人の証言を得て本疑惑を報じた。ジャニーズ事務所は[[名誉毀損]]で文藝春秋を訴えたが、裁判では、報じられた喜多川の「[[セクハラ]]行為」（今でいう性的虐待行為）は「'''その重要な部分について真実'''」と認定され、『週刊文春』の本件に関する一連の報道は名誉毀損には当たらないと判決が下り、[[東京高裁]]の[[控訴審]]判決が2004年に確定している<ref name="bbc">{{Cite web |title=「これを我慢しないと売れないから」英BBCが報じたジャニー喜多川氏の性加害 元ジャニーズJr.が顔出しで衝撃告白|url=https://bunshun.jp/articles/-/61200|website=文春オンライン|date=2023-03-16|access-date=2023-04-05}}</ref>。しかし、当時はこのジャニーズ事務所の実質的[[敗訴]]に対し、日本の[[メディア]]の反応は鈍かった。日本の新聞は短く取り上げるのみで、テレビは報じなかった<ref name=ri2011/>。芸能雑誌、[[スポーツ紙]]でも扱いは大きくないことが多かった<ref name=ri2011/><ref name=heisei2003/>。裁判で被害を訴える元ジャニーズJr.達の証言の真実性が認定され、「ジャニー喜多川による少年への性虐待の事実」が認められたことをメディアは詳細に解説しなかった<ref name="bbc"/><ref>{{Cite web |title=ジャニーズ事務所のメディアコントロール手法 「沈黙の螺旋」は破られるのか |url=https://globe.asahi.com/article/14867336|website=朝日新聞GLOBE＋|author=松谷創一郎|date=2023-03-30|access-date=2023-04-05}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://digital.asahi.com/articles/DA3S15673914.html |title=（Ｍｅｄｉａ　Ｔｉｍｅｓ）長年報じず、新聞・テレビに批判　ジャニーズ性加害問題 |publisher=朝日新聞 |date=2023-06-29 |accessdate=2023-07-20}}</ref>。

この問題はその後も[[刑事事件]]になることはなく、被害者が喜多川を訴えるような民事事件にも発展せず『週刊文春』以外のメディアによる調査報道なども行われなかったため、喜多川だけは社会的に[[弾劾]]されることはなかった<ref name="bbc"/><ref name="中村">{{Cite web |title=「1999年以来、絶望しきっています」BBCも注目するジャニー喜多川の性的虐待問題、日本のメディアが“無視”するワケ|url=https://bunshun.jp/articles/-/59446|author=中村竜太郎|website=文春オンライン|date=2022-12-31|access-date=2023-04-14}}</ref>。

『文春』との民事裁判の後に被害を受けたという多くの証言があり、『文春』との民事裁判で判決が確定した後も喜多川による所属タレントへの性加害が続いていたことが指摘されている<ref name="松谷">{{Cite web |title=｢ジャニーズ事務所は身動きが取れなくなっている｣ジャニー喜多川氏の性的虐待疑惑という重すぎる負の遺産|author=松谷創一郎|url=https://president.jp/articles/-/68441|website=PRESIDENT Online|access-date=2023-04-13 }}</ref>。
<!--特別チームによる調査報告（やそれを受けた体制変化など）も1段落程度にまとめて概要に含めるべきではないでしょうか？-->

== 問題の構造 ==
=== ジャニー喜多川の性嗜好異常 ===
ジャニーズ事務所の依頼を受けた再発防止特別チームによる2023年8月29日の調査報告書は、喜多川は20歳頃から80歳代半ばまで、少年に対する性的虐待を間断なく、頻繁に、常習的に繰り返しており、これは「ジャニー氏に顕著な性嗜好異常（[[パラフィリア]]）が存在していたことを強く裏付けるものである。」と評している{{sfn|特別チーム|2023|p=42}}。

{{Quotation|性嗜好異常とは、性愛の表現型が異常な、強烈かつ持続的な性的関心を特徴とするものであるが、もっぱら未熟な思春期少年を性愛対象としたジャニー氏の性的関心と同意なき性行為の強要が長年続いたことは、被害者の年齢層（中心は13～15歳<ref>[[少年愛]]に相当する</ref>）がいわゆる[[小児性愛]]（13歳以下）に比べ定義上は若干高くなるものの、まさに性嗜好異常の一型とみなすことができるものである。
したがって、ジャニーズ Jr.の思春期少年に対して、長年にわたり広範に行われた性加害の根本原因は、ジャニー氏の個人的性癖としての性嗜好異常にほかならない{{sfn|特別チーム|2023|pp=42-43}}。}}

特別チームの報告書では、姉で母親代わりだった[[メリー喜多川]]は、弟の喜多川の性嗜好異常を初期から認識しており、1970年代の被害者の証言、メリー喜多川と懇意にしていた新芸能学院の名和夫人の過去の発言から、メリー喜多川は、弟が幼い頃に性的虐待を受けて育ったため、少年たちに性的虐待をするのはそのせいで、「一種の病気」だと語っていたと推定されている{{sfn|特別チーム|2023|p=27}}。

=== メリー喜多川による隠蔽行為 ===
喜多川が2歳の時に母親が死去しており、4歳年上の姉メリー喜多川は母親代わりとして弟に愛情を注ぎ、二人は母親と息子のような関係であったと言われる{{sfn|特別チーム|2023|pp=42-43}}。メリー喜多川はジャニーズ事務所の最高権力者として優れた経営手腕を発揮しており、ジャニーズ事務所の成功には、喜多川の才能だけでなく、彼女の功績も大きかった{{sfn|特別チーム|2023|pp=42-43}}。

メリー喜多川は弟の性的虐待疑惑に対し、一貫して強い否定の姿勢を貫き、1999年の週刊文春の報道に対する名誉毀損の訴訟でも、被害の申し立てはすべて虚偽であると主張した{{sfn|特別チーム|2023|pp=43-44}}。特別チームは各種情報を勘案し、メリー喜多川は遅くとも1960年代前半には喜多川の性嗜好異常を認識していたとするのが蓋然性の高い事実であると考えられると判じている{{sfn|特別チーム|2023|pp=43-44}}。従って、メリー喜多川は喜多川の性嗜好異常と少年たちへの性加害の事実を知りながらも、弟にそれをやめさせることを諦め、弟を守り切るために「徹底的な隠蔽を図ってきた」と考えられ、「ジャニー氏の性加害に対して、メリー氏が何らの対策も取らずに放置と隠蔽に終始したことが、被害の拡大を招いた最大の要因である。」と評した{{sfn|特別チーム|2023|pp=43-44}}。

=== 同族経営の弊害 ===
ジャニーズ事務所は、喜多川姉弟が経営とタレントのプロデュースを役割分担して行う典型的な同族経営の会社であった{{sfn|特別チーム|2023|pp=46-47}}。同族経営の会社では、創業者が暴走し違法行為等を行った場合に、だれも止めることができず、また1980年以降、喜多川が死去する2019年まで喜多川姉弟は株を半分ずつ所有しており、外部の株主の介入を期待することもできなかった{{sfn|特別チーム|2023|pp=46-47}}。喜多川が死去すると、メリー喜多川の娘の藤島ジュリー景子が社長となり、すべての株式と権力を保持し喜多川の性的虐待疑惑の究明や被害者の救済を行うことも可能な状況となったが、ジュリーがそうした対応をすることはなかった{{sfn|特別チーム|2023|pp=46-47}}。

=== ジャニーズ事務所による性的虐待の放置と容認 ===
喜多川からの性加害を事務所スタッフに訴えたところ、「デビューしたければ我慢するしかない。」「（ジャニー氏は）しょうがない人だから、来てほしい。」「我慢すればいい夢が見られる。みんな通っていく道だ。」などと言われたとの証言があり、特別チームはこうした被害者らの証言から、ジャニーズ事務所は喜多川による合宿所などでの長年の性的虐待の事実を認識していたと考えることが合理的であり、「ジャニーズ事務所は『見て見ぬふり』に終始し、何らの対応もしないどころか、むしろ辛抱させるしかないと考えていたふしがある。」と指摘し、このような長年にわたるジャニーズ事務所としての不作為も被害の拡大を招いた大きな要因となったと考えられると述べられている{{sfn|特別チーム|2023|pp=43-44}}。

特別チームの報告書によると、ジャニーズJr.が事務所内で接する大人は喜多川、振付師、マネージャーのみで、社員とは接点がなく被害を訴えることのできる相手はいなかった。喜多川姉弟を古くから良く知るジャニーズ事務所関係者は、もし被害を申し立てても、まともに相手にされず、そのジャニーズJr.は嘘つき呼ばわりされるだろうと述べており、喜多川に逆らったことでジャニーズ事務所を追い出され、それにより芸能界のどのプロダクションに入ることもできず、「芸能活動の道は閉ざされるであろうことを、ジャニーズ Jr.たちはよくよく分かっていた」と考えられる{{sfn|特別チーム|2023|pp=45-46}}。

古参幹部として長く要職に就いてきたジャニーズ事務所・[[白波瀬傑]]副社長は、週刊文春との裁判で記事の内容を事実無根だと主張しており、特別チームの報告書でも、当初は「噂は聞いたことがあった」が「噂は信じていなかった」と語っていたが、再度のヒアリングで、最近真実だと思うに至ったと述べた{{sfn|特別チーム|2023|p=28}}<ref name="TBS20230903" />。特別チームの飛鳥井望が会見で「（事務所幹部は）2人（喜多川姉弟）の絶対的な権力者に対し、何か物申したり、あるいはそれを諫めたりというような行動は全くなかった。それが見て見ぬふりということだと思う」と指摘した{{sfn|特別チーム|2023|p=28}}<ref name="TBS20230903">{{Cite web |title=【ジャニーズ】34年前“怒りの”告白ビデオ入手「騙すのはよくねえっつんだよ！」複数の当時Jr.も証言【報道特集】 |url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/698493?display=1 |website=TBS NEWS DIG|date=2023-09-03 |access-date=2023-09-05|language=ja}}</ref>。

[[ニューヨーク・タイムズ]]紙は喜多川が事務所の少年たちが暴露系週刊誌や関連書籍に触れないよう、情報を遮断していたと述べている{{sfn|West|2008|pp=210-211}}。

=== 性的虐待の常態化・通過儀礼化 ===
事務所内で、性的虐待を受けることがアイドルデビューするために我慢しなければならない一種の「[[通過儀礼]]」のように捉えられ、続いてきた可能性が指摘されている<ref>{{Cite web |title=スポンサーの｢ジャニーズ離れ｣が始まれば終わる…性加害問題で｢ノーコメント｣を繰り返すテレビ局の無責任 これ以上､｢報道しない自由｣は認められない|author=窪田順生|url=https://president.jp/articles/-/69371|website=PRESIDENT Online |date=2023-5-10|access-date=2023-06-05}}</ref><ref>{{Cite web |title=全メディアが沈黙。ジャニー喜多川「性加害」問題を報じぬニッポンの異常 |url=https://www.mag2.com/p/news/573693 |website=まぐまぐニュース！ |date=2023-04-21 |access-date=2023-07-28 |language=ja}}</ref>。

特別チームの調査では、「他のジャニーズJr.に性加害のことを話そうとしたところ、『おめでとう』 と言われた」「性加害を受けた後、仕事は明らかに増えた」「受け入れるのが当たり前で通過儀礼」「『上り詰めていくには積極的にジャニー氏を受け入れないといけないんだ。』という洗脳された状態になった」といった証言があった<ref name="20230829_tokyo-np" />。

=== 権力の行使による虐待 ===
[[BBC]]の{{仮リンク|モビーン・アザール|en|Mobeen Azhar}}は、喜多川の性加害を語る[[過去のジャニーズ所属者|元ジャニーズ所属]]の証言者を通してみたのは、「権力の行使による虐待」であったと述べている<ref name="JBpress20230617" />。喜多川はジャニーズ事務所の代表取締役社長でもある芸能プロデューサーであり、ジャニーズ Jr.の採用からデビュー、プロデュース等まですべての決定権を持っていた{{sfn|特別チーム|2023|pp=44-45}}。喜多川からの性的虐待を受ければ、ジャニーズ事務所の仕事での扱いが良くなり、チャンスが与えられ、拒否し逆らえば、ステージの立ち位置が悪くなったりデビューできなくなるなど抵抗が著しく困難な状態であった<ref name=":04" />。アイドルになる夢を持つジャニーズ Jr.達は、未成年者で、事務所と契約関係を結んでおらず、立場は弱く、不安定であった{{sfn|特別チーム|2023|pp=44-45}}。タレントとしての才能の評価基準は曖昧なものであり、喜多川はジャニーズ Jr.に対して絶対的な立場を持っていた{{sfn|特別チーム|2023|pp=44-45}}。特別チームは、「ジャニー氏とジャニーズ Jr.との間の一方的な強者・弱者の関係性のもとでは、未成年のジャニーズ Jr.がジャニー氏による性加害を拒むことは、極めて困難であったと考えられる。ジャニーズ Jr.の中には、ジャニー氏の性加害を我慢して受けて、ジャニー氏の「お気に入り」になれば、待遇が良くなってタレントとして活動できる機会が増え、それを拒めば冷遇されて、場合によればジャニーズ事務所を辞めざるを得なくなるという認識があったと見受けられる。」「一方的に弱い立場にある未成年のジャニーズ Jr.がそのような認識を有するに至り、ジャニー氏による性加害を受け入れざるを得ない状態となることも、やむを得なかったと考えられる。」と述べている{{sfn|特別チーム|2023|pp=44-45}}。喜多川は各被害者の心情に付け込み、沈黙せざるを得ない状況に追い込んでいた<ref name="20230829_tokyo-np" />。

ジャニーズ事務所に所属しているのは母子家庭の子どもが多いと言われ、古くは豊川誕、田原俊彦などがその生立ちを公表しているが、性被害を訴える大島幸広が喜多川は「母子家庭で苦しんでいるような子が好き」で、母子家庭の子どもの「家計が苦しい」「母を支えよう」という弱みにつけこむような行為もされていた、と述べている<ref>{{Cite web |title=元Jr.ジャニー喜多川は「母子家庭で苦しんでいるような子が好き」 拒絶すると弱みにつけこむ行為も |url=https://mdpr.jp/news/detail/3920097|website=MODELPRESS|date=2023-08-28 |access-date=2023-08-30 |language=ja}}</ref>。特別チームによると、ジャニーズ Jr.の中には家庭環境が必ずしも良くなく、自宅にいるより喜多川の元の方が安全と考える者もいた{{sfn|特別チーム|2023|pp=45-46}}。

=== 性的グルーミング ===
被害者には、喜多川への好意、喜多川を否定しきれない思いを語る人もおり、文春との民事裁判で性被害を証言した少年は裁判で「ジャニーさんに言いたいことはあるか」と聞かれ、「長生きしてください」と語っている<ref name="J-cast20230615">{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏はなぜ裁判で不利となる証言をしたのか　ジャニーズと争った「文春」弁護士が明かす|author= |url=https://www.j-cast.com/2023/06/15463394.html?p=all|website=J-castニュース|date=2023-06-15|access-date=2023-06-17}}</ref>。

こうした感情は、性的な目的で子供を巧妙に手なずける「[[グルーミング (性犯罪)|性的グルーミング]]」や、繰り返される{{仮リンク|虐待のサイクル|en|Cycle of abuse}}と、力の不均衡、良い扱いと悪い扱い、報酬と罰の繰り返しで強化される「[[外傷的絆]]（トラウマ性の絆、トラウマ・ボンド）」により生じた愛着であるという見解もある<ref name="渡辺">{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏の性加害疑惑追ったBBC番組制作陣が指摘した「グルーミング」の手口|author= 渡辺志帆|url=https://globe.asahi.com/article/14872032|website=GLOBE＋|date=2023-04-11|access-date=2023-06-04}}</ref>（外傷的絆は、[[ストックホルム症候群]]や[[攻撃者への同一化]]（暴力との同一化）といわれるものと共通の概念であると考えられている<ref>{{Cite web2 |df=ja |url=https://www.j-hits.org/_files/00106771/0_1guideline_ver3.pdf|title=子どものトラウマ診療ガイドライン|format=PDF|publisher=国立成育医療研究センター こころの診療部|date=March 2019 |accessdate=2022-06-07}}</ref>）。

特別チームは児童性的虐待は加害者が子どもが性加害に応じることを余儀なくされたり、子どもが望んで応じたような態度を示すように巧妙に信じ込ませ、誘導し追い込むのが典型的なやり口であるが本件もまさにそれであると指摘し、「被害少年の中に、ジャニー氏に気に入られることを嬉しいと思い、積極的にジャニー氏の自宅や合宿所に行くことを望んだ者がいたとしても、それは強者・弱者の権力構造の中で、ジャニー氏が仕掛けた巧妙な「罠」に絡めとられた結果なのであり、性虐待であることに何ら変わりはない。」と述べている{{sfn|特別チーム|2023|pp=44-45}}。

元ジャニーズJr.で「ジャニーズ性加害問題当事者の会」副代表の石丸志門も喜多川の機嫌を損ねて事務所をクビになったが、それ以降40年間、喜多川を恨むどころか感謝の念が消えたことはなかったという。当初は実名で告発した元ジャニーズJr.のことも批判していたが、若いカウアン・オカモトらの証言を受けて2023年に被害を証言し、「夢を見せられたことで、権力者であるジャニーさんに[[洗脳]]されていたんです」と語っている<ref name="ishimaru" />。

喜多川はジャニーズJr.にとって、性的虐待以外は「自分たちに良くしてくれている人」であったともいえ、「性加害さえなければジャニー氏に悪いところはない。」と語る被害者もいる{{sfn|特別チーム|2023|pp=45-46}}。特別チームは、「自分たちに良くしてくれている人を訴えることは、子どもには難しい。」と指摘している{{sfn|特別チーム|2023|pp=45-46}}。

=== 親に相談できない状況・心情 ===
親や身内に相談することは考えなかったかについて、特別チームのヒアリングに対し、被害者は、「親がジャニーズ事務所のタレントのファンであったことから履歴書を出して応募した。」「ジャニーズ事務所はレッスン料が無料で親に負担がかからなかった。」「ジャニーズ Jr.になった後、自分が舞台に立っているのを喜んで見に来てくれた。」「親を悲しませたくなかった。」「言えば自分も変態と思われそうだった。」「恥ずかしくてとても言えない。」などと述べており、親や身内に相談することは難しかった{{sfn|特別チーム|2023|pp=45-46}}。以上のような被害者の心理状態については、文藝春秋に対する訴訟の東京高裁判決でも、少年らが自ら捜査機関に申告することも、保護者に事実をうち明けることもしなかったとしても不自然ではないと判示されている{{sfn|特別チーム|2023|pp=45-46}}。

=== 被害者が幼いということ ===
アザールも、ジャニーズ事務所・喜多川が後押ししなければスターになれないという極めて強力な権力構造は、被害者の年齢を問わず酷いことであるが、喜多川の性加害の被害者はまだ幼く、それはより恐ろしいことだと指摘している<ref name="JBpress20230617" />。「この年齢で抵抗するか否かを判断するのは不可能だと思います。子どもに性交渉の了承は無理です。まだ幼いのです。喜多川氏はとんでもない権力の使い方をしました。」と批判している<ref name="JBpress20230617">{{Cite web |title=ジャニーズ性加害問題を報じたBBC制作陣が語る、ジャニーズ事務所の権力構造 #2 英王室やマイケル・ジャクソンも及ばないジャニー喜多川の怖さ|author= 長野光|url=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75346|website=JBpress|date=2023-05-28|access-date=2023-06-17}}</ref>。

被害者は若年で性の知識も経験もなく、何をされたのか理解できなかった、ひどいショックを受け、傷つき、混乱したという声もある。自尊心を破壊され、退所後も長年[[トラウマ]]、[[フラッシュバック (心理現象) | フラッシュバック]]に苦しんでいる、またはうつ病に陥った人もいるという<ref name="文春20230426">{{Cite web |title=「あの時抵抗できなかったから何をやってもダメなんだ」ジャニーズJr.被害少年が語る「自尊心を破壊された」ジャニー喜多川氏の性加害|author= |url=https://bunshun.jp/articles/-/62477|website=文春オンライン|date=2023-04-26|access-date=2023-06-04}}</ref><ref name="FNN">{{Cite web |title=「自尊心破壊された」元ジャニーズJr.が国会で訴え　性加害「知っていたことを正直に話して」|author= |url=https://www.fnn.jp/articles/-/536093|website=FNNプライムオンライン|date=2023-05-31|access-date=2023-06-04}}</ref>。

=== 所属タレントによる喜多川の好印象作り ===
喜多川は芸能プロデューサーとして傑出した才能を持つと芸能関係者から広く評価されており、彼が育てたアイドルの活躍する姿は、多くのファンを楽しませ、喜ばせてきた。特別チームは、彼の人柄について、「「優しく気さくで」「まめに気遣ってくれる」良い人で、ジャニー氏のことを「悪く言う人はいなかった」など、被害者からすらも好意的な評価や感謝の言葉が多く述べられた。」と報告している{{sfn|特別チーム|2023|p=42}}。

ジャニーズ事務所に所属する人気タレント達は、長年、テレビなどのメディアで喜多川の人柄を褒め讃え、「お父さんのような人」「優しい」「感謝している」等と、彼との思い出を楽しそうに語り、喜多川の好印象作りに寄与してきた<ref name="大峰">{{Cite web |title=ジャニーズの所属タレントにも｢連帯責任｣はある…ジャニー喜多川氏をわざわざ称賛したタレントの大問題|author=大峰光博 |url=https://president.jp/articles/-/70612|website=PRESIDENT Online|date=2023-06-19|access-date=2023-07-25}}</ref>。

[[名桜大学]]の大峰光博教授も「不用意に加害者に賛同しないこと」もまた加害行為に対する「反対の行動」であり、喜多川の人格をテレビ等で称賛し続けないと命に危険が及ぶような深刻なリスク構造があったのでなければ、喜多川による性加害の実態を知った上で彼らがこうした発言を続け、喜多川を社会に向けて美化し続けていた場合、新たな被害者を生み出す片棒を担いだと言え、明らかに罪と責任のあるジャニーズ事務所の社長や経営陣だけでなく、成年の責任ある立場の一部のタレントや、その中にはこれらの問題も認識していたのが妥当であり、彼らもまた、[[連帯責任]]がないとは言い難いと述べている<ref name="大峰" />。

=== 男性の性被害の軽視 ===
ジャニーズの性被害がまともに扱われてこなかった要因の一つとして、男性の性被害が軽視されがちなことが指摘されている。日本では、2017年に110年ぶりに性犯罪に関する刑法が改正されるまで、[[強制性交等罪]]で被害者は女性のみに限定されていた<ref name="石田" />。男子の性被害も決して珍しいものではないが<ref>{{Cite news |和書| author = | title = 打ち明けた　笑われた　周囲の無理解が苦しめる| date = 2023-03-27| newspaper = 朝日新聞| issue = | edition = 朝刊 1面}}</ref><ref>{{Cite web |title=男の子の性被害、珍しくない　実情受け止めて　第8部連載にあたって|author=大久保真紀|url=https://www.asahi.com/articles/ASR2W5DLDR2QUTIL00T.html|website=朝日新聞デジタル|date=2023-03-01|access-date=2023-06-05}}</ref>、法的に強姦の被害者が女性に限定されていた事実が示すように、「男性は性被害に遭うはずはない」<ref name="abema8628897">{{Cite web |title=「男性が性被害に遭うはずはない」「女性からの被害ならいいじゃないか」信じてもらえず、茶化され…声を上げられない男性の性暴力被害者たち|url=https://times.abema.tv/articles/-/8628897|website=ABEMA TIMES|date=
2020-10-15|access-date=2023-06-07}}</ref>「男性は加害者側で、被害者側ではない」<ref>{{Cite news |和書| author = | title = 強い恥の意識　男性被害の特徴| date = 2023-03-28| newspaper = 朝日新聞| issue = | edition = 朝刊 28面}}</ref><ref>{{Cite web |title=男子高校生からの「性の悩み」相談　全て「お母さんとのこと」だった|url=https://www.asahi.com/articles/ASR2W4TWXR2QUTIL027.html|website=朝日新聞デジタル|date=2023-03-03|access-date=2023-06-07}}</ref>などの思い込みがあり、男性の性被害は「単なるいたずら」として軽視されたり、バラエティー番組で笑い話として扱われるなど、性被害として認識されない風潮が強かった（2023年8月29日の再発防止特別チーム記者会見以前にはそうした風潮があった）<ref name="石田">{{Cite web |title=男性への性加害は、なぜ注目されづらいのか？ジャニーズ事務所、性加害告発の対応へ|author=石田健|url=https://www.theheadline.jp/articles/819|website=The HEADLINE|date=2023-04-24|access-date=2023-06-05}}</ref><ref name="出口">{{Cite web |title=ジャニーズ性加害は「緻密で悪質」　被害を認識しづらい「男子」特有の実態とは？|author=出口絢|url=https://www.bengo4.com/c_1009/n_16074/|website=The HEADLINE|date=2023-06-03|access-date=2023-06-05}}</ref><ref>{{Cite web |title=「めちゃめちゃ痛かった」タレントの性被害笑う番組も…今こそ考える“性的同意”|author=鎌田和歌|url=https://diamond.jp/articles/-/323113?page=3|website=The HEADLINE|date=2023-05-19|access-date=2023-06-05}}</ref>。男性の性暴力被害を調査している[[立命館大学]]大学院在学中の宮崎浩一[[臨床心理士]]は「被害男性が被害を認識できず、相談機関にも連絡できないため、問題が潜在化しやすい」との問題点を挙げている<ref name="yomiuri20230608">「男性の性被害　声上げづらく」読売新聞2023年6月8日朝刊15面</ref>。

=== 新聞の芸能界の性被害・男性の性被害の軽視 ===
読売新聞東京本社の[[滝鼻卓雄]]元社長が編集主幹だった当時、ジャニー喜多川の性加害問題の記事化の可否について相談を受けたことはなかったと語っており、毎日新聞の記者は芸能事務所内で未成年男子のタレントが社長に性加害を受けているという疑惑は、「しょせん週刊誌レベルの話だろ、芸能ネタだろ、被害者は女性じゃないだろ、って軽くみる風潮が記者にあったと思う」としており、ジャニーズ事務所への忖度ではなく、問題の深刻さを理解せず、軽視していたためとしている<ref name="プチ鹿島">{{Cite web |title=「しょせん週刊誌レベルの話だろって」事務所への忖度ではない…新聞が「ジャニーズ性加害」を報じなかった理由とは|url=https://bunshun.jp/articles/-/64215|author=プチ鹿島|website=文春オンライン|date=2023-7-11|access-date=2023-07-24}}</ref>。朝日新聞の田玉恵美論説委員も朝日新聞ではこれが性暴力であり深刻な人権侵害であるという認識がなく、女性への性暴力を精力的に取材していた記者でも「男性が被害者になりうるという感覚を持てていなかった」こと、週刊誌が得意とする「芸能界のゴシップ」にすぎず、新聞が扱う題材ではないと頭ごなしに切り捨てていたのではないかと、読売新聞と同様の記者の無理解、芸能界の性問題という「芸能界のゴシップは新聞は扱わないという意識、問題軽視を報道しなかった理由として挙げている<ref name="プチ鹿島" />。

=== 利権によるメディアコントロール・忖度による報道の自粛 ===
フロントロウ編集部によると、[[公共放送]]である[[日本放送協会|NHK]]をはじめ、日本の主要な[[新聞]]や[[テレビ]]は、2023年のカウアン・オカモトによる日本外国特派員協会で実名・顔出しでの記者会見まであえて全く報道しておらず、それ以降もごくわずかにしか報道されておらず、こうした主要マスメディアの対応が、このスキャンダルの大きな特徴であるとされた。またジャニーズ事務所が2023年に設置した「再発防止特別チーム」はこれらの現象を「メディアの沈黙」と題し、報告書にまとめ、提言した<ref name="フロントロウ" />。

{{main|#報道}}
*

== 経緯（2022年まで） ==
=== 一部出版社による告発 ===
喜多川が事務所に所属する男性タレントに対して猥褻な行為を行っているという噂や、裁判での証言は1960年代からあり<ref>{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏に向けられた具体的な性加害疑惑 = 約60年にわたる証言の歴史 |author=金子侑輝、石田健 |date=2023-4-14 |url=https://www.theheadline.jp/articles/815 |website=The HEADLINE |accessdate=2022-04-30}}</ref>、日本の一部出版社でのみ扱われていた。例として、下記のような一部[[週刊誌]]で報じられた。

* [[週刊サンケイ]]（1965年3月29日号、[[扶桑社|産経新聞出版局]]）『“ジャニーズ”売り出しのかげに』<ref name=":9">{{Cite web |title=ジャニーズ性加害報道、最初は「1965年」 雑誌や書籍の追及はなぜ見過ごされたか - 弁護士ドットコムニュース |url=https://www.bengo4.com/c_18/n_15987/ |website=弁護士ドットコム |access-date=2023-05-15 |language=ja |publisher=弁護士ドットコム |date=2023-05-15}}</ref>
* [[女性自身]]（1967年9月25日号、[[光文社]]）『ジャニーズをめぐる“同性愛”裁判　東京地裁法廷で暴露された4人のプライバシー』<ref name=":9" />
* [[週刊現代]]（1981年4月30日、[[講談社]]）『[[たのきんトリオ]]で大当たり 喜多川姉弟の異能』<ref name=":9" />
* [[週刊文春]]（1999年10月以降<ref name="cyzo201907">[https://www.cyzo.com/2019/07/post_209867_entry.html 【ジャニー喜多川氏追悼特集2】全メディアが沈黙した「中居の中絶」と「長瀬と山口らの乱交パーティー」｜日刊サイゾー]</ref><ref name=":05">{{Cite web |title=「これを我慢しないと売れないから」英BBCが報じたジャニー喜多川氏の性加害 元ジャニーズJr.が顔出しで衝撃告白（文春オンライン） |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/f61cdf8ca977d38a96290808ef49e3cce7552fbc |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-03-08}}</ref>[[文藝春秋]]）

また[[データハウス]]（1988年以降）や[[鹿砦社]]（1996年以降）により、元所属タレントによる告発本（いわゆる[[暴露話|暴露本]]）が出版されたが、むしろ{{誰範囲|date=2023年9月|筆者や出版社をゴシップで金儲けを企む輩との見方を強め}}、芸能界ではこれをタブー視したため一部の報道に留まっていた<ref name="中村" /><ref>{{Cite web |title=いま振り返るジャニーズの“少年愛”報道【第8回】“ジャニーズ”であるための「恐怖の儀式」――恥辱に耐えた“僕”すら拒絶したホルモン注射 |author=渡邊孝浩 |date=2018-9-26 |url=https://www.cyzowoman.com/2018/09/post_203506_1.html |website=サイゾーウーマン |accessdate=2022-02-12}}</ref>。

=== 1964年の裁判 ===
1964年には、ジャニーズ事務所が芸能学校「新芸能学院」と授業料の支払いと喜多川による生徒への猥褻行為を巡って裁判となり、その際に喜多川による性的虐待については当時、「[[ジャニーズ (グループ)|ジャニーズ]]」（グループ名）はどうなるのか等と一部の週刊誌で記事化され、公になったが当時は同性愛へのタブー視と重なり、あまり表沙汰にならなかった<ref name="中村" /><ref name="渡邊">{{Cite web |title=いま振り返るジャニーズの“少年愛”報道【第1回】54年前、毒牙にかけられた「初代ジャニーズ」――ジャニー喜多川の“セクハラ過去”を再考 |author=渡邊孝浩 |url=https://www.cyzowoman.com/2018/06/post_187222_1.html |website=サイゾーウーマン |date=2022-12-31 |access-date=2023-04-07}}</ref>。

法廷では中谷良ら人気グループとなっていたジャニーズの4人が出廷し、原告弁護士から性的虐待の有無について確認され、否定しているが、中谷良は後の告発本で、喜多川に「それが自分たちにとって最高の手段であるのだ」と説き伏せられ、決められた通りにした答弁であり、その後「あの証言は偽りで、性的虐待はあった」と語った<ref name="渡邊" />。

その結果、[[東京地方裁判所|東京地裁]]は「証拠がない」として性加害を認定しなかった<ref>{{Cite web |title=検証・ジャニー氏 性加害問題 2度の裁判とメディアの責任【報道特集】 {{!}} TBS NEWS DIG (2ページ) |url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/549163 |website=TBS NEWS DIG |date=2023-06-17 |access-date=2023-06-25 |language=ja}}</ref>。

=== 元ジャニーズによる告発本（1988年 - 2005年） ===
下記のような、事務所に所属したタレントらにより事務所の内情を取り上げた、いわゆる「暴露本」が出版された。

* 元[[フォーリーブス]]の[[北公次]]著『光GENJIへ』シリーズ（[[データハウス]]、[[1988年]]<ref name=":06" />） -  ミュージシャンの''ジーザス花園が翌年本書に影響を受け楽曲「ジャニー＆メリー」を制作''<ref>{{Cite web |title=『北公次』 |url=https://ameblo.jp/tama36/entry-11178792772.html |website=【スワンの涙目】 ～ジーザス花園ブログ～ |access-date=2023-09-10 |language=ja}}</ref><ref>{{Citation|title=非常にキケンな歌 「ジャニー＆メリー」 by.ジーザス花園|url=https://www.youtube.com/watch?v=Moo27ulOaSc|language=ja-JP|access-date=2023-09-10}}</ref>
* 元[[ジューク・ボックス]]の小谷純・やなせかおる著『さらば!!光GENJIへ』（データハウス、1989年）
* 元ジャニーズの中谷良著『ジャニーズの逆襲』（データハウス、1989年）
* [[平本淳也]]著『ジャニーズのすべて―少年愛の館』（[[鹿砦社]]、[[1996年]]）
* [[豊川誕]]著『ひとりぼっちの旅立ち － 元ジャニーズ・アイドル 豊川誕半生記』（鹿砦社、1997年3月）
* 元光GENJI候補の木山将吾（山崎正人）著『[[SMAPへ - そして、すべてのジャニーズタレントへ]]』（[[鹿砦社]]、[[2005年]]<ref name=":06" />）

=== 噂の眞相の特集記事（1988年 - 1989年）===
1988年（[[昭和]]63年） - 1989年（昭和64年/[[平成]]元年）にかけて、[[噂の眞相]]が特集記事としてこの問題を数回取り上げた。

=== 週刊文春の特集記事と民事訴訟（1999年 - 2004年） ===
[[1999年]]（平成11年）、[[週刊文春]]がジャニーズ事務所に関する特集記事『ホモセクハラ追及キャンペーン<ref name="cyzo201907" />』を掲載し、喜多川が所属タレントに対して「わいせつ行為」「ホモ・セクハラ行為」（ともに2023年現在では性加害行為に該当）を行い、事務所では未成年所属タレントの喫煙などがあると報道した。

週刊文春は取材対象に対して20時間以上のインタビューを行い、重要な点には複数の取材対象に様々な角度から質問を行い確認している<ref name="赤羽・石田">{{Cite web |title=ジャニー喜多川は、どのような性加害をしたのか？真実性が認定されたJr.への「わいせつ行為」 |author=赤羽秀太、石田健 |date=2023-4-12 |url=https://www.theheadline.jp/articles/814 |website=The HEADLINE |accessdate=2022-04-29}}</ref>。一連の特集記事では、10名以上の少年および事務所OBが、[[1960年代]]から[[1990年代|90年代]]にかけての出来事について取材に応じて語っている<ref name="赤羽・石田" />。記事では、インタビューを受けたジャニーズ事務所に所属していた少年たちが、主に喜多川の自宅（通称「合宿所」）で、夜ベッドで寝ている際に「わいせつ行為」や「ホモ・セクハラ行為」を受けていたことが語られていた<ref name="赤羽・石田" />。また喜多川は、[[京都]]や[[大阪]]に出張した際に宿泊するホテルでも、関西ジャニーズJr. の少年らを泊まらせて、同様の行為をおこなっていたと述べられていた<ref name="赤羽・石田" />。同誌によると、一連の特集で取材に応じたすべての少年が、「親には絶対に言えません」と話したという<ref>{{Cite web |title=ジャニー氏「性加害」 裁判所が“真実性”認定も…「逮捕」へ至らなかった“ある理由” |author=弁護士JP編集部 |date=2023-4-14 |url=https://www.ben54.jp/news/383 |website=弁護士JPニュース |accessdate=2022-04-30}}</ref>。

同誌は、喜多川が少年たちの夢への思いを利用して自らの欲望を満たしていると非難し、こうした行為が東京都や大阪府の[[青少年健全育成条例]]に抵触するおそれがあると指摘した<ref name="赤羽・石田" />（2017年の法改正で[[強制性交等罪]]が新設されるまで、強姦罪の被害者として認められるのは女性に限られていた<ref name="赤羽・石田" /><ref name="髙橋">{{Cite web |title=「表と裏」の法律知識 ジャニー喜多川氏の性加害行為の法的問題は何か？ 根深さを表す2つのこと |author=髙橋裕樹弁護士 |date=2023-4-30 |url=https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/322359 |website=日刊ゲンダイDIGITAL |accessdate=2022-04-30}}</ref>。タレント事務所の社長が、それに抵抗することが困難な所属タレントに対して圧倒的な力関係を背景に性交を迫っても、暴行や脅迫を用いたとはいえず、[[強姦罪]]として処罰することはできなかった（現在も困難）<ref name="髙橋" />。また日本の[[性交同意年齢]]は、2023年7月13日に16歳に引き上げられるまで、[[明治時代]]から13歳のままであったため、13歳以上であれば加害者が監護者（親など）等でない限り、「抵抗が著しく困難になるほどの暴行または脅迫があったこと」が証明できなければ、強制性交等罪や強制わいせつ罪は成立しなかった<ref>{{Cite web |title=日本は性犯罪に寛容？ 〜性交同意年齢は13歳、主要国で最低 |date= |url=https://3keys.jp/issue/d01/ |website=3keys |accessdate=2022-04-30}}</ref>。そのため、法律違反ではなく条例違反を指摘する形となっている）。

これらの記事は、[[衆議院]]の[[特別委員会]]でも取り上げられた<ref name="cyzo201907" /><ref>[https://president.jp/articles/amp/29399?page=2 ジャニーズの暗部に触れないメディアの罪 少年たちへの"性的虐待"という事実]PRESIDENT Online</ref>。週刊文春の報道に対し、ジャニーズ事務所・喜多川は記事が[[名誉毀損]]であるとして文春に対し、1億円あまりの[[損害賠償]]を要求する[[民事訴訟]]を起こした<ref name=":05" />。

==== 裁判で問題になった記事 ====
出典:<ref name="赤羽・石田" />
{| class="wikitable"
! 掲載順!! タイトル 
!掲載号
!記事内容
|-
|1|| style="width:45%;" |元[[フォーリーブス]][[青山孝史|青山孝]] 衝撃の告発　芸能界のモンスター「ジャニーズ事務所」の非道　TVも新聞も絶対報じない
|1999年10月28日号
|フォーリーブスへの冷遇
|-
|2||「芸能界のモンスター」追及第2弾　ジャニーズの少年たちが耐える「おぞましい」環境　元メンバーが告発
|1999年11月4日号
|ジャニー喜多川による性加害、ジャニーズJr.の飲酒喫煙、学校に行けないスケジュールを課している
|-
|3||[https://bunshun.jp/denshiban/articles/b5355 「芸能界のモンスター」追及第3弾　ジャニーズの少年たちが「悪魔の館」合宿所で強いられる〝行為〟]
|1999年11月11日号
|ジャニー喜多川による性加害
|-
|4||追及キャンペーン4 マスコミはなぜ恐れるのか　テレビ局が封印したジャニーズの少年たち 集団万引き事件
|1999年11月18日号
|ジャニーズ事務所によるジャニーズJr.の万引行為の隠蔽、マスメディアのジャニーズ事務所への恐れ・追従
|-
|5||[https://bunshun.jp/denshiban/articles/b5358 芸能界のモンスター 追及第5弾　ジャニー喜多川は関西の少年たちを「ホテル」に呼び出す]
|1999年11月25日号
|ジャニー喜多川による性加害、関西出身のジャニーズJr.たちの給与面などにおける冷遇
|-
|6||芸能界のモンスター 追及第6弾　ジャニーズOBが決起　ホモセクハラの「犠牲者」たち
|1999年12月2日号
|ジャニー喜多川による性加害、所属タレントの冷遇
|-
|7||[https://bunshun.jp/denshiban/articles/b5359 芸能界のモンスター 追及第7弾　ジャニー喜多川「絶体絶命」　小誌だけが知っている]
|1999年12月9日号
|ジャニー喜多川による性加害
|-
|8||芸能界のモンスター 追及第8弾　ジャニーズ人気スターの「恋人」が脅された!
|1999年12月16日号
|ファンを無視したファンクラブ運営
|}
[[2002年]]（平成14年）3月27日の一審判決では、記事で証言した少年2人も出廷したものの[[東京地裁]]は文春側に880万円の損害賠償を命じた。そのため、文春側はこれを不服として[[東京高裁]]に控訴した<ref name=":04">[http://www.midori-lo.com/column_lawyer_138.html 裁判所が認定したジャニー喜多川による少年への「淫行行為」]みどり共同法律事務所</ref>。地裁は少年らの供述の信用性を認めず、週刊文春が一審で[[敗訴]]した際には日本のテレビや新聞などメディアは大きく取り上げた<ref name=":05" />。

二審で裁判所は「これらの少年らの一審原告喜多川のセクハラ行為の態様及びその時の状況に関する供述内容はおおむね一致するものであり、かつ具体的である」として少年達の供述の信用性を評価し、一方、喜多川の反論の曖昧さを指摘しており、喜多川は「彼たちはうその証言をしたということを、僕は明確には言い難いです」と、少年達の証言が虚偽ではないと間接的に認める証言も残している<ref name="赤羽・石田" />。裁判では、性加害行為を告発した元ジャニーズの著作が証拠の一部として参照され、裁判官によって言及された<ref name="赤羽・石田" />。裁判所は週刊文春の取材は十分な裏取りがなされているものと判断した<ref name="赤羽・石田" />。

[[2003年]]（平成15年）7月15日の二審判決では、「ジャニーが少年らに対しセクハラ行為をしたとの証人少年A、同少年Bの各証言（一審と共に法廷で証言）はこれを信用することができ、これらの証拠によりジャニーが、少年達が逆らえばステージの立ち位置が悪くなったりデビューできなくなるという[[抗拒不能]]{{efn|「抗拒不能」とは、被害者の抵抗が著しく困難な状態という意味であり、準強制性交（準強姦）や[[準強制わいせつ]]は、抗拒不能か心神喪失でなければ罪は成立しないと解釈されている。}}な状態にあるのに乗じ、セクハラ行為をしているとの本件記事は、その重要な部分について真実であることの証明があったものというべきである<ref name=":04" />」として喜多川による所属タレントへの[[性的虐待]]を[[認定]]した<ref name=":06" />。性的虐待部分の[[勝訴]]は取り消され、損害賠償額は一審の850万円から120万円に[[大幅]]に減額されたが、この判決は日本ではほとんど報道されなかった。アメリカの法学者・社会学者の{{仮リンク|マーク・D・ウェスト|en|Mark D. West}} 氏は「喜多川は敗訴したが、マスコミがほぼ報道しなかったことで、スキャンダル争いに勝利した」と述べている{{sfn|West|2008|pp=210-211}}。

==== 裁判の論点と裁判所の判断 ====
出典:<ref name="赤羽・石田" />
{| class="wikitable" style="width:80%;"
! 記事内容!!真実性・相当性
|-
| style="width:80%;" |喜多川が自社に所属する少年たちに対し、自分に逆らえばステージの立ち位置が悪くなったり、デビューできなくなるという抗拒不能な状況にあるのに乗じ、「わいせつ行為」「ホモ・セクハラ行為」（今でいう性加害行為）をした。|| {{yes2|'''認める'''}}
|-
|自社に所属する少年らに対し、合宿所と呼ばれる喜多川の自宅等で、日常的に飲酒、喫煙をさせた。|| {{no2|認めない}}
|-
|ジャニーズ事務所がジャニーズJr.による[[万引]]行為を隠蔽した。|| {{no2|認めない}}
|-
|ジャニーズ事務所がフォーリーブスを冷遇した。||{{no2|認めない}}
|-
|ジャニーズ事務所が所属タレントを冷遇した。|| {{no2|認めない}}
|-
|ジャニーズ事務所が所属する少年らに対し、学校に行けないスケジュールを課した。|| {{yes2|'''認める'''}}
|-
|ジャニーズ事務所が関西出身のジャニーズJr.の少年たちを給与面などにおいて冷遇した。|| {{yes2|'''認める'''}}
|-
|ジャニーズ事務所がファンを無視したファンクラブ運営を行った。||{{yes2|'''認める'''}}
|-
|マスメディアがジャニーズ事務所を恐れ、追従した。||{{yes2|'''認める'''}}
|}
ジャニーズ事務所・喜多川側は、損害賠償額を不服として[[最高裁]]に上告したが、[[2004年]]（平成16年）2月24日に最高裁第三小法廷（[[藤田宙靖]]裁判長）は喜多川の上告を棄却した。文藝春秋が賠償を一定額命じられた一方で、ジャニーズ事務所所属タレントに対する喜多川のセクハラについての文藝春秋記事の重要部分を真実と認める判決が確定した（賠償額は高裁判決の通り120万円）<ref>朝日新聞2004年2月25日 朝刊 p.34</ref><ref name=":05" />。

=== ジャニー喜多川の死（2019年） ===
2019年7月、喜多川が死去した。大規模な「[[ジャニー喜多川お別れの会|お別れの会]]」が開催され、多くの関係者やファンらが参列した<ref>{{Cite web |title=ジャニーさんとファン8万8000人もお別れ 芸能関係者過去最多に 東京ドームに行列2本 - スポニチ Sponichi Annex 芸能 |url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/09/05/kiji/20190904s00041000397000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-10-04 |language=ja}}</ref>。当時の[[安倍晋三]][[内閣総理大臣]]はその業績を称賛し、人徳を讃える[[弔電]]を送った<ref>{{Cite web |title=ジャニーさんお別れの会 関係者・タレントに見守られ【安倍首相の弔電全文】 |url=https://www.oricon.co.jp/news/2143729/full/ |website=ORICON NEWS |date=2019-09-04 |access-date=2023-04-29}}</ref>。

=== 週刊文春の報道（2019年） ===
;2019年7月25日号
:「本誌しか書けない稀代のプロデューサーの光と影 ジャニー喜多川審美眼と『性的虐待』」と題し、元ジャニーズの新たな証言を報じた<ref name="文春201907">{{Cite web |title=ジャニー喜多川　審美眼と「性的虐待」――稀代のプロデューサーの光と影 |url=https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1039 |website=文春オンライン |date=2019-07-18 |access-date=2023-04-14}}</ref>。

=== 海外の報道（2019年）===
[[イギリス]]の『[[BBCニュース]]』は過去、事務所に所属していた少年たちから性的虐待（[[グルーミング_(性犯罪)|グルーミング]]）の告発が繰り返されたと掲載。また、日本のTV等の大手メディアでは[[報道におけるタブー|タブー視され報じられないこと]]についても掲載した<ref>[https://www.excite.co.jp/news/article/Cyzo_201907_post_209847/ ジャニー喜多川社長の”性的虐待”を報じた英BBCニュースに称賛の嵐「これこそがメディアの姿」｜日刊サイゾー]</ref>。

[[フランス]]の[[フランス通信社|AFP]]も、ジャニーズ事務所に集まった少年たちを虐待していたという疑惑も浮上したと報じている<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/3234648 ジャニー喜多川さん死去 87歳 日本の男性アイドルを多数輩出」｜AFP]</ref>。

[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ニューヨーク・タイムズ]]では、少年たちへの性的虐待を認定した東京高裁判決にも触れている<ref>[https://wezz-y.com/archives/67612 ジャニー喜多川氏の少年たちへの性虐待を認めた東京高裁判決は、永久に黙殺されるのか｜wezz-y]</ref>。

=== 元ジャニーズの証言（2021年）===
2021年1月2日には、前田航気（元[[7 MEN 侍|7MEN 侍]]）が海外向けエンタメニュースサイト「ARAMA！JAPAN」でのインタビューで喜多川の性的虐待に触れた<ref name="前田">[https://web.archive.org/web/20220213034707/https://wezz-y.com/archives/85276 ジャニー喜多川とジャニーズJr.の「性的な関係」晩年まで？　元7 MEN 侍メンバーが新たに証言] wezzy 2021年1月4日</ref><ref name=":4">[https://www.cyzowoman.com/2021/01/post_320241_1.html ジャニー喜多川氏「ジャニーズJr.と性交あった」発言の波紋ーー暴露本『光GENJIへ』から続く告発の歴史] サイゾーウーマン 2021年1月5日</ref>。

== 性的虐待の問題化 (2023年〜) ==
=== BBCの長編ドキュメンタリー（2023年） ===
{{External media|topic=全編を視聴 |width=400px |video1=[https://www.youtube.com/watch?v=zaTV5D3kvqE BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者：秘められたスキャンダル」【日本語字幕つき】] - BBC News Japan公式YouTube}}[[イギリス]]の[[英国放送協会|BBC]]は、[[英国アカデミー賞]]・英国王立テレビ協会賞を受賞したジャーナリストのモビーン・アザーが制作した、喜多川の性加害を題材とした長編ドキュメンタリー『{{仮リンク|J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル|de|Predator: The Secret Scandal of J-Pop}}』を、イギリス時間で2023年3月7日午後9時（日本時間の3月8日午前6時）から[[BBC Two]]で放送した<ref name="bbc2023">{{Cite web |title=加害が明るみに……それでも崇拝され 日本ポップス界の「捕食者」 |url=https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64832492 |website=BBCNEWS JAPAN |date=2023-03-07 |access-date=2023-09-14 |author=モビーン・アザー}}</ref><ref name="フロントロウ" />。喜多川の性加害の被害者である元ジャニーズJr.へのインタビューや、ジャニーズ事務所への直接取材が断られる様子などが放映された。

日本でも、イギリスでの放送後の3月8日の昼頃に[[YouTube]]のBBC News Japan公式チャンネルで3分37秒間の[[日本語]][[字幕]]付きのダイジェスト動画を公開<ref group="動画">{{YouTube|J9TTmpnXR1s|BBC、故ジャニー喜多川氏の加害について取材　言葉を詰まらせる元ジュニア}}（[[BBCワールドニュース#BBCグローバルニュースジャパン|BBC News Japan]]、2023年3月8日公開）</ref>。3月18日には『[[BBCワールドニュース]]』が『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』の邦題で午後6時10分から50分間放送<ref name="bbc2023" /><ref name=":5">{{Cite news |title=ジャニーズ子会社の社長になった滝沢秀明　まず最初にタッキーから警告を受けたタレントは誰だったのか？ |newspaper=[[TABLO]] |date=2019-1-24 |author=那目鯛子 |url=https://tablo.jp/archives/1251 |accessdate=2022-2-17}}</ref>。6月17日には、テレビ放送ではカットされた約5分間の内容と、放送後の動向報道をエンディングに[[テロップ]]で付け加えた、日本語字幕付きの本編動画が上記YouTubeチャンネルで無料公開された<ref>{{Cite web2|url=https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2306/18/news045.html|title=BBC、ジャニー氏による性加害問題のドキュメンタリーを日本語字幕付きでYouTubeに公開|accessdate=2023-06-21|date=2023-06-18|website=ねとらぼ|publisher=[[ITmedia|アイティメディア]]株式会社|df=ja}}</ref><ref>{{Cite web2|url=https://bunshun.jp/articles/-/63703|title=BBCドキュメンタリーは、ジャニー喜多川氏の「スキャンダル」報道でなにを浮き彫りにしたか《YouTubeで動画公開》「J-POPの捕食者 〜秘められたスキャンダル」を見る #1|accessdate=2023-06-21|date=2023-06-18|website=[[文春オンライン]]|publisher=株式会社[[文藝春秋]]|df=ja}}</ref><ref>{{Cite web2|url=https://bunshun.jp/articles/-/63704|title=ジャニー喜多川氏に“グルーミング”されたのは「日本社会そのもの」だったのかもしれない《BBCが番組を無料公開》「J-POPの捕食者 〜秘められたスキャンダル」を見る #2|accessdate=2023-06-21|date=2023-06-18|website=文春オンライン|publisher=株式会社文藝春秋|df=ja}}</ref><ref name="BBC_ジャニーズ" group="動画">{{YouTube|zaTV5D3kvqE|BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者：秘められたスキャンダル」【日本語字幕つき】}}（BBC News Japan、2023年6月17日公開）</ref>。

BBCでの放送後には、[[大韓民国|韓国]]の[[朝鮮日報]]<ref>[https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/09/2023030980094.html 「隣の部屋に両親がいるのに…」 　故ジャニー喜多川氏、未成年者への性的虐待暴露される] 朝鮮日報 2023年3月9日</ref>のほか、イギリス紙の[[ガーディアン]]やアメリカの[[三大ネットワーク]]の一つでもある[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー|ABC]]、ジャニーズがコンサートを行うことが多い[[香港]]や[[台湾]]などのメディアも報じている<ref name="bunshun20230323">[https://bunshun.jp/articles/-/61367 ジャニーズ事務所“性加害問題”新たな元ジュニアが被害告白「当時僕は13歳、口でされました…」｜週刊文春]</ref>。

FRIDAYによるアザーへのインタビュー記事によれば、ドキュメンタリーを制作した経緯についてBBCの記者は週刊文春からジャニー喜多川の性加害裁判の話を聞き、なぜ大きく報道されないのか興味を持ち、4年間の構想・リサーチを経て、2022年8～9月には本格的に日本で取材を始めたと語っている。[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス]]の[[新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)|感染拡大]]の影響で少し形にするのが遅れたという<ref name="friday20230318">[https://friday.kodansha.co.jp/article/301162?page=2 【独占インタビュー】英BBC「ジャニー喜多川氏告発番組」取材記者が語る「4年間の戦い」｜FRIDAY （2023年03月18日）]</ref>。

=== 「週刊文春」の報道（2023年）===
2023年3月23日号の週刊文春は、BBCの報道とは別に新たな元ジャニーズJr.の性被害を報じた。文春によると、当時13歳だった少年が喜多川からの性被害に遭ったと語った<ref name="bunshun20230323" />。

BBCに取材協力している週刊文春は、『[[BBCワールドニュース]]』で放送されるのを機に同誌が過去に報じた喜多川の性加害の記事を再公開した<ref name="bunshun61371">[https://bunshun.jp/articles/-/61371 BBC「ジャニー喜多川氏性加害」告発番組　全世界放送へ　発覚の原点「週刊文春」1999年ジュニアへのセクハラ告発記事を再公開｜週刊文春]</ref>。

2023年3月30日号の週刊文春は、新たな元ジャニーズJr.の性被害を報じた。90年代にジャニーズJr.だった、2023年現在30代の男性が文春の取材に協力した<ref name="bunshun20230330">[https://bunshun.jp/articles/-/61528?page=2 「突然、ディープキスを…」また新たな元ジュニアがジャニー喜多川氏の性加害を告白　ジャニーズ事務所は事実確認に回答せず」｜週刊文春]</ref>。

2023年4月6日号の週刊文春に、元ジュニアで6人目の被害告白が掲載された<ref name="bunshun20230406">[https://bunshun.jp/articles/-/61681?page=2 米弁護士は「フロリダなら15年の懲役も」ジャニー喜多川氏「少年性虐待」元ジュニア6人目の被害告白」｜週刊文春]</ref>。

週刊文春のウェブサイトと2023年4月20日号に、カウアン・オカモトと同世代の20代後半でカウアンと酷似した体験を告白する8人目の証言者（D氏）の証言が掲載された<ref name="文春202304">{{Cite web |title=「ジャニーさんと性的な接触をしてないと先に進めない」　ジャニーズ8人目「性被害ジュニア」の証言 |url=https://bunshun.jp/articles/-/62084 |website=文春オンライン |date=2023-04-12 |access-date=2023-04-13}}</ref>。

=== 元ジャニーズJr.の実名での記者会見（2023年） ===
2023年4月12日、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトが日本外国特派員協会で記者会見を行いジャニーズ事務所に所属していた15歳から退所まで、喜多川から計15-20回の性暴力を受けたと公表した<ref name="NWJ2023">{{Cite web |title=【全文】元Jr.のカウアン・オカモトが「ジャニー喜多川氏の性加害」会見で語ったこと |author=大橋希 |url=https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2023/04/jr-7.php |website=Newsweek 日本版 |date=2023-04-13 |access-date=2023-04-13}}</ref><ref group="動画">{{YouTube|97646Oi0YFw|【ノーカット】「前社長から性的被害」 元ジャニーズ所属歌手会見}}（[[KYODO NEWS]]、2023年4月12日公開）</ref>。

カウアンは週刊文春の取材を受けた際に、「日本のメディアは残念ながらこの問題について極めて報じにくい状況にあります。BBCが報じたように外国のメディアなら取り上げてくれるのでは」と言われ、この記者会見を受けることにした。「こうやって記者会見を開くことで、日本（のメディア）が取り上げなかったとしても世界で取り上げていただけるので、そこは覚悟して話している。（日本メディアは）取り上げないだろうなと思って話してるんですけど、僕だけじゃなくて、匿名の方もたくさんいるので、もしかしたら変わるかもしれないって希望はいだいてます。」と語った<ref name="NWJ2023"/>。

さらにカウアンは、喜多川のマンションに一度に泊まれる人数が最大20人で毎回それくらい呼ばれており、被害者は（彼がジャニーズ事務所に在籍した範囲で）少なく見積もって100人、200人はいるのではないかと推測している<ref name="NWJ2023"/>。

カウアンのこの記者会見では、同問題に対して黙殺を貫いてきた[[日本放送協会|NHK]]等が質問をする姿も見られた<ref name="松谷"/>。NHK記者の主要メディアが報道していたらジャニーズ事務所に行かなかったかという質問に対し、ジャニーズ事務所に入所した当時、喜多川の所属タレントに対する性的虐待疑惑は特にニュースになっておらず、知る余地がなかったので知らなかった、もしテレビが取り上げていたら親も行かせないだろうし、入所しなかったのではないか、と振り返った<ref name="NWJ2023"/>。

カウアンの記者会見の後、NHKは4月13日に本件についてテレビで報道し、日本のテレビ局として喜多川の性加害に関する初めてのテレビ報道となったが視聴者の少ない夕方4時の5分ニュース枠で時間は2分であり、視聴者数の多い19時台以降のニュース番組では取り上げられなかった<ref name="弁護士2023">{{Cite web |title=NHK、ジャニー喜多川さんの「性的行為」問題報じる…夕方の5分ニュースで |url=https://www.bengo4.com/c_18/n_15888/ |website=弁護士ドットコムニュース |date=2023-04-13 |access-date=2023-04-30}}</ref><ref>{{Cite web |title=NHK、ジャニー喜多川元社長「性加害」報道も夕方枠のみ。「アリバイ作り」疑う声も |author=SAKISIRU編集部 |url=https://sakisiru.jp/42274 |website=SAKISIRU |date=2023-04-14 |access-date=2023-04-30}}</ref>。また自社のウェブニュースサイトである[[NHKニュース#インターネット|NHK NEWS WEB]]にも初めて記事を掲載した。NHKメディアの[[林理恵]]総局長も定例記者会見でカウアンの記者会見の報道について質問され、「NHKとしてきちんと発信していると考えています」と述べた<ref>{{Cite web |title=ＮＨＫ、ジャニーズ性加害報道を「きちんと発信している」　メディア総局長が説明 |url=https://www.sankei.com/article/20230419-UEGVFMMLIVOYRJC5SBCPSTURRU/ |website=産経新聞 |date=2023-04-19 |access-date=2023-04-30}}</ref>。[[KAI-YOU|KAI-YOU.net]]の恩田雄多編集長によると、この時点では民放のテレビ局各社は一切報じておらず日本国内ではNHKのみが報じていた<ref name="kai-you20230413">[https://kai-you.net/article/86502 NHK、ジャニーズ事務所の性加害問題を初報道　各キー局は未だ沈黙｜KAI-YOU.net]</ref>。

大手新聞の報道も消極的であった。2023年4月13日、[[毎日新聞]]・[[日本経済新聞]]・[[産経新聞]]は[[共同通信]]に加盟していることから前述の配信記事を引用する形で、[[朝日新聞]]と[[読売新聞]]も同日付朝刊とウェブサイトにて掲載した<ref name=":2">{{Cite web |title=元ジャニーズJr.性的被害「黙殺」徐々に変化？ 岡本カウアンさん証言、大手紙・全国ラジオでも報道 |url=https://www.j-cast.com/2023/04/13459756.html?p=all |website=J-CASTニュース |date=2023-04-13 |access-date=2023-05-15 |author=工藤博司}}</ref>。ラジオ局についても会見当日の4月12日夕方に[[CBCラジオ]]と[[TBSラジオ]]、[[文化放送]]がそれぞれ数分間報じるのみだった<ref name=":2" />。

[[TBSテレビ]]は4月22日に『[[news23]]』で約1分半報道<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ事務所「問題がなかったなどと考えているわけではない」 タレントへの“性被害”疑惑 |url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/448746 |website=TBS NEWS DIG |date=2023-04-22 |access-date=2023-09-30 |language=ja}}</ref>。

翌日、『[[サンデーモーニング]]』でも同様の内容を報道した<ref>{{Cite web |title=TBS「サンモニ」ジャニー喜多川氏の問題を放送「勇気ある告発にどう向き合うかが問われている」 |author=亀松太郎 |url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5a260f7ab2e044b231aee37c043c94d044ffe2a4 |website=Yahoo!ニュース |date=2023-04-23 |access-date=2023-04-30}}</ref>。

民放テレビ局での報道が遅れたことについて、カウアンの記者会見を取材した日本メディアの1社である[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の[[下川美奈]]は性被害などを採り上げる場合、被害者の主張が一方的になる事を防ぐことや裏取りの入手を目的として、相手側（加害者またはその関係者）の反応も併せて報じることを原則としているが、当初ジャニーズ事務所は共同通信と一部新聞にのみコメントを出す「メディア選別」を行っていたためと語っている<ref>{{Cite journal|author=下川美奈|date=2023-07-10|title=ジャニーズ性被害訴える会見|url=https://s3-us-west-2.amazonaws.com/jnpc-prd-public-oregon/files/2023/07/b4d8f794-afe5-4b93-8599-8eafd4a18bdb.pdf|journal=日本記者クラブ会報|issue=641|page=10|publisher=公益社団法人 日本記者クラブ|accessdate=2023-07-20}}</ref>。

海外メディアでも報じられており、イギリス紙[[デイリー・テレグラフ]]のオンライン版でもあるthe Telegraphは、業界関係者らがイギリスの著名なテレビ司会者で死後に未成年者らへの性犯罪問題が明らかになった[[ジミー・サヴィル]]や、性加害問題などで失脚したアメリカの著名な映画プロデューサーだった[[ハーヴェイ・ワインスタイン]]の事件と今回のケースを比較していることを伝え、喜多川について「日本のジミー・サヴィル（''Japan’s Jimmy Savile''）」と報じている<ref name="telegraph">{{Cite web|url=https://www.telegraph.co.uk/world-news/2023/04/16/johnny-kitagawa-japan-child-abuse-pop-music-savile/ |author=Julian Ryall |title=How a culture of silence helped Japan’s Jimmy Savile get away with decades of child abuse |website=The Telegraph |date=2023-4-16 |accessdate=2023-09-12}}</ref>。

=== ジャニーズ事務所による内々の対応（2023年4月） ===
2023年4月21日、[[朝日新聞]]および[[東京新聞]]はジャニーズ事務所が社員や所属タレントを対象に喜多川による性被害の聞き取り調査を行った結果などを、現社長の[[藤島ジュリー景子]]名義の文書で取引先企業に報告したことを報道した。社内ヒアリングのため十分ではないとしつつ、この時点で問題点は確認されていないとしている。

喜多川が故人であることから事実確認は困難だとしつつ、「問題がなかったなどと考えているわけではございません」「メディアでの報道、告発等については真摯に受け止めております」と釈明した。また、すでに退所した元タレント向けの相談窓口を設ける考えも、文書で示した<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR4P6RY4R4PUCVL00M.html?iref=comtop_7_02 ジャニーズ事務所が性被害疑惑調査　所属タレントらに聞き取り] - 朝日新聞デジタル 2023年4月21日</ref>。

東京新聞には文書全文が載っており、文書の最後に伝えたいこととして「弊社タレントは皆、それぞれが日々の並々ならぬ努力や研鑽によってのみ輝いているものと存じます。そのことだけは、どうかご理解いただき、引き続きお力添え賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」とした<ref>https://www.tokyo-np.co.jp/article/245473 【独自】ジャニーズ事務所が文書「告発を真摯に受け止める」　所属タレントの性被害疑惑巡り＜全文あり＞] - 東京新聞 2023年4月21日</ref>。同日付の[[しんぶん赤旗]]は、相次ぐ被害の告発について触れ、ジャニーズ事務所は性加害の疑惑に口をつぐむべきではないと批判した<ref name="akahata20230421">[https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2023-04-21/2023042101_05_0.html ジャニーズ事務所　性加害の疑惑に口をつぐむな｜しんぶん赤旗]</ref>。

2023年4月24日、これまで地上波で喜多川の性加害問題の報道を取り上げてこなかった民放テレビ局が、朝日新聞などが報じたジャニーズ事務所が取引先に報告した文書を中心に短く報じた<ref name="kai-you20230424">[https://kai-you.net/article/86586 ジャニーズ事務所の性加害問題、NHKに続き各キー局が報道　テレビのニュース番組でも｜KAI-YOU.net]</ref>。

=== ファンによる署名活動（2023年5月） ===
2023年5月12日、一部ジャニーズファンの団体「[[PENLIGHT]]」が「ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」を立ち上げて署名活動を行い、集まった署名約1万6000筆を同事務所に郵送で提出したと記者会見を行った<ref name="ハフポスト20230512">{{Cite web |title=ジャニーズ事務所に署名1万6000筆を提出。「ジャニオタ」が性加害の検証求める |url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_645ca318e4b0c10612e9b5c1 |website=ハフポスト |date=2023-05-12 |access-date=2023-05-12}}</ref>。

=== 社長の録画メッセージ公開と書面回答（2023年5月） ===
2023年5月14日（[[新聞休刊日]]前日の日曜日）の夜、ジャニーズ事務所は本問題に対して公式ホームページで1分程度の動画を配信し、同時に書面にてメディアからの質問に対する見解が発表された。藤島ジュリー景子社長が「創業者ジャニー喜多川の性加害問題について、世の中を大きくお騒がせしておりますこと心よりお詫び申し上げます。何よりまず被害を訴えられている方々に対して深く、深くお詫び申し上げます」などと語った<ref name="松谷0515">{{Cite web |title=【ジャニーズ事務所・藤島ジュリー社長が「話したこと」と「話さなかったこと」──性加害を生んだ構造的問題 |author=松谷創一郎 |url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c87e9d7cf3434cc9286b297b481c839b5dde2fbc |website=Yahoo!ニュース |date=2023-05-15 |access-date=2023-06-03}}</ref>。性的虐待の事実認定については、「問題がなかったとは一切思っておりません。」としつつも、喜多川がすでに亡くなっていることもあり、「『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではない」として明言を避けた<ref name="松谷0515" /><ref name="GLOBE＋">{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏の性加害問題でジャニーズ事務所社長が謝罪　加害は「知らなかった」 |url=https://globe.asahi.com/article/14908175 |website=朝日 GLOBE＋ |date=2023-05-16 |access-date=2023-06-03}}</ref>。性的虐待の事実については、ジュリー社長は「知りませんでした」と述べ、社内での情報共有がされておらず、喜多川と姉のメリー喜多川の2人が独裁的に会社運営を行っていたためであるとしている<ref name="松谷0515" /><ref name="東京新聞0515">{{Cite web |title=被害者対策として月内に相談窓口を設置するとしてジャニーズ事務所「深くおわび」社長が動画で謝罪、ジャニー喜多川氏の性加害告発　事実かどうかは明言避ける |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/249991 |website=東京新聞 |date=2023-05-15 |access-date=2023-06-03}}</ref><ref>{{Cite web |title=〈動画公開〉「大きな落ち度があった」ジュリー社長の“ジャニー氏性加害”謝罪で判明したジャニーズ事務所の“異常経営” |url=https://bunshun.jp/articles/-/62831 |website=文春オンライン |date=2023-05-14 |access-date=2023-06-03}}</ref>。ジュリー社長は週刊文春との裁判当時も取締役という立場にあり、にもかかわらず問題を知ろうとしなかった責任が自身にもあると述べた。

再発防止については社内に「[[コンプライアンス]]委員会」を設置し、元環境相で心療内科医の[[鴨下一郎]]監修の下、社外に「心のケア相談窓口の開設」を設け、前[[検事総長]]で弁護士の[[林眞琴]]を中心とした3人の「外部専門家による再発防止特別チーム」を設置し、ワールドベースボールクラシック2023日本代表(侍ジャパン)でヘッドコーチを務めた[[白井一幸]]ら「外部有識者3名の社外取締役」を就任させ、対策に取り組むとした<ref name="中日新聞20230514">{{Cite web |title=ジャニーズの藤島社長が謝罪　喜多川氏の性加害問題で |url=https://www.chunichi.co.jp/article/689926 |website=中日新聞 |date=2023-05-14 |access-date=2023-05-14}}</ref><ref name=":yahoo20230531">{{Cite web |title=ジャニーズ性加害報道を避けるテレビ朝日──『Mステ』忖度と、テレ朝内にあったジャニーズ「レッスン場」 |author=松谷創一郎 |url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/89b54c5652b7a94e37c375bf93ef6551ab3f99a9 |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-06-02 |publisher=yahoo! |date=2023-05-31}}</ref><ref>{{Cite web |title=ジャニーズ事務所、各界から人材招き大改革　社外取締役に侍ヘッドコーチ・白井一幸氏ら３人、性加害問題受け３つの対応策 |url=https://www.sanspo.com/article/20230527-TYMUFNPTURJ3NJYCJ6WHBMIGB4/ |website=サンスポ |date=2023-05-27 |access-date=2023-06-07}}</ref>。[[第三者委員会]]は設置せず<ref name="GLOBE＋" /><ref name=":yahoo20230606">{{Cite web |title=「櫻井翔の真意」か「ジャニーズのシナリオ」か──ジャニーズ事務所性加害問題『news zero』報道 |author=松谷創一郎ジ |url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/04b8384e7ae87ac6712a077e6d6332e4c0328a51 |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-06-06 |publisher=yahoo! |date=2023-05-31}}</ref>、ジュリー社長の引責辞任も行わないと述べた<ref name="GLOBE＋" />（7月1日に「外部専門家による再発防止特別チーム」に、[[上智大学]]総合人間科学部心理学科の准教授で、犯罪被害者・遺族の精神的ケア・治療、男性の性被害ついての研究・調査にも取り組む[[斎藤梓]]が加わっている<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ問題・再発防止チームに新加入の斎藤梓准教授　男性の性被害を調査、研究してきた実績 |url=https://encount.press/archives/479635/ |website=ENCOUNT |date=2023-07-01 |access-date=2023-08-29}}</ref>）。

社長メッセージに対して、性被害にあったことを書籍で告発した[[平本淳也]]が数十年前から告発する声や週刊文春の裁判もあったのに、知らなかったとの説明にはあきれてしまうと話した<ref name="朝日新聞20230515">{{Cite web |title=ジャニーズ事務所の説明「あきれる」　30年前に告発した元ジュニア |url=https://www.asahi.com/articles/ASR5H6VXHR5HUTIL017.html |website=朝日新聞 |date=2023-05-15 |access-date=2023-05-15}}</ref>。

録画メッセージ公開と書面回答に対しては、事実確認をせずに再発防止と言われても意味が分からない、社外取締役などの人選は適任なのか、選ばれた理由は何なのか、ジャニーズ事務所が設置した窓口に相談したい人はいるのか等、様々な批判・疑問が寄せられた<ref name="中嶋">{{Cite web |title=ジャニーズ事務所はジャニー喜多川氏の性加害を認めた |author=中嶋よしふみ |url=https://agora-web.jp/archives/230528212402.html |website=アゴラ |date=2023-05-29 |access-date=2023-06-07}}</ref>。性的虐待の事実認定について、藤島は明言は避けたが、「再発を防止する」とは、防止すべきことが既にあったことを前提としており、「性的虐待が事実であれば」という但し書きもなく、「再発防止特別チーム」が設置されたということは、性的虐待の事実を認めたということである、という見方もある<ref name="中嶋" />。

=== NHKによる初の番組（2023年5月） ===
NHKは2023年5月17日の『[[クローズアップ現代]]』で、「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」と題し、喜多川の児童性的虐待疑惑を初めてテーマとして取り上げ、取材した特集を放送した。

=== 被害者による被害者窓口の設置（2023年5月） ===
被害を訴えている元ジャニーズJr.で俳優の[[橋田康]]が5月26日、日本外国特派員協会で記者会見し[[児童虐待の防止等に関する法律]]（児童虐待防止法）の改正を求める署名活動の開始と、喜多川による性被害を受けた人のための連絡窓口の設置を発表した<ref>{{Cite web |title=橋田康さんが被害者窓口設置　ジャニーズ性加害で会見 |url=https://nordot.app/1034743702919545483?c=302675738515047521 |website=KYODO |date=2023-05-26 |access-date=2023-06-05}}</ref><ref group="動画">{{YouTube|qKunOdiIiOU|【ノーカット】ジャニーズ性加害で橋田さんが会見 被害者窓口設置}}（[[KYODO NEWS]]、2023年5月26日公開）</ref>。

=== 被害者らによる児童虐待防止法の改正を求める署名の提出（2023年6月） ===
被害を実名で明かしている元所属タレントの橋田、カウアン、二本樹顕理の3人が2023年6月5日に国会を訪れ、未成年への性的虐待を防ぐための[[児童虐待の防止等に関する法律|児童虐待防止法]]の改正を求めて、主要6政党（[[自由民主党 (日本)|自民]]、[[公明党|公明]]、[[立憲民主党 (日本 2020)|立憲民主]]、[[日本維新の会 (2016-)|日本維新の会]]、[[国民民主党 (日本 2020)|国民民主]]、[[日本共産党|共産]]）に3万9326筆の署名を提出した<ref>{{Cite web |title=元ジャニーズJr．が署名提出　法改正求め約4万人分 |url=https://nordot.app/1038378021878136958?c=39550187727945729 |website=KYODO |date=2023-06-05 |access-date=2023-06-05}}</ref><ref>{{Cite web |title=元ジャニーズJr.ら、「児童虐待防止法」の改正求め6政党に署名提出「被害者ではなく、加害者が怖がる法律を」 |url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_647d211ee4b02325c5e1718d |author=國﨑万智 |website=ハフポスト |date=2023-06-05 |access-date=2023-06-05}}</ref>。

同日の[[日本テレビ]]『[[news zero]]』で、ニュースキャスターを務める[[嵐 (グループ)|嵐]]の[[櫻井翔]]が初めてこの問題について言及し、「今までのジャニーズJr.のメンバーにも、他に被害を受けた人がいるかもしれないですが、臆測でモノを言うと傷ついてしまう人がいる。それは避けなければならない」「話したくない人の口を割らせることなく、[[プライバシー]]を保護したうえで、何があったのかを調査してほしいです」「あらゆる性加害は許せないですし、起こしてほしくないです」とコメントした<ref>{{Cite web |title=櫻井翔、ジャニーズ性加害問題に涙の訴え「絶対に許してはならない」【発言を全文掲載】 |url=https://www.oricon.co.jp/news/2281835/full/ |website=ORICON NEWS |date=2023-06-06 |access-date=2023-06-06}}</ref>。

=== 「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の発足（2023年6月） ===
{{See also|ジャニーズ性加害問題当事者の会}}
元ジャニーズJr.の二本樹と中村一也が発起人となり、2023年6月26日に「[[ジャニーズ性加害問題当事者の会]]」を創設した<ref name="jsava">{{Cite web |title=ジャニーズ性加害問題当事者の会 |url=https://raisingvoicesjapan.com/ |website=ジャニーズ性加害問題当事者の会 |access-date=2023-08-29 |language=ja}}</ref>。メンバーの主がジャニーズ事務所に所属した経験を持ち、また喜多川による性被害を被り、その事件を告白・告発したメンバーで立ち上げた有志の組織である<ref name="jsava" />（8月26日時点で、発起人以外に[[平本淳也]]、石丸志門、[[志賀泰伸]]、イズミ（仮名）、ハヤシ（仮名）、大島幸広の計8名が所属している<ref>{{Cite web |title=「命削りながらようやくここまで」　ジャニーズ問題、当事者の会 |url=https://www.asahi.com/articles/ASR850DYQR84UTIL04R.html |website=朝日新聞 |access-date=2023-08-29 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=元Ｊｒ．大島幸広氏が告発　ジャニー氏は文春裁判中も性加害「家とは違うホテルで…」 |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/5c661cb3091e5e29e32526e3e45edd73b2cccf90 |website=Yahoo!ニュース 東スポWeb |date=2023-08-26 |access-date=2023-08-29 |language=ja}}</ref>）。

=== 国連人権理事会による調査の開始（2023年7月） ===
2023年7月12日、[[国際連合人権理事会|国連人権理事会]]の「ビジネスと人権」作業部会が[[2023年]]7月下旬に来日し、被害を訴える当事者への聞き取り調査に乗り出すことが関係者への取材で判明した<ref name="example">{{Cite web |title=国連人権理事会がジャニーズ性加害調査へ（共同通信） |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/23f7dc66510b4255ab6412c37f3b9f2c119cdbff |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-07-13 |language=ja}}</ref>。作業部会は2023年7月下旬から2023年8月上旬にかけて来日し、東京と大阪で当事者のヒアリングを行うことを予定していた。弁護士を通じて作業部会から打診があったという。作業部会は今回の来日でジャニーズの問題のほか、被雇用者の人権などについて日本政府や企業関係者らと面談する予定としている。調査結果を踏まえ、日本に対する勧告を含む報告書が[[2024年]]6月に行われる[[国際連合人権理事会|人権理事会]]に提出される<ref>{{Cite web |title=国連人権理、ジャニ性加害調査へ 作業部会、当事者聞き取り：東京新聞 TOKYO Web |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/262717 |website=東京新聞 TOKYO Web |access-date=2023-07-13 |language=ja}}</ref>。

共同通信の配信した記事は、国連人権理事会の作業部会がジャニーズ性加害調査を目的に来日するような報道であり<ref name="example" />、7月13日の[[内閣官房長官]]記者会見でも東京新聞の[[望月衣塑子]]記者からその報道を前提とした質問があったが、[[松野博一]][[内閣官房長官]]は「今回の訪日、同作業部会はご指摘のような特定の問題の調査を目的としたものではないと承知しております」と返答した<ref>{{cite report|author=政府インターネットテレビ|date=2023-07-10|title=内閣官房長官記者会見|url=https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg27033.html|publisher=政府インターネットテレビ|accessdate=2023-07-18}}</ref>。

2023年7月25日、国連人権理事会の専門家による被害を訴える元タレントへの聞き取り調査が行われた<ref>[https://web.archive.org/web/20230725180312/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230725/k10014142331000.html ジャニーズ問題 国連人権理事会の専門家が聞き取り調査]</ref>。

2023年8月4日、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会のメンバーが会見を行った。「ジャニーズ事務所のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と記述し、「日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」とした<ref>[https://web.archive.org/web/20230804104827/https://news.yahoo.co.jp/articles/34d3565bc43c09596d77a3d4e1ae70ee8f23deb3 国連人権理「被害者の実効的救済を」　ジャニー氏の性加害問題で声明]</ref>。

=== 外部専門家の特別チームが性加害を事実認定、藤島ジュリー景子社長に辞任求める（2023年8月） ===
2023年8月29日、ジャニーズ事務所が設置した外部の専門家による再発防止のための特別チーム（座長・林真琴、飛鳥井望、斎藤梓）が会見を開き、調査報告書をジャニーズ事務所側に提出したことを明らかにした<ref name="20230829_NHK">{{Cite web |title=【詳細】ジャニーズ問題 外部専門家の特別チーム会見 |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230829/k10014177241000.html |website=NHK |access-date=2023-08-29 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=「性被害は数百人」証言も　ジャニー喜多川氏、長期間の加害を認定 |url=https://www.sankei.com/article/20230829-5RXYTFL47RNAZMENJJRD5ATLLU/ |website=産経新聞 |access-date=2023-08-29 |date=2023-08-29 |language=ja}}</ref>。特別チームは2023年5月26日から8月29日までの3か月間調査を実施し、被害者など23人（うち現役2名）、事務所関係者18人の計41人に対し、対面、オンライン、電話、メールのいずれかの方法でヒアリングを行ったとしており、喜多川が1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所では1970年代前半から2010年代半ばまでデビュー前の多数の10代を中心とする少年たちに長期間にわたり、広範に性加害を繰り返していた事実が認められた、と報告した<ref name="20230829_NHK" />。

問題の原因として、根本的には喜多川の性嗜好異常と事務所の共同創業者であった姉の[[メリー喜多川]]を挙げており、被害の拡大を招いた最大の要因としてメリー喜多川が弟の少年たちへの性加害を知りながらも問題を放置し、外部に対して徹底的に隠蔽したことを指摘している<ref name="20230829_NHK" />。またジュリー社長も少なくとも喜多川による性加害の疑惑について認識していたが、その事実について積極的な調査をする等の適切な対応をとらなかったと批判し、[[ガバナンス]]を強化し、解体的出直しを行うために「社長は辞任すべきと考える」と述べている<ref name="20230829_NHK" />。

再発防止策として、組織として喜多川の性加害が事実であることを認め、被害者に真摯に謝罪すること、すみやかに被害者と対話を開始し、被害回復のための適正な補償をする「被害者救済措置制度」を構築する等の救済に乗り出すこと、国際的に見ても適切な人権方針を作成し順守すること等を提言した<ref name="20230829_NHK" />。

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」は会見に対し、「期待していた以上の調査結果」「『性加害の認定』が実効的な提言としてここに記されたことは大きな成果として、私たちの悲痛なる告白がそのまま反映されたものだと素直に受け止められます。」と述べ、高く評価したが、藤島社長への辞任要求については、性加害問題の対応は「『これらの問題を知っていた』現トップ経営者が担う重き職責」であり、「辞任して責任から逃れることは許しがたい」と、社長に留まり責任を果たすことを求めた<ref name="20230829_NHK" />。副代表の石丸志門は「被害者への救済が体裁を整えるだけのものでなく救済される側が『救済された』と感じることができるかが重要だと思う。今後、ジャニーズ事務所が予定している会見では事実認定や救済措置について具体的に示して欲しい。」と述べた<ref name="20230829_NHK" />。

=== ジャニーズ事務所が性加害の事実を認めて謝罪、社長交代（2023年9月） ===
{{External media|topic=全編を視聴 |width=400px |video1=[https://www.youtube.com/watch?v=9gw9kYQgtYY 【ライブ】ジャニーズ事務所が初会見　性加害問題受け東山紀之新社長らが対応策など発表へ] - FNNプライムオンライン公式YouTube}}2023年9月7日、ジャニーズ事務所は同年8月の特別チームの報告・提言を受けて記者会見を行った<ref name="yomiuri20230907">[https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20230907-OYT1T50178/ 藤島ジュリー景子社長、ジャニー喜多川氏の性加害認める…ジャニーズ事務所が記者会見] - 読売新聞 2023年9月7日</ref>。会見の冒頭でジュリー社長は創業者の喜多川の一連の性加害について、会社としても個人としても認め謝罪、同月5日付で引責辞任し後任の社長に所属タレントで[[少年隊]]の[[東山紀之]]が同日付で就任した事を発表した<ref name="yomiuri20230907" /><ref name="20230907_NHK">{{Cite web |title=ジャニーズ事務所 会見で何を語った？9つのポイントを詳しく |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230907/k10014186991000.html |website=NHK |access-date=2023-09-07 |date=2023-09-07 |language=ja}}</ref>。ジュリー社長は「被害者への補償を責任をもって全うするため」として、代表取締役には留まる<ref name="yomiuri20230907" />。また[[白波瀬傑]]副社長も同日付で引責辞任した<ref name="yomiuri20230907" />。

ジュリー社長は被害者の救済、所属しているジャニーズJr.の心のケア以外の業務執行には関わらないとしている<ref name="20230907_NHK" />。被害者に対しては事務所として補償を行う予定で、準備中であると述べた<ref name="20230907_NHK" />。具体的な補償の内容は明らかにされていない<ref name="20230907_NHK" />。

ジュリー社長、東山、ジャニーズJr.のプロデュースを行う[[ジャニーズアイランド]]の社長として登壇した[[井ノ原快彦]] （元[[V6 (グループ)|V6]]）も、性加害について噂としては知っていたが、事実と認識してはいなかったと述べた<ref name="20230907_NHK" />。

東山は会見で、「人類史上最も愚かな事件だと思います」と断罪した上で年内をもって芸能活動を退き、社長業に専念することを公表した<ref name="yomiuri20230907" />。また東山は、取り沙汰されている、喜多川の名称が冠されている会社名変更問題に関して、「名称に関して大変議論しました。どうするべきか、これだけの犯罪なので、これを引き続き守るべきか。ただジャニーズというのは創業者の名前であり初代でもあり、大事なのはこれまでタレントが培ってきたプライドなど、その表現の1つと思っています」と、会社名変更を行わない方向であることを示した<ref name="20230907_NHK" />。なお、調査報告書で明言された「同族経営」の弊害の温床ともなっているジュリー社長が同社株を100%所有している件に関して、ジュリー社長は協議中であると回答した<ref name="yomiuri20230907" /><ref>[https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/07/kiji/20230907s00041000370000c.html 東山紀之新社長「ジャニーズ」屋号は継続の意向　ネット賛否「名前変えて再出発した方が」「残してほしい」] - Sponichi Annex 2023年9月7日</ref>。

一方、事務所側の会見後「ジャニーズ性加害問題当事者の会」も会見を行い、その中で代表の平本淳也が「事務所の会見で最も評価できるのはジュリー氏が登壇したことです。原稿を見ずに自身のことばとして発言したと思う。今後どのように進んでいくのか、まだ手放しで喜べる状態ではないですが、当事者の会のメッセージや要請をくんでほしいです」と一定の評価を示した。その一方で、東山の新社長就任ならびに社名変更の否定などについては懐疑的なコメントを述べた<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230907/k10014186551000.html ジャニーズ事務所 記者会見 性被害を訴えてきたメンバーは]NHK　2023年9月7日</ref>。

なお、[[日本放送協会|NHK]]及び各在京の民放テレビ局はこの会見を受けそれぞれコメントを発表し、NHKは「今後は、所属事務所の人権を尊重する姿勢なども考慮して出演者の起用を検討したいと考えております。」とし、今後の所属タレントの起用方法について言及した。一方、[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]・[[テレビ朝日]]も「現時点でジャニーズ事務所所属タレントの番組出演について変更する予定はございません。」という旨のコメントを発表した。また[[テレビ東京]]・[[TBSテレビ]]・[[フジテレビジョン|フジテレビ]]も「今後の事務所の対応について注視するつもりです」としつつも、所属タレントの起用については明言を避けた<ref>[https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/07/kiji/20230907s00041000602000c.html ジャニーズ会見受け、各局対応分かれる　日テレ＆テレ朝はタレント起用継続　NHK「事務所姿勢も考慮」] - Sponichi Annex 2023年9月7日</ref><ref>[https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202309070001426.html フジテレビ「性加害が決して許されないことは当然です」ジャニーズ会見受けコメント／全文]日刊スポーツ 2023年9月7日</ref>。

この記者会見に先立ち、様々な[[世界記録]]を認定し収集している[[ギネス世界記録|ギネスワールドレコーズ]]は、同社が認定していた喜多川関連の世界記録<ref group="注釈">「チャート1位を獲得した歌手を最も多くプロデュースした人物」、「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」、「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」。</ref>を同月6日付で同社の公式サイトから削除する措置を執った。記録自体の取り消しについては「喜多川が有罪となった際に精査する」としている<ref name="bbc2023" /><ref>{{Cite web |title=ギネスワールドレコーズ ステートメント |url=https://www.guinnessworldrecords.jp/news/press-release/2023/9/a-statement-from-guinness-world-records-757941 |website=ギネス世界記録 |date=2023-09-06 |access-date=2023-09-14 |author=Press Center}}</ref><ref>{{Cite web |title=ギネス世界記録 公式サイトからジャニーズ前社長の記録を削除 |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230907/k10014186711000.html |website=NHKニュース |date=2023-09-07 |access-date=2023-09-14 |author=日本放送協会}}</ref><ref>{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏、ギネスブック公式サイトから削除…東山さん「賢明な判断だ」 |url=https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20230907-OYT1T50214/ |website=読売新聞 |date=2023-09-07 |access-date=2023-09-14}}</ref>。

==== 会見後～東山新体制発足までの動き ====
記者会見から約一週間後の9月13日、事務所側はウェブサイト上でコメントを発表した。発表は冒頭で被害者に謝罪し、被害補償の方針と再発防止策を講じるとした。被害救済としては、再発防止特別チームからの提言に従い被害者救済委員会の設置と補償受付窓口の開設をするとした。その上で、この問題は「加害者である故ジャニー喜多川と弊社の体制」に原因があるとして、「失った信頼を回復できるように全力を注ぐ」とともに、今後1年間の広告や番組への出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は受け取らないと発表<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230913/k10014194661000.html ジャニーズ事務所 被害補償と再発防止策を発表 出演料の対応も]NHK 2023年9月13日</ref>。9月15日には、ウェブサイト上にて被害の補償受付を開始した<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230915/k10014197101000.html ジャニーズ事務所 救済委が補償受け付け窓口ウェブに設置]NHK 2023年9月15日</ref>。

9月19日、ジャニーズ事務所は取締役会を開き「今後の会社運営に関わる大きな方向性について」議論を行い、「向かうべき方針を確認した」とホームページで公表。取締役会では、記者会見でも問題点として挙げられた「ジャニーズの社名変更」「ジュリー前社長が保有する株式の取り扱い」「被害補償の具体的な方策」「所属タレントや社員の将来」などについて、あらゆる角度から議論を行ったという。事務所では進捗内容について、新体制発足後となる10月2日に説明するとしている<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230919/k10014200161000.html ジャニーズ事務所 社名変更など今後の運営方針 取締役会で議論]NHK 2023年9月19日</ref>。

9月21日、新社長の東山が被害を訴えていたうちの一人である橋田康に事件後初めて面会し、その場で謝罪したことを橋田が自らのX（旧・ツイッター）で明かした<ref>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/279050 ジャニーズ東山社長、面会し謝罪　橋田康さん「少し救われた」]2023年9月22日 東京新聞</ref>。この中で「東山社長と対話させていただきました。本当に苦しい思いをさせてしまって申し訳なかったと伝えてくれました」とつづり、東山から直接謝罪を受けたことを明らかにした<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230921/k10014203201000.html ジャニーズ事務所 東山社長 被害者に初めて面会し直接謝罪]2023年9月21日　NHK</ref>。橋田は、翌22日放送の『[[情報ライブ ミヤネ屋]]』（読売テレビ制作・日本テレビ系）に生出演しその内容について明かしており、会談には東山に加えジャニーズアイランド社長の井ノ原も同席した。東山は「立って待っていてくださって、苦しい思いをさせて申し訳なかったと。まずは謝罪から」と様子を説明。井ノ原は「威圧感があったり、苦しかったりしたらすぐに言ってくださいと、部屋に入る前にお声がけくださった」とも明かした。橋田は「ぼくがタレントさんを苦しめたり、ファンの方を苦しめたりしていること、申し訳なさを伝えたら『変わるきっかけをくれてありがとう』と。きちんと前を向いて下さっていると分かって、少し救いになった」とも話していた<ref>[https://www.daily.co.jp/gossip/2023/09/23/0016841216.shtml ジャニーズ事務所・東山紀之新社長　元Ｊｒ．に謝罪していた　井ノ原快彦社長も同席と橋田康氏テレビ生出演で公表]デイリースポーツ 2023年9月23日</ref>。

9月28日、具体的な再発防止策や東山新体制のメンバー、新社名などを公表する記者会見を10月2日に東京都内で開くことを正式に発表した。なお、[[ジャニーズWEST]]の[[中間淳太]]は[[毎日放送]]の『[[よんチャンTV]]』に出演した際、二度目の記者会見の前に会見の内容の説明や各タレントに対し質問をする時間が設けられていたことを明かした<ref>[https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/29/kiji/20230929s00041000555000c.html 中間淳太　2度目会見前にジャニーズ事務所から説明、自身も質問や意見「反映されるか注目したい」]Sponichi Annex 2023年9月29日</ref>。

=== 東山・井ノ原新体制の発足とジャニーズ事務所の廃業決定（2023年10月） ===
10月2日、事務所側の二度目の会見が開かれた<ref name=":7">{{Cite web |title=ジャニーズ事務所 「SMILE-UP.」へ 被害者への補償を11月から {{!}} NHK |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231003/k10014213531000.html |website=NHKニュース |date=2023-10-03 |access-date=2023-10-03 |last=日本放送協会}}</ref>。司会は元[[NHKアナウンサー]]の[[松本和也]]が務めた。

会見では、ジャニーズ事務所はタレントの育成やマネジメント事業から撤退する事と共に、社名を10月17日付で「'''[[SMILE-UP.]]'''」に変更することが発表された<ref name=":7" />。この会社で被害者への補償を行い、補償完了後は廃業する<ref name=":7" />。この会社とは別に新しい会社を設立し、現在ジャニーズ事務所に所属しているタレントのうち希望する者と、個人またはグループの単位でエージェント契約を結んでいくことを発表した<ref name=":7" />。新会社の代表取締役社長は東山紀之、副社長は井ノ原快彦が務め、新会社の会社名は、ファンクラブ会員による公募で決定する<ref name=":7" />。なお、前社長の藤島については、「SMILE-UP.」に留まり補償に専念することとし、新会社には一切関わらないとしている。

会見では現在、設けている被害者の補償窓口について9月30日時点で478人の申し出があり、このうち325人が補償を求めていることが明かされた<ref name=":7" />。このうち、ジャニーズ事務所への過去または現在の在籍確認ができたのは、会見時点で約150人であるという<ref name=":7" />。

これを受け、NHKならびに在京の民放テレビ局が同日放送のニュース番組などで声明を発表するなどし、それぞれの報道姿勢を示した。会見内容を踏まえ、NHKは「被害者への補償と再発防止に向けた取り組みが着実に実施されているか確認」、日本テレビは局として申し入れた内容を伝えながら「日本テレビはその取り組みが早急かつ確実に実施されるようジャニーズ事務所と適切な対話を続け、進捗を注視してまいります」、テレビ朝日は「被害者の補償・救済を速やかに、かつ誠実に実施するよう求めて参ります」、TBSは9月13日に行った要望内容を紹介しながら「ジャニーズ事務所が被害者の救済・補償や人権侵害の防止に具体的に取り組み始めたことを示すもので、改革の緒についたものと受け止めています。TBSは先日行ったジャニーズ事務所への要望に基づき、今後も定期的な対話を通じて、被害者の救済や二度と人権侵害を起こさないよう組織体制の構築をより具体的に進めるよう促して参ります」。フジテレビは「このたび示された方針が速やかに実行されていくよう求めてまいります。ただ、具体的にはまだ詳細が不明な部分もあり、引き続きジャニーズ事務所の対応を注視してまいります」。テレビ東京は「ジャニーズ事務所の発表内容は、経営ガバナンス強化や被害者救済の早期実施などを求めたテレビ東京ホールディングスの申し入れに沿った内容であり、解体的な出直しに向けて一定の前進はあったと受け止めています」とコメントした<ref>[https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2310/03/news113.html 「ジャニー氏性加害問題」二度目の会見にテレビ局各社がコメント　被害者救済が着実に行われるか見極める方針]ねとらぼ 2023年10月03日</ref>。

10月3日、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーと社長の東山・前社長の藤島が初めて面会を果たす<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231004/k10014215581000.html ジャニーズ“当事者の会” 東山紀之社長らと初面会 謝罪受ける]NHK 2023年10月4日</ref>。

==== 二度目の会見をめぐるトラブル ====
二度目の会見では、前回とは異なり「会見時間は二時間」、「一社一問まで」という制約が課せられていたが、会見自体に指名NGリストがあったことが報道で明らかになった。会見を運営した[[FTIコンサルティング]]はこの件に関して陳謝している<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE054CN0V01C23A0000000/ ジャニーズ会見「NGリスト」　PR会社が作成認め謝罪 日本経済新聞　2023年10月6日]</ref>。
{{関連記事|松本和也|FTIコンサルティング#ジャニー喜多川の性的虐待の記者会見担当}}

== 企業のジャニーズ起用の見送り ==
ジャニーズ所属タレントを広告媒体で起用していた企業は、問題を受けて出演タレントの契約解除や、広告起用の見送りを検討または決定している。そして一部企業は企業のニュースリリースなどで発表している。企業のジャニーズ採用の見送りが連鎖していく様は、'''「見送りドミノ」「見直しドミノ」'''と称された。

===起用を見送った企業===
; [[東京海上日動火災保険]]
: 嵐の[[相葉雅紀]]をCMに起用していたが、問題を受けてジャニーズとの出演契約を更新しないことを決定し相葉の契約解除も検討している<ref name="jiji230907">[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090700841 ジャニーズと契約解除検討　東京海上、相葉さん広告に起用―「タレントに非はない」の声も・企業対応] - 時事ドットコム 2023年9月7日</ref>。
; [[日本航空]]
: 嵐の櫻井翔と[[松本潤]]の契約は継続しているものの、適切な対応が取られることを確認するまでの間、所属タレントの広告起用を見送る方針を明らかにしている<ref>[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090701085 日航、ジャニーズ起用当面見送り　「被害者救済の状況注視」] - 時事ドットコム 2023年9月7日</ref>。
; [[アサヒグループホールディングス]]
: 傘下の[[アサヒビール]]と[[アサヒ飲料]]で[[岡田准一]]{{Efn|name="岡田退所"|なお、岡田は2023年10月2日に11月末をもってジャニーズ事務所を退所することを発表している。}}、[[生田斗真]]ら計23人を起用しており、途中で契約解除はしないものの満了をもって終了とし、明確な被害者救済と抜本的な組織運営の是正が認められない以上は今後、所属タレントを起用しない方針を明らかにしている<ref>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/275844 アサヒＧも今後広告起用せず　ジャニーズ、現契約は満了] - 東京新聞 2023年9月8日</ref><ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR985CR2R98ULFA01D.html ジャニーズ所属タレント、アサヒグループHDが広告への起用とりやめ] - 朝日新聞 2023年9月8日</ref>。朝日新聞の取材に対しアサヒグループホールディングスの[[勝木敦志]]社長は「契約更新を行わないと表明したことで、ジャニーズ事務所がこれから被害者の救済と是正に本気になって取り組んでいただけるという効果があるだろう」「マーケティングに影響がないとはいえませんが、代替策を考えます。人権を損なってまで必要な売り上げは1円たりともありません」などと意見を述べている<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR9C6H4WR9CULFA00R.html アサヒ社長「ジャニーズ起用継続すれば人権侵害に寛容ということに」] - 朝日新聞 2023年9月12日</ref>。
; [[キリンホールディングス]]
: 具体策を公表・実行し、明確な人権方針のもと企業としてのガバナンスを発揮している状態になるまでは現在、起用しているタレントの契約満了をもって今後は所属タレントを起用しない方針を表明している<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR987JG0R98ULFA02Z.html キリンHDもジャニーズCM見直し　「すぐにはやめない」方針を転換] - 朝日新聞 2023年9月8日</ref>。
; [[日産自動車]]
: 人権尊重の方針に反するため、所属タレントを広告や販促で新しく起用しない方針を決めた。ただし、2020年から起用している[[木村拓哉]]のCMについては、契約期間満了時点で改めて判断するとした<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC116MJ0R10C23A9000000/ 日産自動車、ジャニーズと新規契約せず　広告・販促で] - 日本経済新聞 2023年9月11日</ref>。
; [[日本生命保険]]
: かつては所属タレントを広告に起用したことがあったが、所属タレントを今後新たに起用しない方針を取材に対して明らかにした<ref>[https://mainichi.jp/articles/20230911/k00/00m/020/193000c 日本生命、広告にジャニーズタレント起用せず　「見送りドミノ」加速] - 毎日新聞 2023年9月11日</ref>。
; [[サントリーホールディングス]]
: [[SixTONES]]の[[松村北斗]]をウェブ広告等に起用しているが、契約終了次第、松村の起用を取りやめ被害者の救済策や再発防止策が十分であるとの納得いく説明があるまでは事務所との新たな契約を結ばないことを表明している<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR9C5V63R9CULFA033.html サントリーHDも「新たな契約、結ばない」　ジャニーズ事務所と] - 朝日新聞 2023年9月11日</ref>。[[経済同友会]]の代表幹事である[[新浪剛史]]社長は「ジャニーズのタレントを起用することは、子供への虐待を認めることで、国際的に非難の的になる」との見解を述べている<ref>{{Cite web |title=ジャニーズのタレント起用、同友会代表幹事「性加害を認めることになる」 |url=https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230912-OYT1T50166/ |website=読売新聞 |date=2023-09-12 |access-date=2023-09-13}}</ref>。
; [[第一三共ヘルスケア]]
: 嵐の松本潤を広告に起用しているが、秋から放送予定だった松本のCMを取りやめ、十分な対応が取られるまで新たな契約や契約更新もしないことを明らかにした。なお、グループ会社の[[アイム (企業)|アイム]]が販売している化粧品「ブライトエイジ」のプロモーションに生田斗真が起用しているが、こちらも同様に取りやめる<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1224B0S3A910C2000000/ 第一三共ヘルスケア、ジャニーズ起用広告を中止] - 日本経済新聞 2023年9月12日</ref><ref name="sanspo230912">[https://www.sanspo.com/article/20230912-WX3QTK5YWFI37GZA4VPVNN7OBU/ マックと第一三共も見送り　ジャニーズ起用の広告] - サンケイスポーツ 2023年9月12日</ref>。
; [[日本マクドナルド]]
: 木村拓哉を広告に起用しているが、いかなる人権侵害も許容することはできないとして広告の契約期間が満了した後は契約を更新しない方針を明らかにした<ref name="sanspo230912"/>。
; [[花王]]
: グループ会社[[カネボウ化粧品]]に[[Sexy Zone]]の[[中島健人]]をCMに起用するなど動画広告を含めて複数起用しているが、人権方針に反するとして所属タレントを起用している現行の広告を可及的速やかに中止することを発表した。中島の今後の契約については、事務所の改革や再発防止の取り組みを確認した上で判断する<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR9D5CNBR9DULFA02D.html 花王、現行のジャニーズ起用広告を中止　「可及的速やかに」] - 朝日新聞 2023年9月12日</ref>。
; [[伊藤ハム]]
: 嵐の[[二宮和也]]をソーセージのCMに起用しているが、人権を尊重しておりあらゆるハラスメントを許容しておらず事務所が発表した内容を検討した結果、契約の満了をもって更新を見送ることを決めた<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR9D65ZNR9DULFA039.html 伊藤ハムも「契約更新せず」決定　ジャニーズ起用のソーセージのCM] - 朝日新聞 2023年9月12日</ref>。
; [[トリドールホールディングス]]
: 同社運営の[[丸亀製麺]]のコラボ商品開発や企業広告などで[[TOKIO]]{{Efn|name="TOKIO"|[[TOKIO]]のメンバーはジャニーズ事務所の所属タレントではないが、関連会社の株式会社TOKIOに所属。}}を起用していたが、事務所の取り組み状況を注視し適切な対応がとられるまで今後の所属タレントの起用を見送る方針を示した<ref>[https://hochi.news/articles/20230913-OHT1T51055.html?page=1 丸亀製麺など運営のトリドール、今後ジャニーズタレントの起用「見送る」…ＴＯＫＩＯとコラボ商品開発も] - スポーツ報知 2023年9月13日</ref>。
; [[サッポロホールディングス]]
: TOKIOの[[松岡昌宏]]{{Efn|name="TOKIO"}}を北海道限定商品のCMに起用しているが、事務所に対して被害者救済や是正を書面で求めており、対応がない限りは所属タレントとの契約を更新しないことを明らかにした<ref>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/277120 ジャニーズと契約更新せず　サッポロ、被害救済求める] - 東京新聞 2023年9月13日</ref>。前述のCMは、広告契約を残したまま9月15日をもって停止する<ref>[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/720715?display=1 【ジャニーズ】サッポロHDがTOKIO松岡昌宏さん起用のテレビCMを停止　16日から] - TBS NEWS DIG 2023年9月13日</ref>。
; [[モスフードサービス]]
: 上記の記者会見後、人権尊重の取り組みを推進しいかなる性加害についても許されないとしながらも13日から[[Snow Man]]の[[ラウール (ジャニーズ)|ラウール]]、[[渡辺翔太]]の2人を起用したCMを放送することを発表していた<ref>[https://www.oricon.co.jp/news/2294503/full/ モスバーガー、ジャニーズ事務所タレントの起用継続 「現契約に基づいて」13日からCM放映開始、各社で対応分かれる] - ORICON NEWS 2023年9月12日</ref>。だが展開を始めた13日の午後、明確な被害者救済と再発防止の取り組みが認められない以上は所属タレントの契約を今後継続しないことを決め、展開中のCMや広告についても速やかに変更することを発表した<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC136CA0T10C23A9000000/ モス、ジャニーズとの契約一転継続せず　現行CMは変更] - 日本経済新聞 2023年9月13日</ref>。
; [[明治 (企業)|明治]]<!--[[明治ホールディングス]]？-->
: 嵐の相葉雅紀を広告に起用しているが、対応状況を注視して適切であると判断できるまで所属タレントを起用した広告契約を見送ることを明らかにした<ref>{{Cite web |title=明治 ジャニーズ事務所との今後の広告見送り {{!}} TBS NEWS DIG (1ページ) |url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/719907 |website=TBS NEWS DIG |date=2023-09-13 |access-date=2023-09-23 |language=ja}}</ref>。
; [[ジェーシービー]]
: 嵐の二宮和也をCMキャラクターに起用しているが、被害者の救済と再発防止の具体化や実行が確認されるまでは新たな広告での起用を見送ることを報告した<ref>[https://hochi.news/articles/20230913-OHT1T51211.html?page=1 ＪＣＢ、二宮和也は「１３年間、一緒に歩んできた特別な存在」もＣＭ起用は「見送り」を発表…被害者救済実行など確認されるまで] - スポーツ報知 2023年9月13日</ref>。
; [[カゴメ]]
: [[Travis Japan]]を販売促進に起用しているが、いかなる種類のハラスメントも一切容認しないとし記者会見の内容などを社内で検討した結果、期間満了をもって更新しない予定である<ref>[https://www.chukei-news.co.jp/news/2023/09/14/OK0002309140101_03/ カゴメ、契約更新せず　ジャニーズ事務所性加害問題　中部企業に影響] - 中部経済新聞 2023年9月14日</ref>。
; [[森永製菓]]
: 嵐の櫻井翔や[[関ジャニ∞]]を初めとした複数の所属タレントを広告に起用し、上記の記者会見後に[[なにわ男子]]の[[大西流星]]が出演の新CMを発表していたが問題の解決に向けた具体策の速やかな実行が確認できない限り契約満了後の更新は行わないことを明かした<ref>[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/721810?display=1 【速報】森永製菓　ジャニーズ事務所との広告契約　現段階では「更新せず」] - TBS NEWS DIG 2023年9月14日</ref>。
; [[森永乳業]]
: 井ノ原快彦を広告に起用しているが、適切な対応がとられることを確認できなければ契約期間満了後は更新を行わないことを明かした<ref name="tbs723268">[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/723268?display=1 ジャニーズ事務所の広告起用めぐり　新たに森永乳業・東急不動産HDグループ・あいおいニッセイ同和損害保険が方針明らかに] - TBS NEWS DIG 2023年9月14日</ref>。
; [[東急不動産ホールディングス]]グループ
: [[東急リバブル]]の広告に岡田准一{{Efn|name="岡田退所"}}を起用しているが、再発防止策や被害者救済の実施状況が確認できるまでは新たな契約をしないことを明らかにした<ref name="tbs723268"/>。
; [[あいおいニッセイ同和損害保険]]
: 岡田准一{{Efn|name="岡田退所"}}となにわ男子の[[西畑大吾]]の2人を広告に起用しているが、事務所が適切な対応を取らなければ契約は期間満了をもって更新はしないと発表した<ref name="tbs723268"/>。なお、現在展開している広告も中止することを明らかにしている<ref>[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/722787?display=1 あいおいニッセイ同和損害保険　ジャニーズ事務所との広告　満期をもって終了] - TBS NEWS DIG 2023年9月14日</ref>。
; [[佐川急便]]
: 嵐の松本潤を広告に起用しているが、契約の解除はしないものの媒体は屋外広告に限定し、上記の記者会見以降は松本の出演したCMを別のCMに差し替えている。契約更新については事務所の再発防止策と被害者の救済、ガバナンス体制の見直しを確認した上で更新を検討したいとした<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR9G5FPPR9GULFA01B.html 佐川急便、ジャニーズ出演のテレビCM差し替え　契約は解除せず] - 朝日新聞 2023年9月14日</ref>。
; [[アフラック生命保険]]
: がん保険のCMに、嵐の櫻井翔を長年にわたり起用している。しかし今回の報道を受け、櫻井が出演のCMを他のタレントのCMに差し替えた。その上で「人権尊重は企業として当然の責務であり、いかなるハラスメントも認めない」「抜本的改革を実施するには不十分と受け止めざるを得ない」として契約見直しを表明した。今後について、ジャニーズ事務所との広告契約を解除した上で櫻井と事務所を通さない個人契約を結ぶことなどを検討している<ref>[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023091400884&g=eco アフラック、桜井さんと個人契約検討　ジャニーズ起用、見直し続く]時事通信社 2023年9月14日</ref>。
; [[日清オイリオグループ]]
: 嵐の二宮和也、なにわ男子の西畑大吾の2人を広告に起用しているが事務所の企業体質が改善しない限り、期間満了をもって契約を更新しない予定と明言した<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC148P60U3A910C2000000/ 日清オイリオグループ、ジャニーズ広告中止] - 日本経済新聞 2023年9月14日</ref>。
; [[ライオン (企業)|ライオン]]
: 岡田准一{{Efn|name="岡田退所"}}と嵐の相葉雅紀の2人を広告に起用しているが、所属タレントを起用したCMの放映を中止しその他の広告、販促物等の展開も可及的速やかに中止する。現在の契約は更新しないものの、今後新たに契約する場合は事務所を通さずに行うこと等について協議している<ref>[https://www.lion.co.jp/ja/pdf/20230914.pdf ジャニーズ事務所所属タレントの起用について] - ライオン株式会社 2023年9月14日</ref>。
; [[バスクリン]]
: SixTONESの[[髙地優吾]]を起用した新CMを発表していたが、タレント本人に問題はなくとも事務所の対応が不十分であると判断したため髙地のCMを見送り、契約は満了をもって終了すると発表した<ref>[https://www.oricon.co.jp/news/2294935/full/ バスクリン、ジャニーズタレント起用のCM見送り タレントには問題なしも「事務所の対応は未だ不十分」] - ORICON NEWS 2023年9月14日</ref>。
; [[ブルボン]]
: SixTONESの松村北斗を広告に起用しているが、事務所の補償対応などを見て判断し期間満了をもって松村との契約を終了すると明らかにした。なお、松村が出演するCMは5月中旬から放映を中止している<ref>[https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/281984 ブルボン（新潟柏崎市）、ジャニーズ・松村北斗さん（SixTONES）と広告契約更新せず] - 新潟日報デジタルプラス 2023年9月15日</ref>。
; [[大阪ガス]]
: [[ジャニーズWEST]]のメンバーをCMに起用しているが15日までにCMの放映を中止し当面、別のサービスのCMに切り替える。広告契約の更新は2023年度内に判断する方針である<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF154EZ0V10C23A9000000/ 大阪ガス、ジャニーズタレント出演のテレビCM中止] - 日本経済新聞 2023年9月15日</ref>。
; [[日本特殊陶業]]
: 岡田准一{{Efn|name="岡田退所"}}をCMなどに起用しているが、事務所の一連の問題とそれに対する事務所の対応について検討した結果、現在の広告の使用を停止し期間満了をもって契約を更新しないと明らかにした<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD156BR0V10C23A9000000/ 日本特殊陶業、ジャニーズとの広告契約更新せず] - 日本経済新聞 2023年9月15日</ref>。
; [[コーセー]]
: 嵐の松本潤や関ジャニ∞（[[キャンジャニ∞]]）、Snow Manの[[目黒蓮]]を広告に起用し、子会社の[[アルビオン (企業)|アルビオン]]が新商品のアンバサダーにSnow Manの渡辺翔太を起用していたが、十分な改善が認められるまでは所属タレントの新たな契約や起用を見送ると発表した。契約タレントの情報を掲載する公式サイトの削除や販促物の撤去などは予定していないが、流通企業の意向などを踏まえ、適応に対応していく方針<ref>[https://www.wwdjapan.com/articles/1645051 コーセーがジャニーズ事務所に対する声明　松本潤、Snow Man目黒蓮などを起用] - WWDJAPAN 2023年9月15日</ref>。なお、この声明が発表される以前、上記の記者会見直後にはアルビオンの[[小林章一]]社長が自身のX（旧Twitter）アカウントで渡辺のアンバサダー就任に対する感謝や契約を継続する意思を示していた。しかしのちに[[J-CASTニュース]]の取材に対し、広報担当者は「現在のアンバサダー契約は続けるものの、次回の更新の予定はありません」と回答していた<ref>[https://www.j-cast.com/2023/09/13468774.html?p=all ジャニーズアイドル起用「継続予定です！」　賛否の化粧品会社社長が投稿休止...広報は「次回更新の予定ない」] - J-CAST ニュース 2023年9月13日</ref>。
; [[朝日新聞社]]
: タレントとの契約は事務所の人権に対する姿勢も考慮するとして、9月16日に所属タレントの新規契約については当面見合わせると発表した<ref>{{cite web | author=亀松太郎 | url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e74199fff0416857fffea3d025f8d1218b9dcba1 | title=朝日新聞社「ジャニーズ事務所のタレントの新規契約は見合わせる」 ジャニーズ性加害問題へ対応 | publisher=Yahoo!ニュース | date=2023-9-16 | accessdate=2023-9-20 }}</ref>
; [[トヨタ自動車]]
: 過去に木村拓哉<ref>{{cite web | url=https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00569219 | title=産業春秋／キムタク、トヨタから日産へ  | publisher=日刊工業新聞 | date=2020-8-27 | accessdate=2023-9-20 }}</ref>と契約していたトヨタ自動車は9月19日、イギリスのBBCに対し「今後は所属タレントと契約する予定はございません」と話した<ref>{{cite web | last=Oi |first=Mariko | url=https://www.bbc.com/news/business-66850845 | title=Johnny Kitagawa: Japan firms cut ties with boyband agency over sex abuse | publisher=BBC News | date=2023-9-19 | accessdate=2023-9-20 }}</ref><ref>{{cite web | author=大井真理子 | url=https://www.bbc.com/japanese/66862608 | title=ジャニーズとの関係を断つ動き、日本企業に広がる | publisher=BBCニュース | date=2023-9-20 | accessdate=2023-9-20 }}</ref>。
; [[セントラル警備保障]]
: 岡田准一{{Efn|name="岡田退所"}}を2019年からCMに起用していたが、事務所の対応が確認できていないため9月17日以降はCMの放映を見送っている。岡田の契約については事務所の今後の対応を受け、判断するとしている<ref>{{Cite news|和書|title=CSP、岡田准一さんのCM見合わせ　ジャニーズ対応受け|newspaper=日本経済新聞|date=2023-09-21|url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC212N50R20C23A9000000/|accessdate=2023-09-25}}</ref>。
; [[久光製薬]]
: 嵐の二宮和也、ジャニーズWESTの[[重岡大毅]]、Snow Manの[[岩本照]]の3人を広告に起用していたが、事務所の対応が十分ではないと判断し現在の広告を順次やめ、対応が取られなければ現在の契約も期間満了をもって更新しないことを明らかにした<ref>{{Cite news|和書|title=久光製薬、ジャニーズ起用取りやめ　二宮和也さんなど|newspaper=日本経済新聞|date=2023-09-21|url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC212N80R20C23A9000000/|accessdate=2023-09-25}}</ref>。
; [[バレーボールワールドカップ]]（フジテレビ）
: 1995年大会から実施されていたジャニーズ事務所属タレントの起用を見送った<ref>{{cite web| url=https://www.asahi.com/articles/ASR7T5DGLR7SUCVL03W.html|title=W杯バレー、ジャニーズ不在に　性加害問題でグループ起用を取りやめ：朝日新聞デジタル|publisher=朝日新聞社| date=2023-7-25|accessdate=2023-9-23}}</ref>（上記の会見を受けてのものではなく、7月時点で決定済みだった方針）。
; [[毎日新聞出版]]
: [[サンデー毎日]]の表紙へジャニーズ事務所所属タレントを当面掲載しない方針を決めたことを26日発売の同誌10月8日号の編集長後記で明らかにした<ref>{{Cite news|title=表紙にジャニーズ掲載せず　性加害問題で、サンデー毎日|newspaper=共同通信|date=2023-09-27|url=https://nordot.app/1079657533535338554?c=62479058578587648|accessdate=2023-09-28}}</ref>。

出演タレントの契約解除や広告起用の見送りを決定したことを受けて、これらの企業ではジャニーズ事務所所属タレントが出演しているCM出稿を停止し同事務所所属タレントが出演していないCM、または[[公共広告]]（[[ACジャパン]]など）への差し替えを行っている<ref>{{Cite web |title=ジャニーズタレント主演新作ドラマ 制作ストップ “新浪発言ショック”でスポンサー離れ相次ぐ |url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/24/kiji/20230924s00041000001000c.html |website=スポーツニッポン |access-date=2023-09-24 |date=2023-09-24}}</ref>。

この他にも、[[セブン&アイ・ホールディングス]]（[[セブン-イレブン]]）や[[ファミリーマート (企業)|ファミリーマート]]のようにジャニーズ事務所所属タレントを起用している商品の販売促進キャンペーン実施を急遽取り止めたケースも発生している<ref>{{Cite web |title=モスフード、ジャニーズ起用を一転中止－不二家は販促物配布取りやめ |url=https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-13/S0WZ8FT0G1KW01 |website=Bloomberg.com |date=2023-09-13 |access-date=2023-09-24 |author=古川有希、稲島剛史}}</ref><ref>{{Cite web |title=「不二家」Snow Man起用した販促キャンペーンについて、一部変更発表 |url=https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202309130001667.html |website=日刊スポーツ |access-date=2023-09-24 |date=2023-09-13}}</ref><ref>{{Cite web |title=「Ｓｎｏｗ Ｍａｎ」起用の不二家、チョコ販促中止に…セブン・ファミマ側の判断 |url=https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230914-OYT1T50189/ |website=読売新聞 |date=2023-09-14 |access-date=2023-09-24}}</ref>。

===起用を見送らなかった企業===
上記の対応が相次ぐ一方で「故ジャニー喜多川氏の問題。CMの放送中止などは考えていない」「タレントは被害者だ」との考えを示す企業もあり、対応が分かれている<ref name="jiji230907" /><ref>{{Cite web |title=ジャニーズタレントCM打ち切り、「被害に遭っていたら２度苦しめることになる」 |url=https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20230911-OYT1T50149/ |website=読売新聞 |date=2023-09-11 |access-date=2023-09-13}}</ref>。

; P&Gジャパン
: 生田斗真・Sexy zoneの[[菊池風磨]]を筆頭に4人の所属タレントを起用している[[P&Gジャパン]]は会見を受けて、事務所に対し「被害者の救済や再発防止策に向けた具体的な行動計画を提示することを強く求めてまいります」とのコメントを出したものの、ジャニーズ事務所に所属するタレントのテレビCM起用に関しては、今すぐの取りやめはせず「一連の取り組みの内容及び成果に基づいて判断する」とした<ref>{{Cite web |title=P&Gジャパン､ジャニーズに｢被害者救済や再発防止｣要請 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF07AA90X00C23A9000000/ |website=日本経済新聞 |date=2023-09-08 |access-date=2023-09-26 |language=ja}}</ref>。
; アキュラホーム
: ハウスメーカー「AQ Group」を展開している[[アキュラホーム]]は、嵐の相葉雅紀を起用した新CMの放映を9月23日から開始した。相葉の起用は既に1月に決定され、ジャニーズ事務所との間で新規契約を締結済みであり、CMの撮影も既に会見前に完了していたが前出の会見では不十分と判断してCM放映を一旦保留としていた。しかし、当事者の会がジャニーズ事務所所属タレントとの取引を即座に停止することを希望していないことや、[[国際連合]]が定めている『ビジネスと人権に関する指導原則』では契約解除などは最終手段として示されていることを踏まえて、CMの放映を決断したとの声明を発表している<ref>{{Cite web |title=相葉雅紀 “撤退ドミノ”続く中ジャニーズ新体制会見後初CM AQ社「人柄や仕事に対する姿勢に触れた」 |url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/22/kiji/20230922s00041000030000c.html |website=スポーツニッポン |access-date=2023-09-26 |date=2023-09-22}}</ref><ref>{{Cite web |title=アキュラホーム、相葉雅紀の新CM起用について説明 一時は見送る判断も【報告全文】 |url=https://www.oricon.co.jp/news/2295783/full/ |website=ORICON NEWS |date=2023-09-22 |access-date=2023-09-26}}</ref><ref>{{Cite web |title=相葉雅紀、新CM放送へ 起用理由は「広く社会に理解してもらうことも広告主の責任」 |url=https://news.ntv.co.jp/category/culture/bef7098b3018477f848e94119d0200ee |website=日テレNEWS |access-date=2023-09-26 |date=2023-09-22 |author=日本テレビ}}</ref>。

[[日本経済団体連合会]]（経団連）の[[十倉雅和]]会長（[[住友化学]][[代表取締役]]会長）は「人格侵害や犯罪行為は断じて許さないという企業の基本姿勢を内外に示すことは大変重要」としながらも、「日々研鑽を積んできたタレントの活躍の機会を奪うことは、それはそれで問題だ」と指摘している<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ問題 経団連会長 “タレント活動継続できる対応も検討を” |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230919/k10014200261000.html |website=NHKニュース |date=2023-09-19 |access-date=2023-09-20 |author=日本放送協会}}</ref><ref>{{Cite web |title=ジャニーズ起用回避に違和感 経団連会長「救済検討を」 |url=https://nordot.app/1076808498021597369 |website=共同通信 |date=2023-09-19 |access-date=2023-09-20}}</ref>。

当事者の会も、「タレントにも人権はある。いささか性急すぎる」「タレントたちは全然悪くはないと思う。むしろ被害者側だ」とのコメントを述べている<ref>{{Cite web |title=「いささか性急」と当事者の会 ジャニーズ広告起用見送りで |url=https://nordot.app/1074272505464439555 |website=共同通信 |date=2023-09-12 |access-date=2023-09-13}}</ref><ref>{{Cite web |title=ジャニーズＣＭ打ち切り続出…性加害問題当事者の会も疑問符「早急すぎないか」 |url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/276092 |website=東京スポーツ |date=2023-09-12 |access-date=2023-09-13}}</ref>。

=== 官公庁・自治体 ===
企業以外では[[官公庁]]、自治体でのタレント起用についても対応が発表されている。

; [[農林水産省]]
: TOKIOの[[城島茂]]{{Efn|name="TOKIO"}}を障害者の農業への参加を促す「ノウフクアンバサダー」に任命しているが13日、事務所を訪問して説明を求めたものの事務所側から十分な説明が得られなかったため、城島のアンバサダーとしての活動を当面見合わせる方針を固めており<ref>[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023091301141&g=eco TOKIO城島さんの起用見合わせ　ジャニーズ問題受け―農水省] - 時事ドットコムニュース 2023年9月13日</ref>、新たな所属タレントの起用も行わない考えを示している。[[宮下一郎]][[農林水産大臣]]（自由民主党長野県連会長）も「城島さんご自身の活動には大変感謝していますが、所属しているジャニーズ事務所の人権を尊重する姿勢やコンプライアンスの取り組みなどを十分確認する必要があります」と述べている<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230915/k10014196831000.html 宮下農相 “人権尊重の姿勢など確認までジャニーズ起用せず”] - NHK 2023年9月15日</ref>。
; [[東京都]]
: 9月時点で所属タレントとアンバサダーなどの契約はないものの、[[小池百合子]][[東京都知事]]（[[都民ファーストの会]]特別顧問）が本問題について「重大な人権侵害」と指摘し、コンプライアンスの問題を解決するまでは都として事務所と新たな契約を結ばない方針を明らかにした<ref>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/277588 東京都もジャニーズ事務所と新たな契約結ばず　小池百合子知事が性加害問題踏まえ表明　「コンプラ問題解決までは」] - 東京新聞 2023年9月15日</ref>。ただ、同事務所に所属する[[風間俊介]]がパラスポーツの振興とバリアフリー推進に向けた懇談会に参加していることについては元々ボランティアであり、契約関係にあるものではないと小池知事も説明しており、今後についても個人の承諾を得る形で関係を継続することに期待している旨を話している<ref>[https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202309150000600.html 小池百合子都知事、風間俊介の都パラ応援大使継続に期待「ボランティア。むしろ感謝している」] - 日刊スポーツ 2023年9月15日</ref>。
; [[愛知県]]
: [[大村秀章]][[愛知県知事一覧|愛知県知事]]（[[日本一愛知の会]]・元会長）も「国際世論は非常に厳しい」との認識を示し、事実関係の解明や被害者救済が終わるまで県としては所属タレントを起用しない方針を明らかにしたが、「タレントさんに罪はなく、彼らも被害者だと思います」と述べた。2022年度に[[A.B.C-Z]]の[[河合郁人]]を観光文化大使に起用していたが、今回の方針を受けて河合の過去の出演動画やホームページ上の写真の公開を停止した<ref>[https://www.nagoyatv.com/news/?id=020752 愛知県、ジャニーズ所属タレント起用を控える方針　大村知事「すべての事実が解明され区切り付くまでは…」] - 名古屋テレビ 2023年9月15日</ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD157JM0V10C23A9000000/ 愛知知事、県事業でジャニーズ起用せず　HPの動画削除] - 日本経済新聞 2023年9月15日</ref>。

=== 起用を継続した官公庁 ===
官公庁でのタレント起用についても以下は継続する方針を示している。
; [[警察庁]]
: TOKIOの城島茂{{Efn|name="TOKIO"}}を特殊詐欺防止の広報啓発活動に起用しているが、事務所ではなく城島個人にも依頼しているものであるため対応を変更する予定はないとしている<ref>[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/718566?page=2 所属タレント起用は「国際的批判のもと」財界トップ・新浪氏がジャニーズ事務所批判 企業の広告見直し相次ぐ 城島茂さん起用の省庁は【news23】] - TBS NEWS DIG 2023年9月13日</ref>。
; [[福島県]]
: バーチャル組織「TOKIO課」{{Efn|name="TOKIO"}}を設置している。「性加害は絶対にあってはならないが、今後も活動していただけるのであればサポートしていきたい」として同組織を継続する方針を明かし、公開予定のCMも予定通り制作するとしている<ref>[https://mainichi.jp/articles/20230913/k00/00m/040/267000c 福島県は「TOKIO課」継続　秋のテレビCMも制作・公開へ] - 毎日新聞 2023年9月13日</ref>。
; [[大阪観光局]]
: [[大阪府]]や[[大阪市]]などで作る公益財団法人。大阪観光シンボルキャラクターに[[関ジャニ∞]]を任命していることについて、[[吉村洋文]][[大阪府知事一覧|大阪府知事]]（[[日本維新の会]]共同代表）も起用継続の方針を示している<ref>[https://www.ytv.co.jp/press/kansai/detail.html?id=b0e5bceac3de4e9da2783ad759b587b2 性加害問題　吉村知事『関ジャニ∞』起用継続の方針「大阪盛り上げようと手弁当でやってくれている」] - 読売テレビニュース 2023年9月13日</ref>。

== 再発防止特別チームによる調査報告 ==
2023年8月29日、「外部の専門家による再発防止特別チーム」による調査報告書が、ジャニーズ事務所に提出された<ref>{{Cite web |title=外部専門家による再発防止特別チームに関する調査結果について {{!}} Johnny & Associates |url=https://www.johnny-associates.co.jp/ |website=www.johnny-associates.co.jp |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。

特別チームは、喜多川が（ジャニーズ事務所設立前の）1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所では1970年代前半から2010年代半ばまで、デビュー前の多数の10代を中心とする少年たちに、長期間にわたり、広範に性加害を繰り返していた事実が認められた、と報告している<ref name="20230829_tokyo-np">{{Cite web |title=「1950年代から万遍なく」「被害者は数百人」…ジャニー氏性加害の実態、元Jr.らの証言から明らかに |author= |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/273428 |website=東京新聞 |date=2023-08-29 |access-date=2023-09-03}}</ref>。被害者の年齢層の中心は13 - 15歳で{{sfn|特別チーム|2023|pp=42-43}}、被害者の数は「少なく見積もっても数百人がいるという複数の証言が得られた」という<ref name="20230829_tokyo-np" />。

ジャニーズ事務所では、社長の喜多川の自宅（原宿及び六本木との証言が多い）に未成年のジャニーズJr.を10人程度同時に宿泊させるという行為が常態化していた<ref name="若田">{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏宅への宿泊常態化「極めて危険」。性加害問題にみる、未成年タレント保護のための法整備とは |author=若田悠希 |url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_646eff26e4b0a7554f3cd8b0 |website=ハフポスト |date=2023-05-27 |access-date=2023-06-04}}</ref>{{sfn|特別チーム|2023}}。特別チームによると、公演先の宿泊先ホテルなどでも性的虐待が行われ、一晩で複数のジャニーズJr.に対し性的虐待を行うこともあった<ref name="20230829_tokyo-np" />{{sfn|特別チーム|2023}}。性加害は、抵抗を抱きにくい入浴やマッサージから始まり、徐々にエスカレートした。特別チームの調査で、「性器を弄ぶ、口腔性交、肛門性交等」といった性的虐待の詳細が判明した{{sfn|特別チーム|2023}}。

喜多川が少年らに同意なき性行為の強要を繰り返した原因として、喜多川の「強烈かつ持続的な性的関心」を伴う思春期の少年を性愛の対象とする性愛の表現型が異常な[[性嗜好異常]]を、被害の拡大を招いた最大の要因として、姉でジャニーズ事務所を経営していた[[メリー喜多川]]による外部に対する徹底的な隠蔽を指摘している<ref name="20230829_NHK" />{{sfn|特別チーム|2023|pp=42-43}}。

{{see also|#問題の構造}}

== 被害の証言 ==
掲載は証言があった時系列順。

=== 関係者による証言 ===
# 名和太郎（新芸能学院）：1964年の民事裁判での未成年の男子生徒らに喜多川による性的虐待被害を訴えられたという証言<ref name="金子石田"/>。
# 前田航気（元[[7 MEN 侍|7MEN 侍]]）：2021年1月2日、海外向けエンタメニュースサイト「ARAMA! JAPAN」でのインタビューで、ジャニーズJr.の複数人が喜多川と性的な関係をもっていたことを述べた<ref name="前田" /><ref name=":4" />。
# [[近藤真彦]]：2023年5月の動画メッセージでの、性的虐待を知らなかったとする藤島社長の発言に対し、彼女が性的虐待を認識しており、知らなかったという証言が嘘であることを指摘する発言をしている。（「[[ジャニー喜多川の性的虐待疑惑#退所したタレントの反応|退所したタレントの反応]]」の項も参照の事）

=== 当事者による証言（年齢は証言時のもの） ===
# 秋本勇蔵（歌手）：1964年の民事裁判での被害未遂の証言<ref name="金子石田"/>。
# [[北公次]]（元[[フォーリーブス]]）：『[[光GENJI]]へ』シリーズ。[[データハウス]]、[[1988年]]<ref name=":6">{{Cite web |title=「ジャニー氏に性被害受けた」元ジャニーズJr.の告発動画が波紋呼ぶ ジャニーズ事務所からは回答なし |url=https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2211/18/news147.html |website=ねとらぼ |date=2022-11-18 |access-date=2023-03-08 }}</ref>。
# 複数の匿名人物（元ジャニーズJr.）：1989年の映像版『光GENJIへ』では、北公次以外に複数の元ジャニーズJr.が被害を証言をしている<ref name="TBS20230903"/>。
# 小谷純（元[[ジューク・ボックス]]）：『さらば!!光GENJIへ』、データハウス、[[1989年]]。
# やなせかおる（元[[ジューク・ボックス]]）：『さらば!!光GENJIへ』、データハウス、[[1989年]]。
# 中谷良（元[[ジャニーズ (グループ)|ジャニーズ]]）：『ジャニーズの逆襲』、データハウス、1989年。
# [[平本淳也]]：『ジャニーズのすべて―少年愛の館』、[[鹿砦社]]、[[1996年]]。
#  [[豊川誕]]：『ひとりぼっちの旅立ち － 元ジャニーズ・アイドル 豊川誕半生記』、鹿砦社、[[1997年]]3月。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』1999年11月4日号
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』1999年11月11日号
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』1999年11月25日号
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』1999年12月2日号
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』1999年12月9日号
# 木山将吾（元光GENJI候補）：『[[SMAPへ - そして、すべてのジャニーズタレントへ]]』鹿砦社、[[2005年]]<ref name=":6" />。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2019年7月25日号。嵐のメンバーと同年代<ref>[https://www.j-cast.com/tv/2019/07/18362943.html さすが週刊文春やるねえ！ジャニー喜多川礼賛の中で元ジュニアの「性的虐待」告白･･･誘いに抵抗したらステージの隅っこ｜j-cast]</ref>。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.、仮名ハヤシ）：『Predator: The Secret Scandal of J-Pop』BBC、2023年3月。被害を受けた当時は15歳<ref name="bbc2023"/>。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年3月23日号。被害を受けた当時は13歳<ref name="bunshun20230323">[https://bunshun.jp/articles/-/61367 ジャニーズ事務所“性加害問題”新たな元ジュニアが被害告白「当時僕は13歳、口でされました…」｜週刊文春]</ref><ref name="bunshun61371">[https://bunshun.jp/articles/-/61371 BBC「ジャニー喜多川氏性加害」告発番組　全世界放送へ　発覚の原点「週刊文春」1999年ジュニアへのセクハラ告発記事を再公開｜週刊文春]</ref>。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年3月30日号。90年代にジャニーズJr.として活動、被害を受けた当時は14歳頃<ref name="bunshun20230330">[https://bunshun.jp/articles/-/61528?page=2 「突然、ディープキスを…」また新たな元ジュニアがジャニー喜多川氏の性加害を告白　ジャニーズ事務所は事実確認に回答せず」｜週刊文春]</ref>。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年4月6日号<ref name="bunshun20230406">[https://bunshun.jp/articles/-/61681?page=2 米弁護士は「フロリダなら15年の懲役も」ジャニー喜多川氏「少年性虐待」元ジュニア6人目の被害告白」｜週刊文春]</ref>。
# カウアン・オカモト（元ジャニーズJr.、当時は岡本カウアン）：『週刊文春』2023年4月13日号<ref name="bunshun20230413">[https://bunshun.jp/articles/-/61911 「計15回はあった」初めての実名・顔出し告発　元ジャニーズJr.岡本カウアン氏が語るジャニー喜多川氏性加害｜週刊文春]</ref>。日本外国特派員協会で2023年4月12日に記者会見<ref name="bunshun20230412">[https://bunshun.jp/articles/-/62078 「〈動画公開〉「長い間、話せなかった…」元Jr.のカウアン・オカモト氏（26）が記者会見で語ったジャニー喜多川氏性加害と公開した被害現場マンション映像｜週刊文春]</ref>。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年4月20日号。被害はジャニーズJr.として活動した2000年代後半<ref name="bunshun20230420">[https://bunshun.jp/articles/-/62084 「ジャニーさんと性的な接触をしてないと先に進めない」　ジャニーズ8人目「性被害ジュニア」の証言｜週刊文春]</ref>。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年4月27日号（同年4月19日発信）。被害を受けた当時は高校一年生<ref name="bunshun20230427">[https://bunshun.jp/articles/-/62253 「白いブリーフを渡され」「襲われたら助けて」ジャニー喜多川氏9人目の被害者の告白｜週刊文春]</ref>。
# 匿名人物（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年5月4日・11日号。被害を受けた当時は中学1年生（13歳）<ref name="bunshun20230504">[https://bunshun.jp/articles/-/62253 「あの時抵抗できなかったから何をやってもダメなんだ」ジャニーズJr.被害少年が語る「自尊心を破壊された」ジャニー喜多川氏の性加害｜週刊文春]</ref>。
# 二本樹顕理（元ジャニーズJr.）：[[NHK総合テレビジョン|NHK総合]]『[[クローズアップ現代]]』「“誰も助けてくれなかった”　告白・ジャニーズと性加害問題」2023年5月17日放送<ref>{{Cite web |title=【性加害問題】“実態を知ってほしい” ジャニーズ事務所 元所属タレントたちの声 - クローズアップ現代 |url=https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pVyKAXLR0P/ |website=クローズアップ現代 - NHK |access-date=2023-06-25 |language=ja |last=日本放送協会}}</ref>。文春オンライン、2023年5月13日。被害を受けた当時は1990年後半13歳<ref name="bunshun202305132">[https://bunshun.jp/articles/-/62824 《ジャニー氏がベッドに入ってくる感触で目が覚めた》元ジャニーズJr.二本樹顕理さん（39）が13歳当時の性被害を実名告発｜文春オンライン]</ref>。
# 橋田康（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年5月18日号。被害を受けた当時は1999年中学1年生<ref name="bunshun20230518">[https://bunshun.jp/articles/-/62710 ジャニー氏は地方公演で13歳のジュニアを襲った「涙が止まりませんでした」元ジュニアの橋田康氏（37）が実名・顔出しで告白｜週刊文春]</ref>。
# 匿名人物（元スタッフ）：『週刊文春』2023年5月25日号。1970年代にジャニーズのアイドルグループの付き人として勤務していた人物<ref name="bunshun20230525"/>。被害は高校中退後にジャニーズ事務所に勤務し始めてすぐ、16、17歳頃<ref name="bunshun20230525">{{Cite web |title=被害男性告白「クリームをお尻のほうに塗ってきて…」ジャニー喜多川氏はスタッフも襲っていた |url=https://bunshun.jp/articles/-/62896|website=文春オンライン |date=2023-05-17 |access-date=2023-06-07}}</ref>。
# [[志賀泰伸]]（元[[忍者 (グループ)|忍者]]）：2023年6月1日号の『週刊文春』。正式にデビューした人物の初の被害の証言<ref name="bunshun20230601">[https://bunshun.jp/articles/-/63118 ジャニーズ・デビュー組から初の性被害告白　元「忍者」志賀泰伸氏（54）が「30回から40回くらいは性的虐待があった」｜週刊文春]</ref>。
# 中村一也（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年6月8日号。被害を受けた当時は中学3年生（15歳）<ref name="bunshun20230608">[https://bunshun.jp/articles/-/63282?page=2 “タッキー＆翼のコンサートの夜、ジャニーさんに襲われた” 元ジュニア・中村一也氏（35）が実名・顔出しで告白｜週刊文春]</ref>。
# 石丸志門（元ジャニーズJr.）：1982年から1985年までジャニーズJr.として活動<ref name="ishimaru">{{Cite web |title=元ジャニーズJr. 石丸志門氏、洗脳40年が解けてついに告白「もっと早く一緒に声を上げていれば」…人気ドラマ出演も逆鱗に触れてクビに|author=鈴木隆祐|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/69279d0f7c60b2c23e5ed03f986a6b4e2b302d0b|website=Yahoo！ニュース（FLASH）|date=2023-06-01|access-date=2023-06-17}}</ref>。
# [[土田一徳]]（元[[男闘呼組]]）：『週刊文春』2023年6月29日号。被害を受けた当時は18歳<ref>{{Cite web |title=「ユー！ ズルいよ！」性加害を拒否した僕にジャニー喜多川は言った 男闘呼組・元メンバー土田一徳氏「35年目の告白」 |url=https://bunshun.jp/articles/-/63776 |website=文春オンライン |access-date=2023-06-22 |last=「週刊文春」編集部}}</ref>。
# 服部吉次（俳優、音楽家、[[服部良一]]の次男）：『[[日刊ゲンダイ]]』2023年7月4日号。ジャニーズ事務所創立前の被害かつ被害年齢が最年少の証言。被害を受けた当時は8歳<ref>{{Cite web |title=国民栄誉賞作曲家の次男がジャニー喜多川氏からの性被害を告白 「8歳の時に自宅部屋で…」|url=https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geinox/325507|website=日刊ゲンダイ|access-date=2023-07-05}}</ref>。
# 松崎基泰（服部吉次の友人）：2023年7月15日開催の記者会見より。被害を受けた年齢は7歳〜8歳頃<ref>{{Cite web|date=2023-07-15|url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/263408|title=ジャニー氏が７０年前に性加害　服部良一氏次男の俳優が証言|website=東京新聞|accessdate=2023-07-15}}</ref>。
# 大島幸広（元ジャニーズJr.）：『週刊文春』2023年8月31日号。被害を受けたのは1998年から2000年、被害を初めて受けたのは中学2年生（13歳）<ref>{{Cite web |title=「僕はジャニーさんに5万円の領収書を書かされた」ジャニーズ性加害に“実名・顔出し”で新証言 |url=https://bunshun.jp/articles/-/65196 |website=文春オンライン |access-date=2023-08-23 |last=「週刊文春」編集部}}</ref>。
# 長渡康二（元ジャニーズJr.）：被害を初めて受けた当時は13歳（1996年）<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ性被害問題 当事者の訴え 内容は ”認めて謝罪を” {{!}} NHK |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230829/k10014177461000.html |website=NHKニュース |date=2023-08-29 |access-date=2023-09-03 |last=日本放送協会}}</ref><ref>{{Cite web |title=「そうなっちゃったら楽だよ」 元関西ジャニーズJr.一部のジュニアから言われた言葉を回顧 - モデルプレス |url=https://mdpr.jp/news/detail/3927756 |website=モデルプレス - ライフスタイル・ファッションエンタメニュース |date=2021-10-31 |access-date=2023-09-03 |language=ja}}</ref>。
# 岡田幸治（元ジャニーズJr.）：被害を受けた当時は16歳（1985年）<ref>{{Cite web |title=《ジャニーズ性加害問題》「東山紀之氏（56）はあの日、僕に…」元“少年隊ジュニア”が覚悟の実名・顔出し告白！「生温かいんで。最後は出ちゃうんです」 |url=https://bunshun.jp/articles/-/65837 |website=文春オンライン |access-date=2023-09-26 |last=「週刊文春」編集部}}</ref>。
# 木村伸一（元ジャニーズJr.）：被害を受けた当時は高校3年生（1995年）<ref>{{Cite web |title=《ジャニーズ性加害問題》「イカないと終わらない」“幻のV6メンバー（46）“が実名顔出し告白 ファンの誹謗中傷に悩み、「なんで自分は耐えなかったのか」と自殺願望が… |url=https://bunshun.jp/articles/-/65959 |website=文春オンライン |access-date=2023-09-26 |last=「週刊文春」編集部}}</ref>。
# 川崎誠（仮名、元子役）:『FRIDAY』2023年9月29日号。被害を受けた当時は16歳<ref>{{Cite web|date=2023-09-21|url=https://friday.kodansha.co.jp/article/332294|title=元子役「50代被害者」が顔出し告発…別事務所のタレントがジャニー喜多川氏に献上されていた！|website=FRIDAY DIGITAL|accessdate=2023-09-21}}</ref>。ジャニーズ事務所の所属ではないタレントの証言。
#飯田恭平（元[[Kis-My-Ft2]]）：2023年9月、TBSテレビの取材に対して語る。初被害当時13歳。以後5年間にわたったという<ref>[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/749356 【初告白】元Kis-My-Ft2飯田恭平さん「辞めた理由は性加害」「数十回では収まらない」脱退理由“学業”ではなかった【独自】]JNN 2023年9月29日</ref>。

== 報道 ==
===ジャニーズ事務所によるメディアへの圧力===
「[[ジャニーズ事務所#メディアへの圧力および利益共同体の忖度疑惑]]」も参照の事。

ジャニーズ事務所は長年にわたりマスメディアと強いつながりを持ち、同社や所属アーティスト、喜多川に関する好意的な報道を大々的に行い、イメージや売り上げを損なうと思われる報道を減らすよう仕向けてきたという疑惑がある<ref name="variety 2019-07-18">{{cite news | author=[[:en:Mark Schilling|Mark Schilling]] | url=https://variety.com/2019/film/asia/johnny-kitagawa-power-abuse-japanese-media-omerta-1203271575/ | title=Johnny Kitagawa: Power, Abuse, and the Japanese Media Omerta | work=[[Variety (magazine)|Variety]] | date=2019-07-18 | access-date=2019-07-29 | archive-date=July 27, 2019 | archive-url=https://web.archive.org/web/20190727145434/https://variety.com/2019/film/asia/johnny-kitagawa-power-abuse-japanese-media-omerta-1203271575/ | url-status=live }}</ref><ref name="japantimes 2019-07-10">{{cite news | first=Patrick | last=St. Michel | url=https://www.japantimes.co.jp/culture/2019/07/10/entertainment-news/johnny-kitagawa-mogul-defined-controlled-japans-entertainment-industry/#.XfZcDetS9_o | title=Johnny Kitagawa: The mogul who defined and controlled Japan's entertainment industry | work=[[The Japan Times]] | date=2019-07-10 | accessdate=2021-05-10 | archive-date=May 11, 2021 | archive-url=https://web.archive.org/web/20210511090157/https://www.japantimes.co.jp/culture/2019/07/10/entertainment-news/johnny-kitagawa-mogul-defined-controlled-japans-entertainment-industry/#.XfZcDetS9_o | url-status=live }}</ref>。圧力を受けた編集者・ジャーナリストの証言もあり、元木昌彦が1981年4月30日号『現代』で喜多川の性的嗜好を取り上げた「アイドル育成で評判の喜多川姉弟の異能」という特集記事を掲載し、これに対しジャニーズ事務所が「今後、[[講談社]]には、一切うちのタレントを出さない」と通告し、講談社は元木を同誌の担当から外すことで、ジャニーズ事務所側と手打ちとしたと述べている<ref name="元木">{{Cite web |title=ジャニーズの暗部に触れないメディアの罪 少年たちへの"性的虐待"という事実|url=https://president.jp/articles/-/29399|author=元木昌彦|website=PRESIDENT Online|date=2019-7-23|access-date=2023-06-05}}</ref>。

ジャニーズ事務所は莫大な売り上げが見込める所属タレントの公式カレンダーを各出版社に発売させており、これがジャニーズ事務所から各出版社に回される「カレンダー利権」と呼ばれている<ref name="日刊サイゾー20191024"/><ref name="利権">{{Cite web |title=勢力衰えるジャニーズがカレンダー利権を濫用!?　BTSネガキャンの懸賞金に？|url=https://www.cyzo.com/2021/02/post_268319_entry.html|website=日刊サイゾー|date=2021-02-17|access-date=2023-06-05}}</ref>。ジャニーズ事務所は、カレンダー利権を各出版社に与えることで、関係を強固なものにし、スキャンダルを握りつぶしたり、ライバルタレントに不利な記事を書かせるなど、報道を左右することが可能であったともいわれる<ref name="日刊サイゾー20191024">{{Cite web |title=ジャニーズ公式カレンダーによる出版社への影響力は衰退!? 週刊誌のスクープ抑制効果は消滅へ|author= |url=https://www.cyzo.com/2019/10/post_219908_entry.html|website=日刊サイゾー|date=2019-10-24|access-date=2023-06-05}}</ref><ref name="利権"/>。伊藤喜之の主張によると、2023年8月時点でジャニーズタレントのカレンダーを発売しているのは、確認できた限りで講談社、[[新潮社]]、[[小学館]]、[[主婦と生活社]]、[[光文社]]、[[マガジンハウス]]、[[集英社]]、[[ワン・パブリッシング]]（前身は学研プラスのメディアビジネス部門）、[[ワニブックス]]で、内スキャンダルやゴシップを扱う週刊誌をもつ出版社は講談社（週刊現代、FRIDAY）、新潮社（週刊新潮）、小学館（週刊ポスト、女性セブン）、主婦と生活社（週刊女性）、光文社（FLASH、女性自身）である<ref name="伊藤"/>。これらの週刊誌は出版社がカレンダー利権の恩恵を受けているため、ジャニーズのスキャンダルは事実上書けないと言われており{{efn|このうち主婦と生活社は、2021年にジャニーズカレンダーの販売を開始するまではジャニーズ事務所と「犬猿の仲」とされ、『週刊女性』でジャニーズ関連のスキャンダルを報道していた。関係が変わった後も、主婦と生活社が発行する芸能雑誌『[[JUNON]]』には、ジャニーズ事務所所属タレントは一切掲載されていない<ref>{{Cite web |title=風間俊介が“反ジャニーズ”だった『週刊女性』で撮り下ろし＆表紙の衝撃！　ネット時代に抗えない事務所の苦肉か|url=https://www.cyzo.com/2021/01/post_266457_entry.html|website=日刊サイゾー|date=2021-01-28|access-date=2023-09-07}}</ref>。}}、長年喜多川の性加害を追いかける「[[週刊文春]]」を発行する[[文藝春秋]]は、ジャニーズタレントのカレンダーの発売は行っていない<ref name="伊藤"/>。

伊藤の主張によれば、2008年7月の[[講談社]]「[[週刊現代]]」でのジャニーズ人気タレントの大麻吸引疑惑報道にも事務所から激しい圧力があったが、2023年5月のBBCの告発ドキュメンタリー番組放送の後も講談社の「[[FRIDAY (雑誌)|FRIDAY]]」がBBC報道を追いかけたことに対し、事務所が出版社に圧力をかけ、講談社の女性誌でのジャニーズタレントの表紙の仕事を引き上げたと述べている<ref name="伊藤">{{Cite web |author=伊藤喜之|url=https://slownews.com/n/n85e4b7dd1a1b |title=BBC「性加害報道」後もジャニーズが講談社にかけてきた「圧力」 |website=Slow News |publisher= |language= |date=2023.8.22 |accessdate= 2023.8.29|archiveurl=https://web.archive.org/web/20230822162923/https://slownews.com/n/n85e4b7dd1a1b |archivedate=2023.8.22 |deadlinkdate=}}</ref>。

===日本メディアへの批判===
喜多川による未成年の所属タレントへの性的虐待は、[[ハーヴェイ・ワインスタイン]]（立場を利用し多くの女性に性暴力を行った大物映画プロデューサー）や[[ジミー・サヴィル]]（死後に性加害問題が発覚したテレビ司会者）らの歴史的な性加害事件と比較されうるものだが<ref name="telegraph"/>、BBCのモビーン・アザーもワインスタインや[[R・ケリー]]（多くの少女や若い女性を[[グルーミング (性犯罪)|グルーミング]]して性的虐待を行った大物[[R&B]][[シンガーソングライター]]・プロデューサー）の事件との明らかな違いは、日本のメディアの大部分が報道しないという判断を下したことであると指摘している<ref name="フロントロウ">{{Cite web |title=ジャニー氏とワインスタイン被告の比較に言及、告発番組の記者|author=フロントロウ編集部|url=https://front-row.jp/_ct/17615018|website=フロントロウ|date=2023-03-17|access-date=2023-04-07}}</ref>。アメリカの法学者・社会学者の{{仮リンク|マーク・D・ウェスト|en|Mark D. West}} 氏は日本で[[マイケル・ジャクソン裁判|マイケル・ジャクソンの小児性愛裁判]]が大々的に報道されたことからわかるように、日本のマスコミが小児性愛をタブーとしていたわけではなく、誰もが知る喜多川のスキャンダルという主題は確実にニュース価値があったが、それでも報道されなかったと指摘している{{sfn|West|2008|pp=210-211}}。当時日本のマスコミが大々的に報道したのは、稲垣吾郎の不祥事であった{{sfn|West|2008|pp=210-211}}。

[[弁護士ドットコム]]ニュースの取材に対して、週刊文春の加藤晃彦編集長は「メディア各社がジャニーズ事務所と『利益共同体』となり、関係を重んじている」ことが、同誌の性的虐待の報道を他のメディアが無視し、報道を行わなかったことに関係しているのではないかと述べている<ref name="高橋"/>{{efn|「やはりジャニーズ事務所の影響力は非常に大きい。特にテレビ、そして本来であればテレビがやらないことは週刊誌など雑誌業界の出番なんですけど、（大手出版各社が）所属タレントのカレンダーを発売するなど、きっちり利益共同体ができあがっている。大手出版各社を事務所が押さえていたというのはやっぱり相当強かったんだろうと思います」<ref name="高橋"/>}}。

2000年に衆議院特別委員会で取り上げられ、[[東京都青少年健全育成条例]]や[[児童福祉法]]、児童買春・[[児童ポルノ禁止法]]に抵触するのではないかと疑義を呈されたが、主要メディアは取り上げなかった<ref name="中村"/>。

2005年に[[ニューヨーク・タイムズ]]、[[オブザーバー (イギリスの新聞)|オブザーバー]]などの世界各国のメディアでも、週刊文春との裁判結果が取り上げられ、喜多川の性加害問題をタブー視して一切報道しない日本のテレビや新聞の異常さが指摘された<ref>[https://archive.nytimes.com/www.nytimes.com/library/world/asia/013000japan-talent.html In Japan, Tarnishing a Star Maker]（日本のスターメーカーの曇り）ニューヨークタイムズ2000年1月30日、カルビン・シムス記者。[https://www.theguardian.com/music/2005/aug/21/popandrock3 Japan's bizarre music industry]（日本の奇妙な音楽産業）オブザーバー2005年8月21日、クリス・カンピオン記者</ref>。

2023年03月17日、モビーン・アザーが日本外国特派員協会の[[Zoom (アプリケーション)|Zoom]]会見で、「SNS上では大きな反響があったが大手メディアの反応は静かだ」と大手メディアがジャニーズに忖度し取り上げず沈黙していることを批判した<ref name="弁護士">{{Cite web |title=ジャニー氏の性加害問題、沈黙する司法と大手メディア BBC番組制作者が批判 - 弁護士ドットコムニュース |url=https://www.bengo4.com/c_18/n_15780/ |website=弁護士ドットコム |date=2023-03-17 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。 

ジャーナリストの[[中村竜太郎]]も「国内では過去を検証することなく、ジャニー氏の功績を礼賛する向きもあり、まるで[[独裁国家]]のようである。誤解なきよう説明すると、評価を求めているのではなく、単純におかしいと思うのだ。それを言及すると業界内で“村八分”、“危険人物”扱いが待っていた」と述べ、BBCの質問に対し「1999年以来、私は、日本のメディアにずっと絶望しきっています」と答えた<ref name="中村">{{Cite web |title=「1999年以来、絶望しきっています」BBCも注目するジャニー喜多川の性的虐待問題、日本のメディアが“無視”するワケ|url=https://bunshun.jp/articles/-/59446|author=中村竜太郎|website=文春オンライン|date=2022-12-31|access-date=2023-04-14}}</ref>。2022年11月に出版された『文藝春秋オピニオン 2023年の論点100』で中村は「悲観的ではあるが、これまでのことを現実的に捉えると、このBBC報道が日本で大きく取り上げられることはまずないだろう。」とコメントしている。 

また[[PRESIDENT Online]]もテレビなどの大手メディアが報じないことを問題視する記事を掲載している<ref>[https://president.jp/articles/-/67848 なぜトップニュースにしないのか…依然としてジャニー喜多川氏の性的虐待を問題視しないメディアの罪] PRESIDENT Online 2023年3月31日</ref>。 

大手広告代理店の[[博報堂]]も同社が発行する雑誌『広告』文化特集号（2023年3月31日）の記事で喜多川の性的虐待問題をいったん取り上げたが、博報堂広報室長がジャニーズはビジネスパートナーという理由で、「博報堂広報室長の判断により」の文言と共に一部の表現を削除をしたと表明している<ref>[https://www.j-cast.com/2023/04/03459165.html 博報堂、雑誌からジャニー喜多川氏巡る記述削除　広報が判断...「ビジネスパートナーへの配慮のため」] j-cast 2023年4月3日</ref><ref>[https://note.kohkoku.jp/n/n1c49de418dff 『広告』文化特集号での広報室長判断による一部表現の削除について]博報堂note</ref>。

2023年5月11日、[[TBSテレビ]]『[[news23]]』が問題被害者の証言などを詳細に放送した。メインキャスターの[[小川彩佳]]が顔出し・実名で証言した元所属タレントらの勇気に敬意を表し、「果たして、報道機関がどれだけこうした被害を報道してきたのか。少なくとも私達の番組ではお伝えしてこなかったという現状があります。その中で、このカウアンさんの発言は非常に重く、この言葉には向き合わなければならないと感じています」と語った<ref>{{Cite web |title=「私達の番組で伝えてこなかった」news23小川彩佳キャスター　ジャニーズ性加害問題で悔恨　番組で「報道していきたい」|url=https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/omoshiro/202305/0016348661.shtml|website=神戸新聞NEXT|date=2023-05-15|access-date=2023-06-18}}</ref>。

2023年5月17日放送のNHK総合『[[クローズアップ現代]]』の「“誰も助けてくれなかった”　告白・ジャニーズと性加害問題」において、ジャーナリストの松谷創一郎が「今回も民放を含めてNHKも報道がかなり抑制的。こういうことが一番大きな問題ではないか」「今も抑制的であるということは、ある種の“共犯関係”ではないかという風に思ってます」と共犯性を指摘し、厳しく批判した<ref name="オリコン">{{Cite web |title=NHK『クロ現』でジャニーズ性加害問題特集 ジャーナリスト・松谷創一郎氏は第三者委設置の必要性を強調|url=https://www.oricon.co.jp/news/2279397/full/|website=ORICON NEWS|date=2023-5-17|access-date=2023-04-14}}</ref>。

[[プチ鹿島]]も文春オンラインで朝日新聞は自社の記者による検証企画も行っておらず、「朝日新聞はジャニーズ問題の検証を『外部発注』にズラしているようにも見える。重要なのはこの20年だけではない。この数カ月だけでもそう」であり、論説委員の個人コラムで済む問題ではないと表面的な対応を批判している<ref name="プチ鹿島"/>。

海外メディアは、日本メディアの対応について冷淡な論調で報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は裁判の結果が出た当時の報道で、日本のメディアがこれを報道しなかったこと、被害をったえる暴露本にも注目していないことを指摘している{{sfn|West|2008|pp=210-211}}。日本社会について[[ジャパン・タイムズ]]紙などに寄稿してきたフィル・ブレイザーが「喜多川の犯罪を問わずにきたことを謝罪するメディアもあるだろうが、業界全体のなれ合い体質は変わるまい。（中略）このスキャンダルで（ジャニーズ事務所が）ダメージを受けるとは思わない」と日本メディアの忖度システムは今後も変わらないだろうと評している<ref name="マクニール">{{Cite web |title=「ジャニーズ神話」が死んだ日...潮目が変わった「公然の秘密」性加害タブー |url=https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2023/06/post-101973_1.php |author=デービッド・マクニール |website=ニューズウィーク日本版 |date=2023-6-23 |access-date=2023-07-24}}</ref>。ジャーナリスト、[[聖心女子大学]]のデービッド・マクニール教授はニューズウィーク日本版で、「主要メディアはいまだにスキャンダルの全容解明に踏み込まず、多くのファンの『裏切られた』という思いに応えようともしていない」「今日でもテレビ各局のプロデューサーは、喜多川氏のマンションで何が行われていたかを追及しようとしない」「日本の業界の認識の甘さは目に余る」と日本のメディアを痛烈に批判している<ref name="マクニール"/>。

国内のメディアでもこの問題を取り上げているものもあり、[[日刊ゲンダイ]]ではジャニーズ性加害問題当事者の会代表の平本淳也の意見を取り上げ、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会メンバーの調査来日に対して「国連の作業部会メンバーはジャニーズのみならず、日本芸能界に依然としてはびこるハラスメントにもメスを入れるという。芸能事務所、それと結託するメディア、さらに広告、政界まで利権でつながる闇の構図を浮き彫りにして欲しい。そして長年の膿を出し切る機会になることを期待する声なき声は、実際のところ、関係者の中にも少なくないのだ」としている<ref>[https://web.archive.org/web/20230728153929/https://news.yahoo.co.jp/articles/434785d286cb602d42bbf9b68d3e58cff18283a4 「ジャニーズ性加害」民放キー局、大新聞文化部は未だにスルー、外圧でしか動かない日本社会の悪しき縮図]</ref>。

2023年9月9日、TBSテレビの[[安住紳一郎]]アナウンサーも、自身がメインキャスターを務める『[[情報7daysニュースキャスター]]』の中で、この問題におけるマスコミ側の責任についての反省を語った。安住アナは性加害を認定した04年の最高裁判決が当時の一般紙の新聞でも小さな扱いだったことに加え「TBSも当時、この結果を報じていません」と報告した。なぜ報じなかったか、という点について安住アナが独自に周辺のマスコミ関係者に聞いた見解として、「当時は捜査当局も動いていないし、これほど大きな事件であるという認識がなく、法律上も強制性交の被害者は女性に限定している時代で、ただの芸能ニュースのひとつだろうと考えて、ニュースとして取り上げないという認識の人が多かった」と語った。BBCが性加害についてドキュメンタリーを放送したのが3月18日でありながら、同番組で初めて取り上げたのが一か月以上経過した4月22日であったことを「私の感覚では（放送するのが）2週、遅かった気がします。4月8日、15日にも放送するチャンスがあったと思います。これは三谷さんも『今週、放送しないんですか？』と打ち合わせで話したと思います」と同番組レギュラーの[[三谷幸喜]]（脚本家）氏が打ち合わせの場で「放送しないんですか？」と聞いていたことを明かした。「ただし、この時点では事務所側が、性加害があったことを認めてはおらず、さらに自分たちが取材している問題ではないので、これは取り扱いに注意が必要という判断。それが大手芸能事務所に対する忖度ではないかというご指摘があると思いますが、その側面は十分にあると思います」と率直に話していった。結びに自身が著名人をインタビューする際、事務所などからNG質問などが存在することを告白し、「これは嫌われても聞かなければならない時は、自分で考えてそのような（あえて質問する）手段を取る。しかし、今回はそのケースに当たるのに、私含めて放送局で働く人間たちがことの重大さを分かっていなかった」と反省を口に。「東山新社長の言う、マスコミとの対話、正直に話すことをこれからも心掛けて変えていく努力をしていきます」と覚悟を語った<ref>[https://mainichi.jp/articles/20230909/spp/000/006/093000c 安住紳一郎　ジャニーズ問題でメディアの沈黙を反省「私含めてことの重大さを分かっていなかった」]毎日新聞 2023年9月9日</ref>。

===9月7日の会見とそれを受けてのテレビ局各社のコメント===
2023年9月7日、ジャニーズ事務所側の記者会見が行われ、[[日本放送協会|NHK]]と、民放5大ネットワーク（[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]・[[テレビ朝日]]・[[TBSテレビ]]・[[テレビ東京]]・[[フジテレビジョン|フジテレビ]]）のうち4局の、合わせて5局が生中継を行った<ref name=":3">[https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/07/kiji/20230907s00041000230000c.html テレ朝も特別編成　地上波5局でジャニーズ事務所会見を放送　テレ東は“通常営業”]2023年9月7日　スポーツニッポン</ref>。テレビ東京は地上波では生中継を行わなかったが、同局のニュースサイトにて生配信を実施した<ref name=":3" /><ref>[https://www.youtube.com/watch?v=5aetPJ6tBq4 ジャニーズ事務所「性加害認め謝罪」藤島ジュリー景子氏の後任社長には東山紀之氏／ジャニーズ事務所会見【ノーカット】] - YouTube テレ東BIZ 2023年9月7日</ref>。また、[[ニコニコ動画]]を主宰する[[ドワンゴ]]や[[サイバーエージェント]]傘下の[[AbemaNews]]、[[ヤフー (企業)|ヤフー]]グループの[[THE PAGE]]なども[[ニコニコ生放送]]<ref>[https://live.nicovideo.jp/watch/lv342626534 ジャニーズ事務所が今後の対応について説明 記者会見 生中継] - [[ニコニコニュース]] [[ニコニコ生放送]][[タイムシフト]] 2023年9月7日</ref>や[[ABEMA]]<ref>[https://abema.tv/channels/abema-news/slots/9U2egYQYCm9CFh ジャニーズ事務所 記者会見【ノーカット生中継】] - ABEMA 2023年9月7日</ref>、[[YouTube#ライブストリーミング|YouTube Live]]<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=-JeXZhMdnq4 ジャニーズ事務所が会見　性加害事実認め謝罪　東山紀之新社長に就任（2023年9月7日）] - YouTube THE PAGE 2023年9月7日</ref>にて[[ストリーミング#ライブストリーミング|ライブストリーミング配信]]も行われた。

会見後、テレビ6局はそれぞれコメントを発表した<ref>[https://hochi.news/articles/20230907-OHT1T51289.html?page=1 在京キー局が「マスメディアの沈黙」について姿勢示す…ジャニーズ事務所の会見受け声明を発表【各局全文コメント】]2023年9月7日 スポーツ報知</ref>。

==== 日本放送協会（NHK） ====
{{Quotation|ジャニーズ事務所は、故ジャニー喜多川氏が性加害を行っていたと認めました。未成年者に対する悪質な性加害が、長期間にわたって取引企業で行われていたことを深刻に受け止めています。

ジャニーズ事務所の再発防止特別チームの調査報告書では、『マスメディアからの批判を受けることがないことから、ジャニーズ事務所が自浄能力を発揮することもなく隠蔽体質を強化し、その結果、被害が拡大した』などと指摘しています。
この問題をめぐっては、これまでも週刊誌等でたびたび報じられ、性加害の事実を認定した東京高等裁判所の判決が2004年に確定するなどしましたが、NHKは、当時、この問題について認識が薄く、その後も、取材を深めてニュースや番組で取り上げることはありませんでした。
多くの未成年者が被害にあう中で、メディアとしての役割を十分に果たしていなかったと自省しています。より深く真実に迫ろうとする姿勢を改めて徹底し、取材や番組制作に取り組んでまいります。

ジャニーズ事務所に所属するタレントの起用についても見直すべきだとのご指摘を受けています。
NHKでは、出演者の起用については、番組の内容や演出に合わせて、ふさわしい人を選定してきましたが、今後は、所属事務所の人権を尊重する姿勢なども考慮して、出演者の起用を検討したいと考えております。
ジャニーズ事務所に対しては、今後の被害者救済や再発防止の取り組みについてNHKとして改めて詳しく説明を求め、その後も実施状況を注意深く確認してまいります。
放送業界で人権尊重の考えがより浸透するよう、公共メディア・NHKとして、取り組みをさらに徹底してまいります。}}
<ref>[https://www.nhk.or.jp/info/otherpress/pdf/2023/20230907.pdf ジャニーズ事務所の会見についてのNHKコメント] - NHK広報局 2023年9月7日</ref>

==== 日本テレビ放送網 ====
{{Quotation|本日、ジャニーズ事務所が故ジャニー喜多川氏による所属タレントらへの性加害の事実を認め謝罪し、被害者への補償や救済、東山紀之氏を代表取締役社長としたことを公表しました。
日本テレビはジャニーズ事務所に対し、被害者の救済と再発防止に徹底して取り組むよう求めるとともに適切な対話を続け、人権を尊重した企業活動に努めてまいります。

日本テレビは、ジャニーズ事務所の再発防止特別チームが調査報告書で『マスメディアが正面から取り上げてこなかった』などと指摘したことを重く受け止め、性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります。
なお、日本テレビは会見で示された対応、方針をふまえて、現時点でジャニーズ事務所所属タレントの番組出演について変更する予定はございません。今後も視聴者の皆様の期待を裏切らない番組を制作してまいります。}}

==== テレビ朝日 ====
{{Quotation|ジャニーズ事務所から、性加害問題について記者会見を開き、藤島ジュリー社長の辞任と東山紀之さんの社長就任という新しい体制などが発表されました。
その内容は、性加害の事実を正式に認めて謝罪し、再発防止策や被害者救済策に取り組む姿勢を明らかにしたもので、再発防止特別チームの提言を真摯に受け止めたものだと考えております。性加害は許されるものではなく、今後ジャニーズ事務所が新体制のもと、それらの施策に真摯に取り組み、社会の信頼を取り戻せるのかを注視してまいります。
また、ジャニーズ事務所所属タレントの出演につきましては、タレント自身に問題があるとは考えておりません。これまで通り番組の企画内容などを踏まえ、ご出演頂きたいと考えております。
性加害問題については、メディアの姿勢も問われています。テレビ朝日としては、被害者の方々、再発防止特別チームの報告書、視聴者の皆様からのご意見、ご指摘を重く受け止め、今後の放送に生かすとともに、人権尊重を明確に掲げて事業活動を行ってまいります。}}

==== TBSテレビ ====
{{Quotation|本日、ジャニーズ事務所が記者会見を行い、故・ジャニー喜多川氏による長期間にわたる未成年者への性加害を認め謝罪しました。また社長を交代し新たな体制の下で、被害者への補償や救済に真摯に取り組むことを表明しました。
TBSテレビは、ひきつづきジャニーズ事務所に対して、被害者の救済と人権侵害の再発防止を要望していくとともに、事務所がどう着実に進めていくのかを今後も注視しながら、適切に対処してまいります。
TBSグループは人権を尊重する取り組みに、より一層努めてまいる所存です。}}

==== テレビ東京 ====
{{Quotation|ジャニーズ事務所は本日の記者会見で、再発防止特別チームの報告と提言を受け、元社長であるジャニー喜多川氏の性加害を全面的に認め被害者の救済措置をとるとともに、再発防止策を徹底する方針や社長の交代を発表しました。
テレビ東京は、同事務所が改革に乗り出す重要な一歩であると受け止めています。ただ経営ガバナンスの強化など、残された課題は多く、今後も人権デューデリジェンスの考え方に基づき、取引先としての対話を通じて、状況の改善を働きかけていく所存です。10月からの新しい体制が真のガバナンス機能を持つものになるよう、重大な関心をもって見守ります。}}

==== フジテレビジョン ====
{{Quotation|ジャニーズ事務所が、創業者の性加害の事実を認め、新たな体制を公表しました。フジテレビは、ジャニーズ事務所が新体制のもと、被害者救済・再発防止を、実効性を伴って実施していくよう注視してまいります。
性加害が決して許されないことは当然です。当社は、先日の「外部専門家による再発防止特別チーム」調査報告書に記されたマスメディアに対するご指摘を真摯に受け止め、全てのステークホルダーとともに人権尊重を徹底し、あらゆる人権侵害を防ぐべく対処していく所存です。}}

===一回目の記者会見後の各社の動き===
民放のキー局と呼ばれる在京テレビ局各社は、事務所に対し要望書を提出したり口頭での要望をしたことを明かしている。TBSテレビが「被害者への救済補償や人権侵害の防止策などを速やかに決定すること」など４項目を、文書で要望したことを同社の佐々木卓社長は２０日の定例記者会見で明らかにした。担当役員が９月１３日に、東山紀之社長へ提出したという<ref>[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023092001130&g=soc ジャニーズ事務所へ要望書　性加害問題でＴＢＳ]時事通信 2023年9月20日</ref>。日本テレビが被害者との対話を踏まえた実効性のある救済制度、適切な補償の実施のほか、再発防止や所属タレントが活動しやすい環境整備に向けた組織の見直しとマネジメントを要望した文書を20日付で東山紀之社長に提出、さらに日本テレビの石澤顕社長は「日本テレビとしては社名の変更、補償、マネジメントの組織の分離を再考するよう口頭で申し入れました」という<ref>[https://hochi.news/articles/20230925-OHT1T51110.html?page=1 日本テレビ社長、ジャニーズ事務所に書面で申し入れ　被害者救済や組織の見直しを要請]2023年9月25日 スポーツ報知</ref>。テレビ朝日・篠塚浩社長は、要望書こそ出さなかったものの被害者への謝罪や補償、再発防止策の徹底を行うとともに、社名変更を検討するよう申し入れたことを明らかにした<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230926/k10014207361000.html テレビ朝日社長 ジャニーズ事務所に社名変更検討など申し入れ]NHK　2023年9月26日</ref>。テレビ東京・石川一郎社長は、14日に直接文書で社名変更を要請したことを明らかにした。これまでにも同様の要請をしていたといい、本件に関して4回にわたって申し入れをしていたことを語った<ref>[https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/28/kiji/20230928s00041000212000c.html テレ東社長、ジャニーズに社名変更求める　申し入れは延べ4回行っていた　性加害問題受け14日には文書で]スポーツニッポン 2023年9月28日</ref>。その上でテレビ東京としてジャニーズ事務所に所属するタレントの新たな番組起用をすでにとり止めていることを明らかにした<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASR9X64KDR9XUCVL025.html テレ東、ジャニーズ新たに番組起用せず　事務所には社名変更求める]朝日新聞 2023年9月28日</ref>。フジテレビの港浩一社長は、事務所側に社名変更や被害者救済とマネジメントの会社の分離を検討すべきと14日に口頭で直接申し入れたと明らかにした<ref>[https://www.daily.co.jp/gossip/2023/09/30/0016866927.shtml フジテレビ　ジャニーズに社名変更、被害者救済会社の分離など要望　港浩一社長明かす]デイリースポーツ 2023年9月30日</ref>。

NHKの稲葉会長は性加害問題を受け、NHKとしてジャニーズ事務所に対し被害者への補償や再発防止の取り組みを、適切かつ迅速に行うよう要請したとした上で、事務所に所属するタレントの新規の出演依頼は、被害者への補償や再発防止の取り組みが着実に実施されることが確認されるまで、当面行わないことを決めた<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230927/k10014208321000.html NHK会長“ジャニーズ所属タレントの新規出演依頼 当面行わず”]</ref>。

民間放送各社が加盟する[[日本民間放送連盟]]（民放連）の遠藤龍之介会長（フジテレビジョン・副社長）は「（ジャニーズ事務所が設けた外部専門家チームから）『マスメディアの沈黙』と指摘されたことは重く受け止めます」と述べた。外部専門家チームが公表した報告書によると、性加害問題は、過去にいくつかの週刊誌が取り上げてきたものの、多くのマスメディアは正面から取り上げてこなかった。これについて「今回の事案のような人権侵害は許されない。過去に（創業者の）ジャニー喜多川氏が行った数々の行為が重大な人権侵害だという認識を、民放を含む多くのメディアが十分に持てなかったことは事実で、反省しなければならない」と反省の弁を述べるとともに、民放連として「人権に関する基本姿勢を改めて確認し、アップグレードしないといけない」と話した。民放各社による性加害問題についての報道姿勢や所属タレントの起用については「それぞれの社が顧みるべきだ」とし、所属タレント出演CMの放送についても「各社が広告主の意向を尊重して対応すること」と話すにとどめた<ref>[https://www.jiji.com/jc/article?k=2023092101059&g=soc 遠藤民放連会長、「人権侵害の認識持てず反省」　ジャニーズ性加害問題]時事通信社 2023年09月21日</ref>。

===2度目の会見(10月2日)とそれを受けての各社のコメント===
一回目の会見同様、NHKと民放5大ネットワークのうち、テレビ東京を除く4局が会見の模様を生中継<ref>[https://encount.press/archives/521140/]</ref>。

前回同様、会見を受けテレビ各局はコメントを発表した<ref>[https://www.asahi.com/and/entertainment/424163229/ ジャニーズ会見、各局声明そろう]</ref>。

;NHK
: きょうの記者会見で示された方針も含め、今後も事務所側とのやりとりを継続し、被害者への補償と再発防止に向けた取り組みが着実に実施されているか確認してまいります。
;日本テレビ
: 本日、ジャニーズ事務所が会見を開き事務所の新体制について説明を行い、 今後の救済策などの取り組みについて公表しました。 公表された内容には日本テレビが申し入れていた「事務所の名称変更」「補償とマネジメントの組織の分離」「被害者との直接かつ十分な対話を踏まえた実効的な救済制度および適切な補償の実施」「再発防止策の実施および公表」などの内容が含まれており、一定の前進があったと受け止めております。 日本テレビはその取り組みが早急かつ確実に実施されるようジャニーズ事務所と適切な対話を続け、進捗を注視してまいります。 また、所属タレントの新規の起用については、本日表明された対策が確実に実施されているか見極め、適切に判断してまいります。
;テレビ朝日
: ジャニーズ事務所が、今後の事務所の在り方や再発防止策などに関する記者会見を開き、現在のジャニーズ事務所は社名を「SMILE-UP．」に変更して被害者の方々への補償・救済業務に専念し、補償が終了次第、廃業することや、新会社を設立することなどが発表されました。また、藤島ジュリー景子氏は新会社の役員に就任せず、株式も保有しないことも明らかにしています。テレビ朝日としては、「SMILE-UP.」が被害者の補償・救済を速やかに、かつ誠実に実施するよう求めて参ります。新会社は、エージェント契約を軸とした新しい形態になりますが、特に、若年層の育成の過程において万全のケアを行って欲しいのと同時に、人権侵害に関わる問題が再発しないよう最善の努力を傾注して頂きたいと要望します。 なお、新会社に属するタレントの起用につきましては、企画内容などを踏まえ総合的に判断していくという方針に変わりはありません。
;TBS
: ジャニーズ事務所は、本日、記者会見を行い、ジャニー喜多川氏との決別を図る組織の見直しや人権方針の策定、被害者救済の進捗状況などを発表しました。これは、ジャニーズ事務所が被害者の救済・補償や人権侵害の防止に具体的に取り組み始めたことを示すもので、改革の緒についたものと受け止めています。TBSは先日行ったジャニーズ事務所への要望に基づき、今後も定期的な対話を通じて、被害者の救済や二度と人権侵害を起こさないよう組織体制の構築をより具体的に進めるよう促して参ります。
;テレビ東京
: ジャニーズ事務所は本日、記者会見を開き、ジャニー喜多川元社長による所属タレントらへの性加害問題について、経営ガバナンスの強化策や再発防止策、被害者への補償に対する考え方などを改めて発表しました。
: ジャニーズ事務所の発表内容は、経営ガバナンス強化や被害者救済の早期実施などを求めたテレビ東京ホールディングスの申し入れに沿った内容であり、解体的な出直しに向けて一定の前進はあったと受け止めています。ただ、発表内容については不明確な事項が多いため、ジャニーズ事務所に事実関係を確認したうえで、今後の当社の方針を決めたいと考えています。
;フジテレビ
: ジャニーズ事務所が会見を開き、社名変更を含む今後の会社運営、被害者への補償・救済などの方針を発表しました。当社は、このたび示された方針が速やかに実行されていくよう求めてまいります。ただ、具体的にはまだ詳細が不明な部分もあり、引き続きジャニーズ事務所の対応を注視してまいります。キャスティングに関しては、被害者への対応が着実に実施されていることを確認しながら適切に判断してまいります。改めてこの問題に対する当社の認識は不足していたと反省しており、企業として、また報道機関として、今回のジャニーズ事務所の件への対応を含め、あらゆる人権尊重のための責任を果たしていく所存です。

===2度目の会見後の各社の動き（10月2日以降）===
日本テレビは10月4日放送の『news every.』の中で、この問題に対する検証および社内調査の結果を公表した。今回の調査のポイントは、①週刊文春のジャニー喜多川氏の「セクハラ」キャンペーン報道と一連の裁判を日本テレビがどう伝えてきたのか、②ジャニーズ事務所と日本テレビとの関わりについて、③イギリスBBC報道以降の日本テレビの対応について、以上の3点。検証方法として過去の番組の録画などを確認するとともに、20年以上過去にさかのぼり、報道局の記者やジャニーズ事務所と向き合っていた番組担当者、各部署の幹部らから幅広くヒアリングを行った<ref>[https://news.ntv.co.jp/category/society/df2f7bcac2b843168b41af2e938b1582 【ジャニーズ“性加害問題”】日本テレビとして自己検証 「マスメディアの沈黙」指摘ふまえ社内調査を実施]日テレNEWS 2023年10月4日</ref>。

== 社会への影響 ==

=== 日本労働弁護団による緊急声明・無料相談ホットラインの開設=== 
[[日本労働弁護団]]は当該問題を受け、2023年7月24日に緊急声明を出しジャニーズ問題をはじめとする芸能界の性被害・ハラスメント撲滅のための「法的な環境整備」が必要だと訴えた<ref name="bengo4_20230724">{{Cite web |title=ジャニーズ性加害問題、日本労働弁護団が緊急声明「法整備が必要」 無料相談ホットラインも開設 |url=https://www.bengo4.com/c_5/n_16296/ |website=弁護士ドットコムニュース |date=2023-07-24 |access-date=2023-07-25}}</ref>。

また芸能界を中心に表現活動をしている人向けに、[[LINE (アプリケーション)|LINE]]や[[電話]]で無料相談を受け付ける期間限定の「芸能界ハラスメントホットライン」を開設した<ref name="bengo4_20230724" />。

=== 男性の性暴力被害への関心の高まり ===
ジャニー喜多川による性加害疑惑報道によって男性の性暴力被害に対する関心が高まっており<ref name="yomiuri20230608" />、元所属タレントが性被害を公表する姿に背中を押され、新聞に性被害の経験を掲載した男性もいる<ref name="kobenp16454879">[https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202306/0016454879.shtml 中2のとき、祖父にされたー　誰にも言えなかった性被害、30代男性　自分の心も体も大切にできなくなった | 総合 | 神戸新聞NEXT]</ref>。

==政治への影響==
=== 2000年 ===
==== [[第147回国会]] ====
4月13日、[[衆議院議員]]（当時）で元[[兵庫県]][[宝塚市]]の[[阪上善秀]]市長はこの問題を[[衆議院]]の「第147回国会青少年問題に関する特別委員会」で取り上げ、『週刊文春』の報道やヒアリングをもとに「ジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います」と[[警察庁]]、[[法務省]]など各省庁の局長たちに質問を行った<ref name="20131029kokkai">{{Cite web |url=https://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007314720000413005.htm |title=第147回国会青少年問題に関する特別委員会第5号 |access-date=2023年3月12日 |archive-url=https://web.archive.org/web/20131029201128/http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007314720000413005.htm |archive-date=2013年10月29日}}</ref><ref name="20230512山口">{{Cite web |title=国会で論じられたジャニーズ性加害問題、警察庁や法務省の見解は？　2000年に阪上議員が追及 |author=山口紗貴子 |url=https://www.bengo4.com/c_18/n_15989/ |website=弁護士ドットコムニュース |access-date=2023-09-07 |date=2023-05-12}}</ref>。阪上議員は質問の中で息子から、「先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられた」という話を聞いた母親の手紙を紹介している<ref name="20131029kokkai" /><ref>{{Cite web |url=https://kokkai.ndl.go.jp/simple/dispPDF?minId=114704582X00520000413 |title=第147回 衆議院 青少年問題に関する特別委員会 第5号 平成12年4月13日 |website=国会会議録検索システム |access-date=2023年3月12日}}</ref>。政府参考人の黒澤正和警察庁生活安全局長は、飲酒と喫煙についてジャニーズ事務所に厳重注意を勧告したと認めている<ref name="20131029kokkai" />。

阪上議員の「十二歳の少年がセクハラ行為を受けたという報道もありましたが、刑法によれば、十二歳以下の少年にわいせつな行為をした者は強制わいせつ罪にも問われると思いますが、いかがですか。」という質問に対して、[[法務省]]の古田佑紀刑事局長は「一般論として申し上げますれば、刑法では、十三歳未満の少年についてわいせつな行為をしたときには、それ自体で強制わいせつ罪が成立することとされております。」と回答した<ref name="20131029kokkai" />。

「条例違反や児童福祉法違反、強制わいせつ罪は、被害者からの訴えがなくても捜査の対象となると思いますが、いかがですか。」という質問に対して古田刑事局長が、「一般論を再び申し上げることになりますけれども、今御指摘のような犯罪につきまして、被害者からの被害申告あるいは告訴、このようなことが捜査を開始する要件とされているわけではないというふうに理解しております。」と回答しており、黒澤警察庁生活安全局長もこれに同意している<ref name="20131029kokkai" />。

阪上議員が国会でこのような質問を行ったのは一種の賭けであったが、元芸能記者で[[東京都]][[目黒区議会]]の[[須藤甚一郎]]議員(当時)も、主流メディアがこの問題で明らかになったことを報道するかわからない状況のためだと述べた（当時、喜多川と事務所は文藝春秋との裁判中だった）<ref name="NYTimes">{{Internetquelle|autor=Calvin Sims|url=https://www.nytimes.com/2000/04/14/world/lawmakers-in-japan-hear-grim-sex-case.html|titel=Lawmakers In Japan Hear Grim Sex Case|werk=The New York Times|datum=2000-04-14|sprache=en|archiv-url=https://web.archive.org/web/20090508030819/https://www.nytimes.com/2000/04/14/world/lawmakers-in-japan-hear-grim-sex-case.html|archiv-datum=2009-05-08|abruf=2023-09-07}}</ref><ref name="20230512山口" />。

このように、喜多川の性加害疑惑は国会でも議論されたが、これを機に警察の捜査が進むことはなかったと思われる<ref name="20230512山口" />。

=== 2023年 ===
==== [[第211回国会]] ====
5月31日、元ジャニーズJr.の二本樹顕理が国会内で[[立憲民主党 (日本 2020)|立憲民主党]]のヒアリングに応じ、「（自分が事務所に）在籍していた1年半の間だけでも、入所時期の近いジャニーズJr.たち十数人の被害を耳にした」と証言した<ref name=":yahoo20230531" />。  

5月26日、立憲民主党が[[児童虐待防止法]]の改正案を衆議院に提出し<ref>{{Cite web |title=立憲、児童虐待防止法改正案を提出 ジャニーズ性加害問題受け：朝日新聞デジタル |url=https://www.asahi.com/articles/ASR5V4QC9R5VULFA00C.html?iref=ogimage_rek |website=朝日新聞デジタル |date=2023-05-26 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>、6月5日、元ジャニーズJr.が同法の改正を求める署名を6政党（[[自由民主党 (日本)|自民党]]・[[公明党]]・立憲民主党・[[日本維新の会 (2016-)|日本維新の会]]・[[国民民主党 (日本 2020)|国民民主党]]・[[日本共産党]]） に提出した<ref>{{Cite web |title=元ジャニーズJr.ら、「児童虐待防止法」の改正求め6政党に署名提出「被害者ではなく、加害者が怖がる法律を」 |url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_647d211ee4b02325c5e1718d |website=ハフポスト |date=2023-06-05 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>が、成立は見送られた<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ問題、今国会での法改正を見送りへ 自民が立憲に伝達：朝日新聞デジタル |url=https://www.asahi.com/articles/ASR6973DDR69UTFK01R.html?iref=ogimage_rek |website=朝日新聞デジタル |date=2023-06-09 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。

6月12日、[[岸田文雄]][[内閣総理大臣]]は喜多川の性加害問題に関連し、対策会議を開く方針を明らかにした<ref>{{Cite web |title=岸田首相、ジャニーズ問題で対策会議開催を表明「断じて許されない」 |url=https://www.sankei.com/article/20230612-CEBQDBB4PNKSFBVWSI6TWGO6LA/ |website=産経ニュース |date=2023-06-12 |access-date=2023-09-09 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。第1回の会議は翌13日に開かれた<ref>{{Cite web |title=子どもらの性被害防止、7月中旬までに強化策 ジャニーズ問題で政府：朝日新聞デジタル |url=https://www.asahi.com/articles/ASR6F77G6R6FUTFL007.html?iref=ogimage_rek |website=朝日新聞デジタル |date=2023-06-13 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。

==== 閉会中 ====
7月26日、政府は子どもや若者の性被害防止に向けた緊急対策を決定した。男性・男児に特化した相談窓口を9月にも新設することを盛り込み、保育所などでのわいせつ行為を含む虐待に通報を義務付ける児童福祉法改正も検討する。加害防止に向けては、経済的・社会的地位に基づく影響力を利用するなどの[[不同意性交等罪]]を規定した改正刑法の趣旨や内容を国民に広く周知するほか、子どもと接する仕事に就こうとする人には、性犯罪歴がないことを確認する仕組み「日本版[[前歴開示および前歴者就業制限機構|DBS]]」の導入を検討する<ref>{{Cite web |title=男性・男児の性被害相談窓口新設へ 政府が緊急対策 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA262Z40W3A720C2000000/ |website=日本経済新聞 |date=2023-07-26 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。

9月7日、松野官房長官は喜多川の性加害問題に関し「性別にかかわらず、どのような状況に置かれた子ども・若者であっても性被害に遭うことはあってはならない」と述べ、上記の緊急対策を実施する考えを示した。ジャニーズ事務所の記者会見に対しては、「個別事業者の対応にコメントは差し控える」と述べた<ref>{{Cite web |title=子ども性被害あってはならぬ　官房長官、ジャニーズ問題で：時事ドットコム |url=https://www.jiji.com/amp/article?k=2023090700972&g=pol |website=www.jiji.com |access-date=2023-09-09}}</ref>。

==所属タレントの反応==
===一回目の会見～二度目の会見前===
2023年9月7日の記者会見当日、[[日本テレビ系列|日本テレビ系]]の報道番組『[[news zero]]』が放送され、同番組でキャスターを担当する[[櫻井翔]]（[[嵐 (グループ)|嵐]]）に対し、メインキャスターの[[有働由美子]]がインタビューした映像が放送された。櫻井は会見に対し、「今までの価値観を完全に否定して、全く違う組織になっていくんだというような、強い決意を感じました」と述べ、性加害については「実態というところに関しては、把握し切れていないのが正直なところ。噂という点では耳にしたことはありました」と話した。事務所に対しては、「二度とこうした不祥事が起こらないような環境づくりの徹底を求めたいと思います」とコメントした<ref>{{Cite web |title=櫻井翔 事務所と共に歩む覚悟を明言「ここジャニーズ事務所で、自分のできることを精一杯尽くす」（スポニチ） |url=https://mainichi.jp/articles/20230907/spp/000/006/163000c |website=毎日新聞 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。

同日、[[毎日放送]]『[[よんチャンTV]]』に出演した[[小山慶一郎]]（[[NEWS (グループ)|NEWS]]）が「何より一番大きかったのは、うちの事務所が性加害を認めたこと」「ここから具体的に補償や賠償の話がより進んでいく、被害にあわれた方への対応が迅速になっていくと信じています」とコメントした<ref>{{Cite web |title=NEWS小山慶一郎 ジャニーズの今後「正直、不安です」ファン喜ばせる原点に戻り信頼取り戻す覚悟（スポニチ） |url=https://mainichi.jp/articles/20230907/spp/000/006/113000c |website=毎日新聞 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。

同日夜、[[木村拓哉]]（元[[SMAP]]）が自身の[[Instagram]]に 「show must go on！」との文章を投稿した。これは、喜多川が演出する舞台で使用されていた言葉である<ref>{{Cite web |title=ジャニー喜多川さんのモットー「Ｓｈｏｗ ｍｕｓｔ ｇｏ ｏｎ」とは… |url=https://hochi.news/articles/20190711-OHT1T50004.html |website=スポーツ報知 |date=2019-07-11 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。しかし、これを受けてSNS上では、「何を考えてるのか」「ジャニーの性加害を肯定し、なおかつ隠蔽に加担してるようなもの」「ジャニーのおかげで地位と権力を得られた恩義があるとはいえ、あまりにも非常識過ぎる」等の批判的な意見も見受けられた。それを鑑みてかどうかは不明だが、投稿は9日昼までに削除された<ref>{{Cite web |title=木村拓哉さんのインスタグラムでの投稿が消える。ジャニーズ事務所の記者会見後『Show must go on!』とづつっていた |url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_64fc05cde4b043f73bc10363 |website=ハフポスト |date=2023-09-09 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。

同月8日、[[TBS系列|TBS系]]（[[CBCテレビ]]制作）の『[[ゴゴスマ -GO GO!Smile!-]]』に出演した[[河合郁人]]（[[A.B.C-Z]]）が喜多川に対して、「許したくもない、許せない気持ち」とコメントし、事務所の名称については、「“ジャニーズ”という文字を見るだけで不快に思ったり、フラッシュバックしてしまう方がいるんです」「僕個人の中では、変えた方がいいのではないかと思います」と述べた<ref name=":1">{{Cite web |title=「こんな負の遺産を残してどうしてくれるんですか」。会見をジャニーズ事務所の所属タレントはどう見たか。言葉による発信が相次ぐ |url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_64fbf91fe4b03d2db3496b03 |website=ハフポスト |date=2023-09-09 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。その後9月22日にゴゴスマに出演した際、東山と橋田が面会したことを受けて、「まずは所属事務所のタレントではなく、被害者の方を第一に考えた動きを。橋田さんも言ってましたけど、まだまだ始まってないですけど、対話する環境を整えないといけないと思っています」とコメントした<ref>{{Cite web |title=河合郁人　ジャニーズの被害者への謝罪受け私見「まだまだ始まっていない。対話する環境を整えないと」|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/22/kiji/20230922s00041000318000c.html |website=Sponichi ANNEX |date=2023-09-22 |access-date=2023-09-22 |language=ja}}</ref>。

同日、[[毎日放送]]の『よんチャンTV』に出演した[[中間淳太]]（[[ジャニーズWEST]]）が東山が社長に就任したことについて 「まずは新体制、新社長について、僕は最初に東山さんが新社長になられると聞いた時にすごく驚いた。というのも外部の人間を雇用するべきだと思っていた。親族経営が問題点の1つであったということから、親族ではないものの身内は身内。そこでちゃんと上手くやれるのかなっていう疑問点。多分、被害者の皆様もお持ちじゃないかなと思う。その点に関しては僕はすごいモヤモヤする気持ちは正直ある」と1人の人間としての思いを語った。その上で「ただ、所属タレントとして東山さんを知っているので、東山さんは本当にステージを愛している方。生涯現役で行きたい人なんやろなって、同じ仕事をしてる人からしたら一目瞭然。そんな方が第一線から退いて、社長業に専念する覚悟は相当なものなんだなって所属タレントとしては言えるので、覚悟はあるんだなって感るんです」と所属タレントとしての思いも述べた。また自身の意見として、「やっぱり思うことはすごくたくさんありますし、まだ自分の中にもモヤがかかっていて、1人の人間として捉えたことと、所属タレントとして捉えたこと。意見っていうのがある意味、自分の中でアンビバレントみたいな感じで、[[二律背反|相反してる部分]]がすごいあるんです」と述べた<ref>{{Cite web |title=ジャニーズWEST・中間淳太 新社長は「外部の人間を」も「所属タレントとして…」複雑な心境吐露|url=https://mainichi.jp/articles/20230908/spp/000/006/094000c |website=毎日新聞 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。翌9日に出演した[[朝日放送テレビ]]『[[教えて!ニュースライブ 正義のミカタ|教えて！ニュースライブ 正義のミカタ]]』では、事務所の名称について「僕個人としては、1人の人間としては変えるべきだと思います。ジャニーズという名前を見ただけでフラッシュバックする方もすごくいると思う」「ジャニーズWESTの名前がなくなる覚悟もできていると思います」とコメントした<ref>{{Cite web |title=ジャニーズWEST・中間淳太、声を詰まらせ「グループの名前がなくなる覚悟もできている」事務所名称は「変えるべき」|url=https://www.chunichi.co.jp/article/766214 |website=中日スポーツ・東京中日スポーツ |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。またグループについては『よんちゃんTV』にて、「（ジャニーズWESTとしては）10年やり続けた誇りもありますし、どこのグループにも負けないエンタメ性があると自負している。その自信が根底にあるから、社名が変わろうと、もしかしたら事務所が解体しようと、変わらずに応援してくださるみなさんに、自分たちができることを届けて、生きるパワーを送れたらなと思って頑張り続けます」と述べた<ref>{{Cite web |title=ジャニーズWEST中間淳太「ジャニーズ」社名存続に苦渋「風当たり強くても続けたい気持ちあるが」グループ活動継続約束|url=https://nordot.app/1072787825988600780?c=516798125649773665 |website=[[デイリースポーツ]] |date=2023-09-08 |access-date=2023-09-09 |language=ja}}</ref>。9月29日に『よんちゃんTV』に出演した際、「冒頭で（性加害問題で仕事にも影響が出て）なんでこんな思いをしないといけないんだという気持ちになっているが、それ以上に被害者はもっと悲しい思いをしている。やっぱりフラッシュバックする人も絶対居ると思う」と述べた上で、グループ名「ジャニーズWEST」を、変えたくない部分は正直ありつつも、事務所との話し合いを行ない、メンバー全員の総意を持ってグループ名を変えるつもりであることを述べた<ref name="west-sponichi">{{Cite web |title=中間淳太が明かす　ジャニーズWEST「メンバー全員、名前変えるつもり」「ファンも納得する名前模索中」|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/29/kiji/20230929s00041000553000c.html |website=[[スポーツニッポン|Sponichi Annex]] |date=2023-09-29 |access-date=2023-09-29 |language=ja}}</ref>。

同日8日、[[堂本光一]]（[[KinKi Kids]]）が有料会員サイト『Johnny's web』にて、「自分の知っているジャニーさんと違いがありすぎて何が真実でどう受け止めればいいのか、とても難しく感じていました。彼の裏の顔を信じたくない気持ちも正直あります」「実際に被害に遭われた方の事を考えると、その方たちの人生やこれまで感じてきた恐怖、それは想像を絶するものだと思います。恩師だった彼への自分の思いも改めなければならないですね」とつづった<ref>{{Cite web |title=2023年9月8日 23:00 |url=https://www.johnnys-web.com/s/jwb/diary/4?ima=2353 |website=Johnny's web 「Show must go on」 |date=2023-09-08|access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=堂本光一「ジャニーさんの裏の顔信じたくない気持ちもある」…ジャニー氏性加害問題に言及 |url=https://hochi.news/articles/20230909-OHT1T51352.html?page=1 |website=スポーツ報知 |date=2023-09-10|access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref>。その後、自身の[[Instagram]]に投稿したジャニー喜多川の肖像画とみられる写真を、全て削除した事が発覚した<ref>{{Cite web |title=堂本光一　性加害会見後にインスタから“消された投稿”　ファンは「苦しいだろうなぁ」 |url=https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/2240818/ |website=女性自身 |publisher=[[光文社]] |date=2023-09-11|access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref>。

同月9日、[[城島茂]]（[[TOKIO]]）が自身がメインパーソナリティーを担当するテレビ朝日系『[[週刊ニュースリーダー]]』で、喜多川に対し「いろいろなものを頂きましたが、こんな負の遺産をどうしてくれるんだという思いは正直あります」と述べた<ref name=":1" />。一方で、東山新体制等今後について「後に残った人間、東山新社長の体制で対応していくとは思うんですが、自分たちが何ができるかですが、いきなりは難しいと思います」と自身の考えを表明した。「会見の内容については腑に落ちない意見もたくさんあるとは思う。被害に遭われた方にとっては何十年も我慢されて、今も傷が癒えない方がたくさんいらっしゃると思う。まずは第一歩を踏み出したという意味では、今後、どうなっていくか、自分自身も含めて頑張っていかなければいけないと思っています」と述べた<ref>[https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/09/kiji/20230909s00041000180000c.html 城島茂　会見で「第一歩を踏み出した」も体制立て直し「いきなりは難しいと思う」との考えも]スポーツニッポン 2023年9月9日</ref>。

同月10日、[[中丸雄一]]（[[KAT-TUN]]）が日本テレビ系『[[シューイチ]]』に出演した際、東山新体制の人事について「被害に遭われた方のことに全ての労力と時間を注ぎ込むという意味では、2人の起用は妥当なのでは」との見解を示した。「東山さんが権力を使って、私利私欲でかじ取りをすることはまずあり得ない」と新社長への信頼感をのぞかせつつも、「万が一のことを考えて権力は分散させるべきです。外部の方であるのか法律に詳しい方であるのか、フラットな方を布陣に入れて運営させていくのがベスト」「絶対に東山さんと対等に会話ができる人でないと、最低条件としてダメですね」との意見を述べた。またジャニーズの屋号存続には「明らかに変えていくのが妥当な道」と指摘し「あえていばらの道を選んだ」と発言<ref>[https://www.daily.co.jp/gossip/2023/09/11/0016797972.shtml ＫＡＴ－ＴＵＮ中丸雄一「権力は分散させるべき」ジャニーズ屋号存続は“あえていばらの道”]デイリースポーツ 2023年9月11日</ref>。また、17日に同番組に出演した際に「補償に対しての土台が完成しつつあるのは、少し安ど感はある」、（救済委員会）の人選に関しては、「知見があって経験も豊富でお金の事に対しても物差しがある方だと思うので多くの方の結論が導き出されるといいなという期待は持っている」と述べた<ref>{{Cite web |title=中丸雄一、「シューイチ」で「ジャニーズ事務所」の「被害者救済委員会」設置に見解…「補償に対して土台が完成しつつあるのは、少し安ど感あります」|url=https://hochi.news/articles/20230917-OHT1T51032.html?page=1 |website=[[エンカウンター]] |date=2023-09-17|access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref>。また、「最低条件として個人情報の保護を徹底しないとまずい。ただ、電話や対面は嫌と言う人もいると思うので、こうしたホームページでのやり方は最善策だと思う」との見解を示した<ref>{{Cite web |title=中丸雄一、『シューイチ』で性加害問題に言及「少しの安ど感」　東山紀之がMCだった『サンデーLIVE!!』はスルー|url=https://encount.press/archives/514477/|website= |date=2023-09-17|access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref>。

同日、舞台『[[DREAM BOY|DREAM BOYS]]』に出演する[[森本慎太郎]]（[[SixTONES]]）が舞台初日に行われた記者会見上で「会見は見ましたし、すごく複雑なところはあります。新体制ジャニーズとして、先がどうなっていくかはまだよくわかってないところも正直ありますが、できることはしたいなと思っています」と述べた。また主演の[[渡辺翔太]]（[[Snow Man]]）は、「もちろん事務所の記者会見も拝見して、本当にすごく事務所が大きな転換期を迎えている最中に、初日を迎える。でも、こういった状況の中で、お客さんは変わらず[[帝国劇場]]に足を運んでくださるというところに、本当に感謝しないといけないと思っています。お客さんに楽しんで、笑顔になっていただく。それが僕たちが今できる最善の務めかなと思いますし、笑顔でお客さんを楽しませて、結果でまた新たな未来を構築できればと思います」と述べた<ref>{{Cite web |title=森本慎太郎「ステージで最大限」渡辺翔太「お客さんに感謝」　性加害問題でファンへの思い語る|url=https://www.chunichi.co.jp/article/766476 |website=中日スポーツ・東京中日スポーツ |date=2023-09-10|access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref>。

同月11日、日本テレビの『[[ZIP!]]』に出演した[[風間俊介]]が、「周りの方々が『お前らは変わってない。まだ変われていない』、そう言われたとしても、被害者の方をまず第一に考えるべきと私は考えております」「事務所がこの先、変わっていった、新たに生まれ変わったと皆さんに認めていただきたい、認めていただくべく動くっていうのは、その先にあるもの」と述べた<ref>{{Cite web |title=風間俊介　ジャニーズ問題「お前らは変わってないと言われたとしても、被害者の方をまず第一に考えるべき」 |url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/11/kiji/20230911s00041000370000c.html |website=Sponichi ANNEX |publisher=[[スポーツニッポン]] |date=2023-09-11 |access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref><ref name="chunichi20230911">{{Cite web |title=風間俊介『事務所は被害者の方々を第一に考えて』 ジャニーズ性加害問題で心境明かす 「なんてまともな人なんだ」の声 |url=https://www.chunichi.co.jp/article/767016 |website=中日スポーツ・東京中日スポーツ |date=2023-09-11 |access-date=2023-09-11 |language=ja}}</ref>。また、「その上で少し懸念していることがある」と切り出し、「性加害問題は本来、被害者のプライバシー。他者の関心が注がれている中で本当に正しい話し合いができるのかどうか、そこを心配している。まだ被害に遭って訴えられていない人たち、その人たちが話しやすかったり、話そうと思える体制を、早くうちの事務所は整えるべきだと私自身は考えています」と述べた<ref name="chunichi20230911" />。

同11日と同月16日、[[朝日放送グループホールディングス|ABCテレビ]]の『[[おはよう朝日です]]』に出演した[[福本大晴]]（[[Aぇ! group]]/[[関西ジャニーズJr.]]）も記者会見に対する意見を求められた際、「イエスかノーではなく、繊細な問題なので、しっかり意見に耳を傾けて説明責任を果たしてほしいですね」「この騒動の中、僕たちから離れずずっと応援してくださっているファンの方々に本当に申し訳ない気持ちと。それ以上に、本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、僕たちはその応援に応えたいと思っている」「事務所に所属するタレントとして、これからできることは前に進むことしかできない」「心の底から、曇りなく笑顔にさせることができるように、本当に頑張っていきたいと思います」と述べた<ref>{{Cite web |title=Aぇ! group福本大晴、ジャニーズ所属タレントとしての思い語る ファンへメッセージも|url=https://mdpr.jp/news/detail/3944709 |website=[[モデルプレス]] |date=2023-09-11|access-date=2023-09-17 |language=ja}}</ref>。なお、記者会見が行われる前の同月2日の同番組内では「今後、ジュリーさんが辞任するしないにかかわらず、被害者の方とは生涯向き合ってほしいなと思いますし、辞任したとしても逃げる辞任でなく向き合う辞任であってほしいなと個人的には思うんです」と述べた<ref>{{Cite web |title=Ａぇ！ｇｒｏｕｐ福本大晴　性加害問題に言及「逃げる辞任でなく向き合う辞任であってほしい」 |url=https://nordot.app/1070617245463102404?c=516798125649773665 |website=モデルプレス |date=2023-09-02|access-date=2023-09-17 |language=ja}}</ref>。10月2日に同番組に出演の際には、「ずっと前から思っていたが、（名称は）変えたほうがいいと思っている。被害者と向き合うことを第一に考えた時に、やっぱり僕たちの名前を背負って頑張る以上、自分たちの名前が広がれば広がるほど不幸になるような人がいるっていうのは悔しい思いがある」と名称変更についての意見を述べた上で「とはいえ、僕は関西ジャニーズJr.に伝統と誇りを持っている。これは名前に持っているのではなくて、先輩が教えてくれたものを後輩に伝える、先輩から後輩へのつながりだったり、関西であまり全国に出られないところをファンの方が応援してくださったりとか、そういう人とのつながりというところに、関西ジャニーズJr.で良かったなと思うことが多い。だから、別に名前が変わっても、僕のその思いは変わらないし、僕たちがエンタメを届けていきたいという気持ちは変わらない」と述べた。

同月16日、[[岡本健一]]（元[[男闘呼組]]）が自身の[[Instagram]]のストーリーにて、「約４時間もの時間を使った先日のジャニーズ事務所の会見が　世間で言うところの失敗に終わったと目にしたのですが　だとしたら　それはマスコミの方々との対話が成り立っていなかったからなのではと　思ったりしました」と投稿した。その後、ストーリーにて「最初に声明を述べた後に先ずはそのことについて語り合う　一方的ではなく噂話や憶測でもなくお互いが自分自身の心の中から出てくる言葉で会話が出来ていれば　これからの未来に　これからの子供達の身を守るための対話が成立していたのかもしれません」「これからも信頼できる人達との対話で個人的な思いを尊重しあい　共有してから　被害を受けた方々との時間が少しずつ作られていくのだと思います」「お互いに自分とは違う人間同士のことですから　時間がかかる場合もあるだろうし　それほど時間を使わずに　納得することもあるかもしれませんが　大切なところは　あえて報道されないのかもしれません　あえて伝えることはないのかもしれません」と、自身の思いを投稿した<ref>{{Cite web |title=岡本健一　ジャニーズ会見への思い「大切なところは　あえて報道されないのかもしれません」|url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/276540?page=1 |website=東スポweb |publisher=[[東京スポーツ]]|date=2023-09-16|access-date=2023-09-17 |language=ja}}</ref>。

同月16日、[[讀賣テレビ放送|読売テレビ]]の『[[あさパラS]]』に出演した[[佐野晶哉]]（Aぇ! group/関西ジャニーズJr.）が、ジャニーズ所属タレントの広告起用見送りが相次いでいる現状について、「7年ほど前にジャニーズ事務所に入って『この事務所で努力してデビューしたら、こういった華々しいCMができるんや』と思って、Aえ！groupを5年前に組んで頑張ってきてるので『ジャニーズ事務所所属のタレントは起用しません』って言ってる企業もいらっしゃって、本当に悔しさしかないです。早く信頼回復をしてほしいです」と語った<ref>{{Cite web |title=Aえ！group佐野晶哉、ジャニーズ所属タレントの広告起用見送りに「早く信頼回復を…」|url=https://www.nikkansports.com/m/entertainment/news/202309160000482_m.html?mode=all |website=日刊スポーツ |date=2023-09-16|access-date=2023-09-17 |language=ja}}</ref>。

===二度目の会見以降===
10月2日、[[日本テレビ|日本テレビ系]]の『[[NEWS ZERO]]』に出演した[[櫻井翔]]（[[嵐 (グループ)|嵐]]）は会見をすべて見たとした上で、会見前にメンバー5人揃って説明を受けたと発言。「自由度が増えたり、選択肢が増えたりという一方で責任も大きくなっていくんだろうなというふうに感じている。ポジティブな面もあると同時に、新たな形ですので不安を感じるという面もきょう現在は両方あると感じている」、「全ての可能性をテーブルに乗せてじっくり考えていかなきゃならないなと考えている。ここ最近、メンバーと密に連絡を取っているので、メンバーと相談しながら5人で考えていけたらなあと思っている」と発言した。また名称変更については、「何よりも被害者の方のことを考えれば、ジャニーズという名前との決別は絶対に必要だろうなと考えていた。会社を廃業するということのインパクトはあったが、以前、再発防止チームが提言された『解体的な出直し』、加えて性加害は絶対に許さないということ、そのこと思えば廃業の他の選択肢はなかったかなというふうに感じている」と述べた上で、「焦りの中にいるというか“遅いな”とか、後手後手だなというふうに感じていた。社名の変更だったり、マネジメント会社を設立する。エージェント会社との分離という話も、前回の会見でも批判を受けてから、今日の発表になったような印象受けている。一方で今日発表した案があるのであれば、もう少し早く発表できなかったのかという思いも正直ある。加えて補償についてはスピード感、しっかり向き合って何より早く対応することが必要と思うのと同時に、今まだ声上げられない人もいらっしゃるので、相談窓口の門戸は長く開けておくこと必要なのかなと感じている」と事務所の対応の遅さを指摘する場面もあった<ref>{{Cite web |title=櫻井翔　ジャニーズ事務所からの説明「嵐のメンバー5人そろって受けました」|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/10/02/kiji/20231002s00041000719000c.html |website=[[Sponichi Annex|スポーツニッポン]] |date=2023-10-03|access-date=2023-10-04 |language=ja}}</ref>。

同日、日本テレビ系『[[午前0時の森]]』に出演した[[村上信五]]（[[関ジャニ∞]]）が、生出演の場でグループ名の名称変更について「我々メンバーだけで話してたら、らちがあかん。来年20周年、20年付き合ってる（名前）。公募じゃないけど僕らでこんな感じと言わずに、ファンに相談するかたちにしたい。」と述べた。また今後の会社との契約の形が決まっていないことから「やりかたとして関ジャニ∞はやめないといけないが、活動はやめない」、「エージェント契約、どういう形になるかわかってないんで、こっちから交渉はしたい。やめるっていうのはない」と述べた。また[[TOBE]]への合流については「俺らは絶対にありません。TOBEはないです。多分ですけど、向こうも嫌がるでしょ。オレを預かるの。こんなタイプ。タッキー、TOBE行ってからオレに何のオファーもないです」と、TOBEへの合流は無いと断言した<ref name="kanjani-deiry">{{Cite web |title=関ジャニ村上信五、ＴＯＢＥへの合流「俺らは絶対にありません」　名前の候補「∞ならええのかとか…」|url=https://www.daily.co.jp/gossip/2023/10/03/0016877697.shtml |website=デイリースポーツ |date=2023-10-03|access-date=2023-10-04 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=村上信五、生放送で赤裸々トーク 劇団ひとりから「TOBE」入りの可能性聞かれ「ありません」|url=https://www.oricon.co.jp/news/2297182/full/ |website=[[オリコン|ORICON NEWS]] |date=2023-10-03|access-date=2023-10-04 |language=ja}}</ref>。

同月3日、[[ジャニーズWEST]]は自身のファンクラブサイトを通じ、グループへの意見や希望するグループ名を書き込める欄の開設を予定しているとみられる動画を投稿した<ref>{{Cite web |title=ジャニーズＷＥＳＴ　改名に向け…ファンクラブ内に書き込み欄を検討「じきに作ります」|url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/278484 |website=[[東京スポーツ|東スポWEB]] |date=2023-10-03|access-date=2023-10-04 |language=ja}}</ref>。

同日、[[河合郁人]]（[[A.B.C-Z]]）が[[朝日放送テレビ]]のニュース情報番組『[[newsおかえり]]』に生出演し、新会社とのエージェント契約について「僕の場合は１２月に脱退するので、その後にどうなるのか。話し合いながら決めていきたい」としたが、「もしかしたら『株式会社河合郁人』になるかもしれない」と冗談交じりに、新会社に“所属”することを表明した。またジャニーズが社名を変更して被害者救済のための補償会社として再出発する方針を発表したことについては「今まで以上に、被害に遭われた方との対話やケアに集中できる場所ができたというのは、よかったなと思う。それをしっかりお伝えできたのはよかった」とコメントした<ref>[https://hochi.news/articles/20231003-OHT1T51256.html?page=1 河合郁人、Ａ．Ｂ．Ｃ―Ｚ脱退後「『株式会社河合郁人』になるかも」…テレビでエージェント契約語る]報知新聞 2023年10月4日</ref>。

==二回目の会見後の所属グループ、タレントの動向 ==
*[[岡田准一]]（元[[V6 (グループ)|V6]]）
:2023年11月30日をもって退所予定。理由は性加害の問題が起因していると、事務所側が説明した<ref>{{Cite web |title=弊社所属タレント岡田准一に関するご報告|url=https://www.johnnys-net.jp/page?id=text&dataId=2379&artist=59|website=Johnny's net |date=2023-10-02|access-date=2023-10-06 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=岡田准一、ジャニーズ退所は「性加害問題に起因」事務所が謝罪「大きな社会的責任を感じております」|url=https://mdpr.jp/news/detail/3980779 |website=[[モデルプレス]] |date=2023-10-02|access-date=2023-10-06 |language=ja}}</ref>。
*[[関ジャニ∞]]
:グループ名の変更を予定。ファンクラブを通じてグループ名を募集し、その後メンバーによってグループ名を決定する予定<ref name="kanjani-deiry" /><ref>{{Cite web |title=関ジャニ∞・村上信五「新しいエンタメの形、社会の在り方の形を」 グループ名を公募|url=https://news.ntv.co.jp/category/culture/e55aef8f5a9b4adfaedab0008f75507c |website=[[日本テレビ|日テレNEWS]] |date=2023-10-02|access-date=2023-10-06 |language=ja}}</ref>。
*[[ジャニーズWEST]]
:メンバー全員の総意を持ってグループ名を変更することを決定<ref name="west-sponichi" />。ファンクラブを通じ、グループ名に限らずファンからの声（メッセージ）を送ってもらえるサイトを作り、その意見を基にグループ名を決定する予定<ref>{{Cite web |title=ジャニーズWEST・中間淳太　新グループ名「ある程度決まったものあるが、ファンの意見全部見て決める」|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/10/06/kiji/20231006s00041000411000c.html#goog_rewarded |website=Sponichi Annex |date=2023-10-06|access-date=2023-10-06 |language=ja}}</ref>。
*[[Sexy Zone]]
:現在のグループ名では国外で活動しにくいことがあったり、一連の騒動の前から海外で仕事が決まりにくいことがあった為、グループ名を変更予定。グループ名の変更はメンバーは4年ほど前から検討していたそうである<ref>{{Cite web |title=SexyZoneという名前を改名しようと話し合っています。|url=https://www.instagram.com/kento.nakajima_j313/?img_index=1|website=[[中島健人]]公式[[Instagram]] |date=2023-10-05|access-date=2023-10-06 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=Sexy　Zone改名へ グループ名を理由に海外での活動難しく　中島健人「ポジティブな決断」|url=https://mainichi.jp/articles/20231006/spp/000/006/001000c |website=[[毎日新聞]] |date=2023-10-04|access-date=2023-10-06 |language=ja}}</ref>。

==退所したタレントの反応==
2023年5月20日、[[おりも政夫]]（元[[フォーリーブス]]）が取材で「これはナーバスな問題です。僕は新たなことを言って騒ぎを大きくするつもりはないし、どちらの擁護、弁護をするつもりもない。ただ、傷ついてしまった人たち、僕を育ててくれたジャニーズ事務所の状況、何よりファンの方々が心配です」と話した後、「性加害は許されないことだし、被害に遭ったことを話されている方々のケアはとても大事。ただ、コーちゃん（北公次）は、亡くなる直前まで『ジャニーさんに謝りに行きたい』と言っていた。そして、僕も含めて被害に遭ってない人たちも多くいるわけで、ジャニーズのOBや現役を変な目で見ないでほしいです」と答えた<ref>{{Cite web |title=元フォーリーブス・おりも政夫「ジャニーズのOBや現役を変な目で見ないで」　恩師ジャニー氏の性加害疑惑に思うこと|url=https://encount.press/archives/459349/ |website=ENCOUNT |date=2023-05-20|access-date=2023-09-20 |language=ja}}</ref>。

[[近藤真彦]]も5月19日の取材で14日に公開された事務所の藤島ジュリー景子社長の動画を、「ちょっとしか見ていない」と述べた上で、「言いにくいが、うそはだめだな。こうなったら正直にすべてをしっかり話さないと世の中の人が許さないと思う。知ってた、知らなかったではなく、知っているでしょ。隠し事なし、うそはなしで、しっかりと正面を切って正々堂々と話をしてもらえれば。そうじゃないと納得しない人が多いと思う。僕はもう外に出た人間なのでこれ以上は言えませんが」と語った<ref>{{Cite web |title=近藤真彦氏「うそはだめ。正直に話して」ジャニー氏性加害疑惑に苦言|url=https://digital.asahi.com/articles/ASR5M6W5CR5MTPJB00H.html |website=[[朝日新聞|朝日新聞DEGITSL]] |date=2023-05-19 |access-date=2023-09-20 |language=ja}}</ref>。その後7月20日に先の発言について、「反響はすごかった。あの時は自分の正直な気持ちを口にしただけ。でも、正解が分かるのは5年後じゃないかな。今は正解は分からないよ」と語った<ref name="kondou_houchi">{{Cite web |title=近藤真彦、ジャニーズ問題語らず「今のところはお話できません。時が来たらお話しします」|url=https://hochi.news/articles/20230919-OHT1T51093.html?page=1 |website=[[スポーツ報知]] |date=2023-09-19 |access-date=2023-09-20 |language=ja}}</ref>。またその後9月19日の取材で改めて聞かれた際は、「色々と聞かれると思い考えたが、今のところはお話できません。またいつかお話しすることがあると思います。今のところ、そのお話は遠慮させてください」と話すにとどめた<ref name="kondou_houchi" />。

6月12日、[[田原俊彦]]が取材で「話したくない。だって、ジャニーズを辞めて30年だよ。そんな人間が言っちゃ、ダメでしょ」と答えた<ref>{{Cite web |title=田原俊彦、ジャニーズ問題は「言わないよ」も…「アイドルは過酷。僕もそうだった」|url=https://encount.press/archives/469910/ |website=ENCOUNT |date=2023-06-12 |access-date=2023-09-20 |language=ja}}</ref>。

8月10日、[[田口淳之介]]（元[[KAT-TUN]]）がインタビューで性加害について質問された際、「凄いセンシティブな話題ですし、内部の人間が言うのならわかるけれど、僕みたいな部外者が口を出すようなことではない。僕はノーコメントを貫き通したいと思います」と答えた<ref>{{Cite web |title=〈ジャニーズ性加害には「ノーコメント」〉元KAT-TUN・田口淳之介（37）が振り返る、ジャニーズ時代の自分と今の違い「ファンの数はもちろん減りました」 |url=https://bunshun.jp/articles/-/64671?page=3 |website=文春オンライン |publisher=[[文藝春秋]]|date=2023-08-10 |access-date=2023-09-22 |language=ja}}</ref>。

8月25日、男闘呼組のライブツアーの愛知公演にて、[[高橋和也]]が「いま、ジャニーズ事務所がたいへんなことになっているが、俺たちは昔、ジャニーズだったことに誇りを持っている。俺たちの名前『男闘呼組』をくれたのもジャニーズ。いろいろなことを言う人たちがいるけど、それで傷ついている人間もいる。俺たちはこれからもジャニーズを応援するし、みんなにも応援してほしい」とステージ上から観客に語った<ref>{{Cite web |title=男闘呼組、高橋和也「ジャニーズだったことに誇りを持っている」発言　他OBと真逆のスタンスにネット騒然 |url=https://smart-flash.jp/entame/237055/1/1/ |website=[[FLASH (写真週刊誌)|Smart FLASH]] |publisher=[[光文社]]|date=2023-05-26 |access-date=2023-09-20 |language=ja}}</ref>。

9月22日、[[植草克秀]]（[[少年隊]]）が取材で「ジャニーズ事務所が性加害を認めた一方で、所属タレントが一緒のイメージにされるのはかわいそう。彼らにも生活があるし、本当に頑張ってきた人たち」「会社の上の人間たちは、事務所に愛情を持って残っている子たちを大事にして」と述べた。また、メンバーの東山には「生きている限りは夢を諦めることはしなくていいと思う。何かやりたいこと、希望があれば、そんなに幸せなことってない。そこに対して夢を持つことが、僕らがやってきた仕事じゃないかな」と述べた<ref>{{Cite web |title=植草克秀、１２月に朗読劇演出　古巣ジャニーズには「残っている子たちを大事にして」 |url=https://www.sanspo.com/article/20230922-EWQEGKYWVZMHHHTQZFOBJEGTLA/2/ |website=[[サンケイスポーツ|サンスポ]] |date=2023-09-22 |access-date=2023-09-23 |language=ja}}</ref>。

直接言及している内容ではないが、[[赤西仁]]（元[[KAT-TUN]]）が「ジャニーズに戻ってみたいと本気で思っている」「本当だよ」<ref>{{Cite web |title=赤西仁　独立して10周年目「ジャニーズに戻ってみたいと本気で思っている」と心境つづる|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/07/16/kiji/20230716s00041000696000c.html |website=Sponichi ANNEX |date=2023-07-16 |access-date=2023-09-22 |language=ja}}</ref>、[[錦戸亮]]（元[[関ジャニ∞]]、[[NEWS (グループ)|NEWS]]）が「まぁ言えることは一つ。組織が好きっていうのが入り口だった人は違うかも知らんけど、自分が好きになった人は今日も明日も好きでいていいんじゃないかなと」「胸張ってそう思ってもらえないんなら、それはただのこっちの力不足だ。さて、明日も頑張ります」<ref>{{Cite tweet|user=RyoNishikido_JP|number=1701200668588212356|title=お久しぶりです。|date=2023-09-11|accessdate=2023-09-22}}</ref><ref>{{Cite web |title=元関ジャニ∞錦戸亮、ジャニーズ会見受けてのメッセージ投稿か「まぁ言えることは一つ」|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/09/11/kiji/20230911s00041000616000c.html |website=Sponichi ANNEX |date=2023-09-11 |access-date=2023-09-22 |language=ja}}</ref>とX（旧[[Twitter]]）にポストした。

== ジャニーズファンの反応 ==
告発本が相次いで発売された後、近年はジャニーズ事務所を辞めたタレントがこの問題に公に触れる機会はなく、[[ファン]]の間でも[[タブー]]となっていた<ref name=":03">{{Cite web |title=ジャニー喜多川氏「ジャニーズJr.と性交あった」発言の波紋ーー暴露本『光GENJIへ』から続く告発の歴史 |url=https://www.cyzowoman.com/2021/01/post_320241_1.html |website=サイゾーウーマン |date=2021-01-05 |accessdate=2022-02-13}}</ref>。

2021年には元[[7MEN侍]]の前田航気がインタビューの中で、喜多川のセクハラやジャニーズJr.と喜多川の[[性交]]があったことを語ると、SNSでは「なぜ話すのか？」といった否定的な反応や「グループの名前を汚さないでほしい」と言ったファンの声が見られた<ref name=":03" />。前田は、インタビューの告知ツイートを削除し、インタビュー記事も当該部分がカットされた<ref name=":03" />。

2023年のBBCによるドキュメンタリー番組の内容を紹介する日本語記事に対して、「なぜ今蒸し返すんだ」「ファンなら大体知っている」「それを承知で芸能界でいい思いしたのだから」「別に今さら」「芸能界ってそういうもの」といった、性的虐待問題を認識したうえで、報道することを否定するコメントが並んだ<ref name="週刊現代">{{Cite web |title=大手マスコミは絶対に報じない、ジャニー喜多川氏「性的虐待」疑惑を批判する海外の声（週刊現代） |url=https://gendai.media/articles/-/107843 |website=現代ビジネス 講談社 |date=2023-03-22 |access-date=2023-04-07}}</ref>。

豪[[マッコーリー大学]]上級講師で、日本やアジアのアイドル文化を研究するトーマス・ボーディネットが、「日本のファンの多くは『自分が[[推し|推す]]（好きな）タレントには関係ない』とか『事務所を守らないと、推しの活躍を見られなくなってしまう』と考えているのかもしれません。売れなかったタレントが僻んで告発しているだけだ、と思っている人もいるのでしょう。ですが、ジャニー氏が人々に夢を与えてきたことと、若者を搾取してきたことは別の問題です。」と述べ、喜多川がやったことを放置し続ければ、「『[[権力者]]ならば、どんな罪を犯しても代償を払う必要はない』という誤ったメッセージを若者たちにも送ることになってしまいます」と、その問題を指摘している<ref name="週刊現代" />。

[[ジャーナリスト]]で[[聖心女子大学]]教授の[[デイビッド・マクニール]]も、カウアン・オカモトの記者会見以来、ファンは「自分たちが愛し、共に育った[[家族]]みたいな会社は、もしかして根底から腐っていたのか？」という、苦しく不快な事実に直面せざるを得なくなったと述べている<ref name="マクニール" />

またジャーナリストの[[藤田直哉]]が朝日新聞で、「当初は、性被害を告白した者に対するジャニーズファンたちの[[セカンドレイプ]]と否認の書き込みがあちこちで目立っていた。いわく、彼は嘘をついている、お金目当て、成功しなかった嫉妬、自分の推しに迷惑をかけるな、ジャニーズを潰したい[[K-POP]]勢力の謀略だ、などなど。女性が性被害を告発した際に似たような反応をする男性はよく見かけてきたが、男性が被害者の場合は女性が同じようにするのだとはっきり見えてしまった。いわゆる『有害な[[ファンダム]]（ファン集団）』が可視化してしまったのだと言える。」と、当初のファンの言動を批判している<ref>{{Cite web |title=ジャニーズ性被害告発者への反応　否認から受容へ変化したファン心理 |url=https://www.asahi.com/articles/ASR5M5WRYR5JUCVL05P.html |website=朝日新聞 |date=2023-05-20 |access-date=2023-06-05}}</ref>。その中でも一部のファンは、女性の性被害の告発を「ナニカグループ」による陰謀と主張するゲームクリエイターの[[暇空茜]]と合流して、[[陰謀論]]に傾倒した<ref>{{Cite web |title=（藤田直哉のネット方面見聞録）「推し」活が陰謀論に傾くと、行き着く先は|url=https://digital.asahi.com/articles/DA3S15743714.html|website=朝日新聞 |date=2023-09-16|access-date=2023-09-17}}</ref>。

一方、ファンの中からは、被害の訴えを無視せず、検証してほしいと事務所に働きかける行動も生じた。2023年5月12日、ジャニーズファンの有志らによる「PENLIGHT」が記者会見をし、1万6000人の[[署名]]が集まり、「ジャニーズ事務所で起きた性被害の検証」についてジャニーズ事務所側に郵送で送ったと発表した。TBSではこの会見を地上波のニュース番組『[[Nスタ]]』『[[news23]]』で報じ、カウアン・オカモトへのインタビューも放送した<ref name="tbs20230512">[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/481290?display=1 ジャニーズに“性被害”検証求め約1万6000人が署名　元ジャニーズJr.カウアンさんが訴えたこととは｜TBS]</ref>。

== CULEN、TOBEの反応 ==
女性週刊誌『[[女性セブン]]』は、[[CULEN]]の[[飯島三智]]女士<ref group="注釈">[[SMAP]]の元マネージャー</ref>と[[TOBE]]の[[滝沢秀明]]社長<ref group="注釈">元[[タッキー&翼]]のメンバーでジャニーズアイランド初代社長</ref>に対し、本件に関しての見解を求めた。質問は、以下の通り<ref name="josei_seven">{{Cite url|title=沈黙を守るCULEN社長と滝沢秀明に「性加害問題」への見解を尋ねた　「認識していたのか」|url=https://www.news-postseven.com/archives/20230908_1902569.html?DETAIL|work=NEWSポストセブン|pubrisher=[[小学館]]|date=2023-09-08|accessdate=2023-09-08}}</ref>。

#ジャニーズ事務所が設置した再発防止特別チームの聞き取り調査にかかわっているか。
#ジャニー喜多川前社長のセクハラや性加害について認識していたか。
#実際に現場を目にしたり、ジャニーズJr.やデビュー済みのタレントから被害相談を受けたことはあるか。
#2003年に東京高裁でジャニー氏によるセクハラ被害報道の真実相当性が認められた事実を認識しているか。また、認識していた場合、問題があると考えていたか。
#ジャニー氏と直接、セクハラや性加害について、話し合ったことはあったか。
#自身の監督・管理責任に問題はなかったか。

これに対し、CULENは顧問弁護士を通じ、質問事項1、2、3、5に関しては「すべて該当することはありません。」、4「ご質問の意味がわかりません」、6「自身は役員ではなく、マネジメント室長という肩書のみでした」と回答した。尚、TOBEは「担当者よりご連絡させていただきます」との返事はあったが、期限までの回答は無かった<ref name="josei_seven" />。

== 証言者への誹謗中傷・セカンドレイプ ==
ジャニーズ事務所所属のタレント・元所属タレントで、誰が性被害を受けていたのかを暴露しようとする、暴露動画が横行している。

ジャーナリストの松谷創一郎も、「2023年6月初旬時点での実名・顔出しで声をあげた人々がSNSで苛烈な[[誹謗中傷]]を受け続けており、その[[ストレス]]は計り知れないもので、将来的に大量の民事訴訟に発展しても不思議ではないほどだ」と述べている<ref name=":yahoo20230606" />。証言者の橋田康も朝日新聞のインタビューで、「自分と同じような被害者がもう出ないように」との思いで行った証言と、関係者への思いや現状との板挟みの苦しみ、SNS等で誹謗中傷を浴びせられて感じた辛い心境を答えており、インターネット上で、性被害という問題のセンシティブさ、そこに生身の人間の被害者がいるということが忘れられ、追い詰める風潮がある<ref>{{Cite web |title=性被害とセカンドレイプ「心ズタズタに」　元ジャニーズJr.の告白|author=大久保真紀|url=https://www.asahi.com/articles/ASR5T3JHZR5RUTIL04H.html|website=朝日新聞|date=2023-05-25|access-date=2023-06-05}}</ref><ref group="動画">{{YouTube|pIYhZ1NYmMQ|元ジャニーズJr.の橋田康さんインタビュー　誹謗中傷受けても「これで終わりにしたい」}}（[[朝日新聞デジタル]]、2023年5月25日公開）</ref>。

『週刊文春』によると、自称ファンのアカウントによるSNSでの実名告発者への誹謗中傷は続いており、櫻井翔が2023年6月5日『news zero』（日テレ系）で「お伝えしたいことの一つは臆測で傷つく人がいるということ（中略）あらぬ臆測を呼ぶことは、何よりも避けなくてはいけない」とコメントしたことで、「臆測で現役タレントを傷つけているのは告発者だ」とSNSでの攻撃がヒートアップしている<ref name="文春20230614" />。

『[[週刊文春]]』は、カウアン・オカモトのインタビュー記事が文春オンラインに掲載された直後から、ジャニーズタレントのファンを自称するアカウントを中心にSNSでの誹謗中傷が始まったこと、5月16日に[[国会]]で行われたヒアリングにオカモトと橋田が参加すると、[[政治]]に働きかけたことを批判する声が増えていったこと、オカモトは[[パニック障害]]を再発し休養を余儀なくされたがそれでも実名告発者への誹謗中傷は加速し、さらに櫻井翔の6月5日『news zero』（日テレ系）でのコメントを受け、SNSでの攻撃がヒートアップしたことを報じている<ref name="文春20230614" />。

清水陽平弁護士は、「SNS上の〈嘘つき〉や〈[[枕営業]]〉などは[[名誉毀損]]に当たる可能性がある」「[[インターネットサービスプロバイダ|プロバイダ]]に[[電子情報開示|情報開示請求]]をして書き込んだ人を特定すれば、[[損害賠償請求]]が出来る」「内容により[[侮辱罪]]で告訴することも可能」「有罪になれば、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるでしょう」と指摘している<ref name="文春20230614" />。

なお、ジャニーズ事務所はこの問題は黙認していると指摘されている<ref name="文春20230614">{{Cite web |title=櫻井翔「憶測」発言で急増　“ジャニーズ性加害”告発者に相次ぐファンの攻撃〈死ねよ〉〈嘘つき〉|url=https://bunshun.jp/articles/-/63573website=文春オンライン|date=2023-06-14|access-date=2023-06-18}}</ref>。『週刊文春』はジャニーズ事務所に「ファンが告発者たちを攻撃していることについて対策の準備はあるのか、櫻井の“憶測”発言は事務所との相談の上だったのか」などを質問したが回答はなかった<ref name="文春20230614" />。

2023年10月2日、ジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦は同日行われた2回目の記者会見の冒頭で誹謗中傷が相次いでいることに触れた上で「被害に遭われた方は本当につらい思いをして、一人でずっと抱え込んだと思います。それがようやく声を上げられた、その勇気を無駄にしたくない。その勇気があったからこそ、この会社が大きく変わろうとする動きになった」として、この行為を止めるように呼び掛ける事態になった<ref>{{Cite web |title=SNSで誹謗中傷が起こっていることに対しジャニーズアイランドの井ノ原快彦社長「やめて」と呼びかけ |url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/754077?display=1 |website=TBS NEWS DIG |date=2023-10-02 |access-date=2023-10-03 |author=TBSテレビ}}</ref><ref>{{Cite web |title=井ノ原快彦、被害者への誹謗中傷に警鐘「ようやく声を上げられた。その勇気を無駄にしたくない」 |url=https://www.oricon.co.jp/news/2297079/full/ |website=ORICON NEWS |date=2023-10-02 |access-date=2023-10-03}}</ref><ref>{{Cite web |title=被害者への誹謗中傷やめて 井ノ原氏、会見で要望 |url=https://nordot.app/1081512102077383175 |website=共同通信 |date=2023-10-02 |access-date=2023-10-03}}</ref>。

== 特集番組 ==
=== イギリス ===
* 2023年3月「Predator: The Secret Scandal of J-Pop（邦題：J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル）」：[[英国放送協会|BBC]]（イギリス公共放送）。喜多川の児童性的虐待疑惑を追うドキュメンタリー番組<ref>{{Official website|https://www.bbcworldnews-japan.com/programs/predator-the-secret-scandal-of-j-pop/|J-POPの捕食者　秘められたスキャンダル｜番組紹介}} - [[BBCワールドニュース]]：世界の最新ニュースを24時間放送中</ref><ref group="動画" name="BBC_ジャニーズ" />。

=== 日本 ===
* [[クローズアップ現代]]（[[日本放送協会|NHK]]）
** 2023年5月「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」 - 喜多川の児童性的虐待疑惑を追う日本では初めての番組<ref>{{Cite web |title=“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題 |url=https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4781/ |website=NHK クローズアップ現代 全記録 |access-date=2023-06-25 |language=ja |last=日本放送協会}}</ref>。
** 2023年9月「“ジャニーズ性加害”とメディア　被害にどう向き合うのか」<ref>{{Cite web |title=“ジャニーズ性加害”とメディア 被害にどう向き合うのか |url=https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4821/ |website=NHK クローズアップ現代 全記録 |access-date=2023-09-26 |language=ja |last=日本放送協会}}</ref>
* [[報道特集 (TBS)|報道特集]]（[[TBSテレビ|TBS]]）
** 2023年6月「検証・ジャニー氏 性加害問題 2度の裁判とメディアの責任」<ref>{{Cite web |title=検証・ジャニー氏 性加害問題 2度の裁判とメディアの責任【報道特集】 {{!}} TBS NEWS DIG (1ページ) |url=https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/549163 |website=TBS NEWS DIG |date=2023-06-17 |access-date=2023-06-25 |language=ja}}</ref>
** 2023年8月「「当時しゃべってはいけない風潮あった」70年前の“ジャニー氏性加害”を告白」<ref>{{Cite web |title=「当時しゃべってはいけない風潮あった」70年前の“ジャニー氏性加害”を告白 |url=http://www.tbs.co.jp/houtoku/archive/20230805_1.html|website=TBS |date= |access-date=2023-09-03 |language=ja}}</ref>
** 2023年9月「ジャニー氏の性加害を認定」<ref>{{Cite web |title=報道特集 |url=http://www.tbs.co.jp/houtoku/ |website=TBS |date= |access-date=2023-09-03 |language=ja}}</ref>

==関連する出来事==
=== ジャニーズ事務所マネージャーによる性的虐待疑惑 ===
週刊文春は、2023年6月15日号で、ジャニーズ事務所では、喜多川だけでなく、男性[[マネージャー]]もタレントたちに性的虐待を加えていたとして、加害を行ったマネージャー本人のインタビューを掲載した<ref name="bunshun20230607" />。文春編集部は「事務所内での性加害が、常態化していた疑いを示すものである。」と評している<ref name="bunshun20230607">{{Cite web |title=「6人くらいと…」ジャニーズ事務所・男性マネージャーもジュニアに性加害していた＜本人告白＞|url=https://bunshun.jp/articles/-/63403|website=文春オンライン |date=2023-06-07 |access-date=2023-06-07}}</ref>。

2023年8月29日の外部の専門家による再発防止のための特別チームによる会見で、喜多川による性加害以外に、事務所の社員による性加害があることを確認した、と報告された<ref name="20230829_NHK" />。

===ジャニーズ事務所外での本件に関する炎上===
====山下達郎の炎上====
ジャニー喜多川の性的虐待疑惑に関して各媒体にて言及していた[[松尾潔]]も、それまで業務提携していた[[スマイルカンパニー]]から契約期間の途中で契約解除された。松尾は同社所属の[[山下達郎]]や[[竹内まりや]]も同社の方針に賛意を示したと述べた<ref name="tokyo-sports_268244">{{Cite web |url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/268244 |title=音楽プロデューサー松尾潔氏がジャニーズ〝性加害〟言及で契約終了　山下達郎も同意 |trans-title=Record Producer Kiyoshi Matsuo's contract with Johnny's was terminated due to references to "sexual assault," and Tatsuro Yamashita agreed. |accessdate=2023-07-03 |last= |first= |author= |authorlink= |coauthors= |date=2023-07-01 |year= |month= |format= |website=東スポWEB |work=[[東京スポーツ]] |publisher=東京スポーツ新聞社 |page= |pages= |quote= |language=ja |archiveurl= |archivedate= |deadlinkdate= |url-status= |doi= |hdl= |ref=}}</ref><ref name="cyzo_349726">{{Cite web |url=https://www.cyzo.com/2023/07/post_349726_entry.html |title=ジャニーズ批判で事務所クビ、山下達郎氏に飛び火のワケ |trans-title=Why a record producer was fired from his office for criticizing Johnny's, and why Tatsuro Yamashita was involved in the incident. |accessdate=2023-07-03 |last= |first= |author=黒崎さとし |authorlink= |coauthors= |date=2023-07-02 |year= |month= |format= |website=日刊サイゾー |work= |publisher=[[サイゾー]] |page= |pages= |quote= |language=ja |archiveurl= |archivedate= |deadlinkdate= |url-status= |doi= |hdl= |ref=}}</ref>。山下は2023年7月9日に放送された[[ラジオ番組]]「[[山下達郎のサンデー・ソングブック]]」内で、松尾の発信した内容を否定した{{efn|山下のラジオでの発言は次の通り。「[[インターネット|ネット]]や[[週刊誌]]の最大の関心事はですね、私がジャニーズ事務所への[[忖度]]があって、今回の一件もそれがあって関与したのではという、根拠のない臆測です。今の世の中は、なまじ黙っていると言ったもの勝ちで、どんどんどんどん[[偽情報|ウソの情報]]が拡散しますので、こちらからも思うところを、正直に率直に、お話しておく必要性を感じた次第であります」、「まずもって、私の事務所と松尾氏とはですね、彼から顧問料をいただく形での業務提携でありましたので、雇用関係にあったわけではない。また、彼が所属アーティストであったわけではなく、[[解雇]]にはあたりません。弁護士同士の合意文章も存在しております。松尾氏との契約終了についてはですね、事務所の社長の判断に委ねる形で行われました。松尾氏と私は直接話をしておりませんし、私が社長に対して契約終了を促したこともありません。」、「性加害が本当にあったとすれば、それはもちろん許し難いことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます。」<ref name=":0">{{Cite web |title=ジャニー喜多川とジャニーズJr.の「性的な関係」晩年まで？ 元7 MEN 侍メンバーが新たに証言 |url=https://web.archive.org/web/20220213034707/https://wezz-y.com/archives/85276 |website=wezzy |accessdate=2022-02-11 }}</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20230710003804/https://news.yahoo.co.jp/articles/9b1cebd42e7ff7ee0186b0d5ef250bc0aa0300e3　【山下達郎全コメント】「私の姿勢を忖度と解釈するなら構わない。そういう方々に私の音楽は不要でしょう」]</ref>}}<ref name=":0" /><ref>[https://web.archive.org/web/20230710003804/https://news.yahoo.co.jp/articles/9b1cebd42e7ff7ee0186b0d5ef250bc0aa0300e3 【山下達郎全コメント】「私の姿勢を忖度と解釈するなら構わない。そういう方々に私の音楽は不要でしょう」]</ref>。あわせてラジオ内で「『忖度』あるいは『長いものに巻かれている』と、そのように解釈されるのであれば、それでも構いません。きっと、そういう方々には、私の音楽は不要でしょう」と山下は発言し締めくくり、SNS上ではこの発言に対する炎上が発生した<ref>{{Cite news |title=山下達郎､松尾氏めぐるラジオ発言の最大の炎上点 ｢嫌なら聴くな｣的姿勢でリスナーを突き放した |url=https://toyokeizai.net/articles/-/685793?page=3 |date=2023-07-11 |accessdate=2023-07-26}}</ref>。

====デヴィ・スカルノの炎上====
[[インドネシア|インドネシア共和国]][[インドネシアの大統領一覧|初代大統領]][[スカルノ]]の元第三夫人でタレントの[[デヴィ・スカルノ]]（日本名：根本七保子、通称：デヴィ夫人）は、国連人事理事会による被害者への聞き取り調査の報道に対し、喜多川の功績と人柄を称え、国連の調査に反発し、Twitterで被害者を批判する自説を展開し、被害を告発した元所属タレントの発言を「勇気ある告白」と述べ社名変更にも言及した[[東山紀之]]を、恩を仇で返していると糾弾した{{efn|デヴィ・スカルノは、喜多川の死後の告発は「死人に鞭打ちではないか。本当に嫌な思いをしたのなら、その時なぜすぐに訴えない」「昨今の流れは偉大なジャニー氏の慰霊に対する冒涜、日本の恥である」等とツイートした<ref name="chunichi20230719"/><ref name="nordot20230720"/>。}}。デヴィ・スカルノの人権意識の欠如した発言に批判が集まり、炎上状態となった<ref name="nordot20230720">{{Cite web |title=デヴィ夫人、コクトーを引き合いに「ジャニー氏擁護」のお粗末…山下達郎を超える炎上か |url=https://nordot.app/1054416687803482364?c=768367547562557440 |website=日刊ゲンダイDIGITAL |date=2023-07-20 |access-date=2023-07-24}}</ref><ref name="chunichi20230719">{{Cite web |title=デヴィ夫人『死人に鞭打ちではないか』ジャニーズ性加害問題めぐる発言が波紋 「これはセカンドレイプ」批判や感謝も…賛否両論 |url=https://www.chunichi.co.jp/article/731743 |website=中日スポーツ |date=2023-07-19 |access-date=2023-07-25}}</ref><ref name="nordot20230720" />。カウアン・オカモトは、喜多川の功績が全て消えるわけではないが、子どもの対する性加害は卑劣な行為であると指摘し、デヴィ・スカルノに冷静・慎重に発言をすることを求めるツイートを行った<ref>{{Cite web |title=カウアン・オカモト氏、デヴィ夫人に反論「勇気を振り絞って言っても、あなたのような人に否定される」に寄せられる支持 |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/65ceee2867f823e828369427ecc1ece3978e3474 |website=Yahoo!ニュース |date=2023-07-21 |access-date=2023-07-25}}</ref>。

[[国連特別報告者]]（現代的形態の奴隷制担当）の小保方智也も名指しはしないが、明らかにデヴィ・スカルノを批判する形で問題点を指摘するツイートを行った{{efn|「某有名人から最近出されたジャニーズ事務所の性加害疑惑関する発言に、深い懸念を表明します」「未成年で被害を受けたとされる方々に即時法的措置などを求めるのは、非現実的で人権を著しく侵害する発言と解釈されても仕方ありません」と指摘した<ref name="20230724nikkan-gendai"/>。}}<ref name="20230724nikkan-gendai">{{Cite web |title=デヴィ夫人のジャニー氏擁護を国連特別報告者も批判 日本メディアは“テレビ映え”で使い続けてきた |url=https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/326455 |website=日刊ゲンダイDIGITAL |date=2023-07-24 |access-date=2023-07-24}}</ref>。

== 外部リンク ==
=== 2023年8月 国連ビジネスと人権の作業部会 ===
*[https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/issues/development/wg/statement/20230804-eom-japan-wg-development-japanese.pdf 訪日調査 2023年7月24日 - 8月4日 ミッション終了ステートメント]（正式な報告書は2024年6月の人権理事会に提出される予定）
*{{YouTube|lIdaDs8jxHM|【ノーカット】調査、透明性・正当性に疑念　被害タレント数百人か　ジャニーズ性加害で国連専門家（1時間40分）}}（時事通信映像センター、2023年8月4日）

=== 2023年8月 外部専門家による再発防止特別チーム（林眞琴、飛鳥井望、齋藤梓） ===
*{{YouTube|k4eeXHCkqvQ|【ノーカット】ジャニー喜多川氏の“性加害”認定　再発防止特別チーム会見（1）}}（ANNnewsCH、2023年8月29日）
*{{YouTube|AdTQKwep2S8|【ノーカット】ジャニー喜多川氏の“性加害”認定　再発防止特別チーム会見（2）}}（ANNnewsCH、2023年8月29日）
*{{YouTube|I3N9aPBrQLE|【ノーカット】ジャニー喜多川氏の“性加害”認定　再発防止特別チーム会見（3）}}（ANNnewsCH、2023年8月29日）
*{{YouTube|iT-fktvrKxQ|【ノーカット】ジャニー喜多川氏の“性加害”認定　再発防止特別チーム会見（4）}}（ANNnewsCH、2023年8月29日）

==== 【閲覧注意】調査の必要上から、性加害に関する詳細な表現がある ====
* {{Cite web |title=【調査報告書(公表版)】 |url=https://saihatsuboushi.com/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E5%85%AC%E8%A1%A8%E7%89%88%EF%BC%89.pdf |website=ジャニーズ事務所 |date=2023-08-29 |accessdate=2023-09-03 |ref = {{SfnRef|特別チーム|2023}}}}
* {{Cite web |title=【調査報告書(概要版)】 |url=https://saihatsuboushi.com/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E6%A6%82%E8%A6%81%E7%89%88%EF%BC%89.pdf |website=ジャニーズ事務所 |date=2023-08-29 |accessdate=2023-09-03 }}

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
===注釈===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
=== 動画 ===
{{Reflist|group="動画"}}

==参考文献==
* {{cite book |title=Secrets, Sex, and Spectacle: The Rules of Scandal in Japan and the United States |url=https://books.google.com/books?id=A9CDvNs35ooC |isbn=978-0-226-89408-9|author=Mark D. West |date = September 15, 2008 |publisher=University of Chicago Press |ref = {{SfnRef|West|2008}}}}

== 関連項目 ==
{{columns-list|2|
* [[性的虐待]]/[[児童性的虐待]]
* [[マスキュリズム]]
** [[少年への性的虐待]]
** [[男性への性暴力]]
* [[グルーミング (性犯罪)]]
* [[マインドコントロール]]
* [[ストックホルム症候群]]
* [[心的外傷後ストレス障害|PTSD]]
* [[レイプとジェンダー]]
* [[被害者非難]]/[[セカンドレイプ]]
* [[子どもの権利条約]]
* [[情報操作]]
* [[報道におけるタブー]]/[[忖度]]/[[報道しない自由]]
* [[ジャニーズ性加害問題当事者の会]]
* [[＃MeToo]]
* [[Time's Up]]
* [[SMILE-UP.]]
* [[東山紀之]] - 第3代ジャニーズ事務所及び前述のSMILE-UP.代表取締役社長である。この問題に真摯に取り組んでいたが、彼にも性加害疑惑があるようだ。
* [[新型コロナウイルス]] - これの流行がジャニーの性的虐待の表面化を早めたとの指摘もある、これがなければジャニーの性的虐待は2037年頃まで表面化しなかったはずである
* [[お笑い芸人による闇営業問題]]/[[2022-23年広域強盗事件]] - これらが前述とは逆にジャニーの性的虐待の表面化を若干遅めたとの指摘もある、前者がなければ2019年夏頃に、後者がなければ2022年末頃にはジャニーの性的虐待が表面化していたはずである
* [[ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年)]]/[[2022年ロシアのウクライナ侵攻]] - これらのマンネリ化（[[2022年ロシアのウクライナ侵攻による経済的影響|物価高などのこれらによる社会的影響]]ばかり連日取り上げられる等）がジャニーの性的加害の表面化を加速させたとも考えられる
}}
=== 同種の事件・問題 ===
{{See also|Category:児童性的虐待事件}}
{{columns-list|2|
* [[ジミー・サヴィル]]
* [[カトリック教会の性的虐待事件]]
* [[アメリカ体操連盟性的虐待事件]]
* [[R・ケリー]]
* [[ハーヴェイ・ワインスタイン]]/[[ワインスタイン効果]]
* [[ジェフリー・エプスタイン]]/[[ギレーヌ・マクスウェル]]/[[ジャン＝リュック・ブルネル]]
* [[ゲイリー・グリッター]]
* [[ロルフ・ハリス]]
* [[恩寵園事件]]<!-- - [[児童福祉法]]改正の契機となった事件。-->
* [[聖神中央教会事件]]
* [[北九州児童養護施設虐待事件]]
* [[オウム真理教#タントラヤーナ]]/[[ダーキニー (オウム真理教)|ダーキニー]]
* [[東京シューレ#性暴力事件]]
* [[ロザラム児童性的搾取事件]]
}}
=== 作品 ===
* 『[[トガニ 幼き瞳の告発]]』 - [[光州広域市]]のろうあ者福祉施設である光州インファ学校で発生した性的虐待事件を告発した作品。当作の影響で事件が再検証され、[[障碍者]]女性や13歳未満の児童への[[性的虐待]]を厳罰化し[[公訴時効]]を廃止する[[法律]]、通称「トガニ法」が制定されるとともに<ref>{{citeweb|url=http://japanese.joins.com/article/917/146917.html?servcode=400&sectcode=400 |title=中央日報・年末特集 ２０１１ホットイシュー【１０月編】 |publisher=[[中央日報]] |date=2011-12-29 |accessdate=2013-04-26}}</ref>、加害者に対する再捜査が行われた結果、当初[[不起訴]]とされた加害者らは[[逮捕]]・[[起訴]]され、そのうち1名については[[2013年]]に懲役8年・電子足輪装着10年、個人情報公開10年の刑が確定した<ref>{{citeweb|url=http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/26/2013042600993.html |title=性的暴行：「インファ学校」元事務室長、二審は懲役8年 |publisher=[[朝鮮日報]] |date=2013-04-26 |accessdate=2013-04-26}}</ref>。また、光州インファ学校は[[2012年]]に廃校となっている。
* 『[[スポットライト 世紀のスクープ]]』
* 『[[グレース・オブ・ゴッド 告発の時]]』
* 『[[SHE SAID/シー・セッド その名を暴け]]』
* 『[[風と木の詩]]』

{{デフォルトソート:しやにきたかわによるせいてききやくたいきわく}}
[[Category:ジャニーズ事務所]]
[[Category:セクシャルハラスメント]]
[[Category:児童性的虐待]]
[[Category:児童性的虐待事件]]
[[Category:日本の性犯罪]]
[[Category:マスメディアとエンターテインメントに関する論争]]
[[Category:男性に対する暴力]]
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[[Category:日本のスキャンダル]]
{{Wikipedia/Ja}}
[[en:Cover-up of rape at Johnny & Associates]]